脳と発達
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19 巻, 4 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 木下 真男
    1987 年 19 巻 4 号 p. 274
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 臨床効果と免疫能の変動に関する検討
    本山 和徳, 馬場 輝実子, 柳 忠道, 辻 芳郎
    1987 年 19 巻 4 号 p. 275-280
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    抗痙攣剤によっても発作抑制の困難な痙攣を有する重症心身障害児5人に対して, 免疫グロブリン療法を試み, その臨床効果と免疫能の変動を検討した. 対象者の年齢は9歳から34歳であり, 痙攣の罹患年数は7年から34年だった. 非修飾免疫グロブリンを100~300mg/kg, 1~2週間隔で投与した結果, 痙攣発作は5例中1例で減少, 2例が不変, 2例が増加を示した. 脳波には改善がみられず, 1例では棘波の頻度が増加した. 免疫能の変動として以下の結果を得た. 1) 血清IgG, IgA量の増加, IgM量の減少. 2) Leu 10陽性リンパ球数の減少. 3) 末梢血リンパ球抗体産生能 (lgG, A, M) の低下. 以上より, 重障児の難治痙攣に対する非修飾免疫グロブリン療法は, 臨床的に無効であり, 免疫学的にはBリンパ球の減少をおこし抗体産生の低下をもたらすことが示唆された. 痙攣に対する免疫グロブリン療法においても, ある程度の免疫抑制がおこっていることは, 痙攣に対する免疫グロブリンの作用機序を考えるうえで重要と思われた.
  • 竹内 達生, 渡辺 一功
    1987 年 19 巻 4 号 p. 281-286
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1979年から1983年までの5年間に, 満期産児77例で生後1週間以内に1回目のポリグラフを記録した. 25例が新生児期に死亡し, 28例が正常に発達し, 24例が神経学的合併症を残した. 背景脳波異常が高度以上の例の中に正常発達したものはなく, 異常が最軽度以下の例からは, 脳性麻痺, てんかんになったものはなかった. 中等度の異常の脳波を示した場合, 異常所見からの回復が早く認められた症例は予後が良かった. 1968年から1978年までの10年間のデータと比較して, おのおのの異常脳波所見のもつ意義は変わっていなかった.
  • 五十嵐 一枝
    1987 年 19 巻 4 号 p. 288-293
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    再生記憶の実験を行い, てんかん児の再生記憶と情報の体制化について検討した. 実験群は, 暦年齢8~12歳, 知能指数90~130の特発性てんかん児28名で, 年齢と知能を対応させた健常児33名をコントロール群として比較検討された. 視覚刺激を正しく直後再生した再生得点と, 概念的に関連する項目を続けて再生した場合に評点されるクラスタリング得点とを求めた結果, てんかん児が再生量および概念的再生において劣ることが示された. また, てんかんの臨床要因別検討では, 低年齢での発症, 全般発作型, 多剤併用治療, phenobarbitalの服用, 臨床発作の消失の5要因が, 再生量および概念的再生成績に影響していた.
  • I小脳未分化細胞の増殖動態について
    西村 理
    1987 年 19 巻 4 号 p. 294-302
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生仔期にmonosodium L-glutamate (MSG) を大量投与したマウスは思春期以後著明な肥満と小頭症をきたす. このマウスの脳組織発達について3H-チミジンオートラジオグラフィーにより細胞増殖動態面から検討した.
    Jcl: ICR系雄マウスに出生後連日5日間MSGを2mg/g体重当たり皮下注射した. 対照群には同時期に同量の生理食塩水を皮下注射した. MSG群の脳量量は20日以後, 大脳, 小脳側とも対照群に比し低値となった.
    MSG 1回投与後の生後1日目の小脳外顆粒細胞の世代時間は対照群に比べ1.9時間延長していたが, それはG1期とS期の延長によるものであった. 生後7日目においてもMSG群の世代時間は対照群より0.9時間延長していたが, それはG1期のみの延長によるものであった.
