脳と発達
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19 巻, 6 号
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  • 竹下 研三
    1987 年 19 巻 6 号 p. 452
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 中村 芳樹, 戸谷 重雄, 大谷 光弘, 関 亨, 宮原 保之
    1987 年 19 巻 6 号 p. 453-459
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    CT上, 基底核部小梗塞と診断された小児10例について, 臨床症状とCT所見の検討を行った.全例片麻痺を主症状として発症し, CT上は梗塞巣が被殻を主体として内包 (主に前脚) から尾状核に及ぶ症例が多かった. 梗塞巣の大きさ, 部位と片麻痺の程度および改善度には明らかな差はなかった. 軽微な頭部打撲の既往があったもの7例 (うち4例には先行する感冒症状を認めた), 心疾患の既往のあったもの1例で, 他の2例は基礎疾患や特別な既往歴はなかった. 脳血管撮影を施行した7例中, 血管狭窄を認めたものは3例であった. 原因としては, 外傷性以外にも感染による血管炎等も考慮する必要があり, 脳血管撮影も含めた種々の検査によって基礎疾患の充分な検索を行うことが重要であると考えられた.
  • II大脳皮質神経細胞突起の発達について
    西村 理
    1987 年 19 巻 6 号 p. 460-469
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生仔期にmonosodium L-glutamate (MSG) を大量投与されたマウスは後に肥満をきたすが, 他に低身長, 性腺機能低下, 小頭等の特徴をそなえLaurence-Moon-Biedl症候群に類似した症候性肥満のモデル動物とみなされる.
    このMSG投与マウスの大脳頭頂部皮質錐体細胞樹状突起の分岐・伸展を生後30, 60, 90, 120日目にGolgi-Cox染色法を用いて定量的に検索した.
    MSGを投与されたマウス群 (以下MSG群) の神経細胞樹状突起 (以下突起) の分岐・伸展は生後30日目において既に抑制されていた. そして日齢の経過とともに細胞体近位の突起は正常対照群近くまで回復していたが, 遠位での突起の伸展は対照群との差が更に明瞭となった.
    神経細胞の突起の広がりの指標となるdendritic field factor (Dff) はMSG群が対照群より常に小さく, MSG群の120日目の値は対照群の60日目の値にも達しなかった.
  • 新生児期諸因子との関連について
    坂 京子, 石川 達也, 粟屋 厚子, 犬飼 和久, 鬼頭 秀行, 吉沢 邦重, 小川 次郎
    1987 年 19 巻 6 号 p. 470-474
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1977年4月~1980年12月末までの約4年間に聖隷浜松病院未熟児センターに入院した成熟児仮死147名 (全員) の予後追跡 (予後判定時の年齢は3~6歳) を行った. 1. 新生児期死亡10名 (6.8%), 後遺症16名 (10.9%) でこのうち5名は乳幼児期に死亡した.
    2. 新生児発作の有無, 発作のコントロールに要した日数, 入院時baseexcessの値は予後に大きく関与することが推察された.
    3. 院外出生例では院内出生例に比べ, 予後不良群が明らかに多く, 分娩時の胎児心拍監視に基づく産科的管理と, 出生後の適切な蘇生を含む小児科的管理を一連のものとして行うことの重要性が痛感された.
  • 田中 順子, 安部 治郎, 二木 康之, 三牧 孝至, 藪内 百治
    1987 年 19 巻 6 号 p. 475-479
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    重症心身障害 (重心) 児および脳性麻痺 (CP) 児30例に電気刺激による眼輪筋反射 (BR) を施行した. BR異常を示した例は30例中20例 (66%) と高率であった. BR高度障害例 (R1and/or R2消失または出現不良例) は咀嚼・嚥下・喘鳴・呼吸障害を有しており, これらの症状は脳幹障害と関連があると思われた. しかし, 知能・運動障害が高度でも嚥下・呼吸障害のない重心児ではBRは正常を示すことがあり, これらの症例の脳幹障害は比較的少なく大脳等の上位中枢の障害が主要病変と考えられた. また, 仮死等による周産期障害児ではBR異常例が多く, 大脳皮質等だけでなく脳幹にも障害を有している例が多いと思われた. 重心・CP児における非侵襲的脳幹機能評価法としてBRは有用と考える.