    生後1日目から20日目までの両群マウス小脳外顆粒細胞の分裂指数 (MI) と標識率 (LI) を求めた. MI, LIともに出生後7~10日目まではMSG群が対照群に比し有意に低値となり, MSG投与が小脳外顆粒細胞の細胞増殖動態を抑制していることを示していた. しかし10日以後はMI, LIともに逆にMSG群が高値をとり“catch up”現象が生じていた. MSG投与による小脳外顆粒細胞の細胞増殖動態の抑制はMSGの直接作用であることが示唆された.
  • 脳損傷と向き癖の関係について
    家森 百合子, 弓削 マリ子, 神田 豊子, 芦田 ひろみ, 深瀬 宏
    1987 年 19 巻 4 号 p. 303-308
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺およびその危険児330例のCT所見を利用して脳損傷の程度や左右差と頭蓋変形の種類や左右差の関係を調べた. 見かけ上の皮質萎縮の左右差は頭蓋変形による物理的影響が考えられたが, 見かけ上の側脳室拡大の左右差は脳損傷の左右差を反影していると考えられた. 頭蓋変形は右後頭部平坦が左平坦の1.6倍, 側脳室拡大は左>右が右>左の4.1倍. 側脳室拡大の強い側の反対側の後頭部が平坦になっているものは同側が平坦になっているものより多く, 乳児早期には体の障害のより重い側を向いているものが多い可能性がある. 新生児や側彎児, 脳性麻痺児が右を向く原因のひとつとして一時的永続的脳損傷が左脳>右脳に起こる可能性が示唆された.
  • 病態と診断
    山田 博是, 山中 勗
    1987 年 19 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Down症候群に伴った環軸椎亜脱臼12例, 後頭骨環椎亜脱臼1例について, 神経学的検査所見, 神経放射線学的検査所見, 手術適応等につき文献的考察を加えて報告した. 従来環椎横靱帯の弛緩が環軸椎亜脱臼形成に重要な因子と考えられてきたが, 今回のシリーズでは環軸椎亜脱臼では総ての症例にossiculum terminaleを伴っており環椎横靱帯の弛緩とともに亜脱臼を起こす上に重要な要因であり, 特に前者が合併する場合は亜脱臼が高度となり神経症状を呈しやすくなると考えられた.
    環軸椎亜脱臼の診断は斜頸等の異常姿勢に注意し, 頸椎X線機能撮影, 断層撮影, CT等を機能的に行いどの様な体位時に環軸椎亜脱臼が増強されるか, また整復されるかを知ることが治療上重要である.
  • 篠崎 昌子, 新井 ゆみ, 林 雅晴, 猪原 玲子, 石崎 朝世, 篠原 猛, 土井 優子, 佐々木 日出男
    1987 年 19 巻 4 号 p. 315-321
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性に低体温を呈する中枢神経障害6例につき, 臨床症状, サーカディアンリズムの検討を行った. これら症例の原疾患は多岐にわたっており, 疾患特異性はなかった. 内分泌学的検討により全例で視床下部障害が存在し, また臨床的に脳幹機能低下も存在するものと思われた. 連続直腸温測定で6例中5例と高率に体温リズムの消失または障害があり, 体温維持機構と体温リズム機構の密接な相関が想定された. またこれら体温リズムが障害された5例では睡眠覚醒リズムも障害されており, これは生体リズムのペースメーカーが部位的に近接していることを示唆するものと思われた.
  • 篠崎 昌子, 猪原 玲子, 新井 ゆみ, 石崎 朝世, 川井 未加子, 坂本 皓哉, 篠原 猛, 佐藤 順一, 森松 義雄
    1987 年 19 巻 4 号 p. 322-327
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    死亡半年前から体幹失調, 上肢伸展時の粗大な振戦が見られた先犬性表皮水疱症 (常染色体性劣性遺伝栄養障害型) の8歳男児例を報告した. 軽度脳室拡大, 脳溝開大, 白質の発達不良はすでに6歳以前より存在したものと思われたが, これが慢性の低栄養状態によるものか本疾患に生来的に伴うものかは不明であった. 脊髄後索, 脊髄小脳路, 皮質脊髄路の変性ならびに前角細胞, 脳幹神経核等での神経細胞腫大がみられたが, これはビタミンB群欠乏状態で指摘されている神経病理所見に極めて類似していた. 今後本疾患の全身管理上, 積極的な補充療法を行うべきであろう.
  • 滝沢 恭子, 田中 能久, 隅 清臣, 杉田 隆博, 原田 貢志
    1987 年 19 巻 4 号 p. 328-332
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳発症の多発性硬化症で, 上気道感染による発熱ののち再発を繰り返す男児例を経験した. 初発時プレドニゾロンの経口投与で臨床神経症状は改善したが, 初回の再燃以後, 後遺症として高度の失調を認めた. その後, 新たな後遺症予防のため臨床症状から再発が考えられた時には, 髄液IgG, ミエリン塩基性蛋白を指標にしてメチルプレドニゾロンによるパルス療法を行った. その結果, 神経症状は完全に消失し, 正常な日常生活を送ることができ, 髄液IgG, ミエリン塩基性蛋白などの検査所見も正常化した.
    臨床神経症状の増悪を認める以前に, 髄液検査所見を指標にしてパルス療法を行うのがよいと考えられる.
  • 根岸 宏邦, 伊東 恭子, 鈴木 順子, 前田 衛作, 植村 幹二郎, 李 容桂, 山崎 駿
    1987 年 19 巻 4 号 p. 333-338
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児硬膜外血腫の2治験例を報告した. いずれも満期産成熟男児で, いずれも頭蓋骨骨折が認められた.症状発現と同時に頭部エコーで診断し, 頭部CT-scanで確認した. 2例とも頭血腫を穿刺吸引することにより, 硬膜外血腫も消失し, 再発もなく, 1年後の現在神経学的後遺症なく治癒している. 文献的報告例をあわせて14例, 全例満期産成熟児であり, 男児に圧倒的に多かった. 過去の報告例ではほとんどの症例に手術療法 (12例中9例) が適用されているが, 新生児硬膜外血腫は骨折部を介して頭血腫と交通していることもあるので, 頭部エコーなどで観察しながら, 充分注意を払って, まず頭血腫の穿刺吸引を行ってみることが治療上重要であると考えられた. 急性期を乗り越えれば予後は良好であると考えられる.
  • 宮代 英吉, 川村 仁志, 津田 紀彦
    1987 年 19 巻 4 号 p. 339-340
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原因不明の精神発達遅滞と難治性てんかんの一歳女児. ケトミールによるケトン食療法中, 亜鉛欠乏をきたして続発性の腸性肢端皮膚炎を発症し, 経過中に急性副腎出血で死亡した. ケトミール投与中は亜鉛などの微量元素の欠乏に注意すべきである.
  • 渡辺 博, 山中 龍宏
    1987 年 19 巻 4 号 p. 341-342
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    重度の精神運動発達遅滞の児で, 脱水と低栄養の状態で緊急入院した症例を延べ3例経験した. この様な児は自分で空腹や口渇を訴えることができず, また自ら食餌や水分を取ることもできないために, 脱水等に陥りやすい. チューブ栄養を行っていない児は, 特にこの様な危険にさらされている. これを防ぐためには, 体重測定, 血液生化学検査, 尿検査等により児の状態を普段から把握し, 経口摂取のみでは水分, 栄養が不足する傾向がみられる場合には, チューブ栄養や成分栄養剤の使用を考えるべきであると考えた.
  • 坂根 義巳, 杉本 健郎, 小林 陽之助
    1987 年 19 巻 4 号 p. 343-344
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    細菌性髄膜炎2例の髄液を高分解能アガロースゲル膜と銀染色による蛋白電気泳動法で観察したところ, 治療前の髄液でα1-分画の陰極移動が観察された. α1-分画の主要成分であるα1-antitrypsin (α1-AT) とα1-acid glycoprotein (α1-AG) をimmunofixation法で同定したところ, 2例ともα1-ATの陰極移動が認められ, 1例では, α1-AGがβ分画領域に認められた. この現象は急性期の一過性の変化として認められ, その原因としては, α 上ATやα1-AGの構成成分であるシアル酸がなんらかの原因で分解され, このために蛋白の荷電状態が変化した結果である可能性が示唆された.
  • 青木 信彦
    1987 年 19 巻 4 号 p. 345
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 福山 幸夫
    1987 年 19 巻 4 号 p. 346
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 隅 清臣
    1987 年 19 巻 4 号 p. 347-348
    発行日: 1987/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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