  • 難聴・聾児のスクリーニング方法としての有用性について
    沖 潤一, 楠 祐一, 長 和彦
    1987 年 19 巻 6 号 p. 480-485
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    “ことばの遅れ” を主訴として受診した男児105例, 女児18例の計123例 (平均年齢±SD: 3歳8カ月±1歳2カ月) に対し, 難聴のスクリーニングとして聴性脳幹反応聴力検査 (ABR) を施行した.
    (1) 123例のうち8例は95dBにても有意の反応波形が出現せず, 2例はV波の域値が55dB, 65dBと上昇していた. これら10例は, のちの聴力検査でも難聴が確認され, 9例は聾学校へ, 1例は補聴器を使用しながら言語治療教室に通学している. また, V波の域値が35dB以下だった113例で, のちに聴力障害を指摘された児はいなかった.
    (2) 123例の言語発達遅滞児の分類は, 精神発達遅滞が55例 (44.7%) と最も多く, 次いで自閉症31例 (25.2%), 微細脳障害症候群11例 (9.0%), 難聴・聾10例 (8.1%), 脳性麻痺8例 (6.5%) だった.これに対し特発性言語発達遅滞は8例 (6.5%) と少なかった.
    (3) ABR反応波形の潜時は, 精神発達遅滞, 自閉症, 微細脳障害症候群とも健康対照児群の平均潜時 (85dB: I波1.14msec., III波3.39msec., V波5.14msec.;55dB: I波1.78msec., III波3.89msec., V波5.71msec.) と比べてt検定で有意の差を認めなかった.
    (4) ABRは, 幼児難聴診断のスクリーニング方法として極めて有用であり, 言語発達の遅れがみられる幼児では早期に行うべき検査と思われた.
  • 雨宮 文明, 木村 清次, 本多 一恵, 三宅 捷太, 出野 龍子
    1987 年 19 巻 6 号 p. 486-491
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    神経外来で経過観察中の3カ月から22歳のVPA服薬中のてんかん児53名 (I群), 他の抗けいれん剤 (PB, CBZ等) 服薬中のてんかん児38名 (II群), 対象群として無投薬にて経過観察中の神経疾患児27名 (III群) の三群を対象とし, 個々の児の血清および尿中アミノ酸を, 液体クロマトグラフィーによるアミノ酸自動分析計で測定し, 三群を比較検討した. 結果は,(1) 血清アミノ酸では, 1群において, グリシン, プロリン, リジン, セリン, チロシン, スレオニン, バリン, ロイシン, イソロシンがIII群に比し有意に上昇し, リジンとスレオニンを除いてはいずれもII群との間にも有意差を認めた. (2) 尿中アミノ酸では, I群で, グリシンのみが, II群, III群に比し, 有意な上昇をみた. VPAは血清グリシンのみならずその他のアミノ酸の上昇をきたすことが示唆された.
  • 竹沢 伸子, 佐藤 みさを, 柳沢 孝之, 清水 信三
    1987 年 19 巻 6 号 p. 492-496
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    朝顔症候群とtranssphenoidal encephaloceleを合併した下垂体性小人症の1例を報告した.症例は4歳10ヵ月の時に低身長精査のため当科に入院した. 入院時, 身長90.2cm (-3.5SD) と著明な低身長を認めた. 下垂体機能検査で成長ホルモンの単独欠損が認められた.また, 放射線学的検索によりtranssphenoidal encephaloceleの存在が判明した.本例の下垂体性小人症の原因としてtranssphenoidal encephaloceleが想定され, 朝顔症候群の合併とともに発生学的に貴重な症例と思われ報告した.
  • 村上 美也子, 山谷 美和, 紺田 応子, 小西 徹, 岡田 敏夫, 埜中 征哉
    1987 年 19 巻 6 号 p. 497-501
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生下時よりほぼ全身の関節拘縮を示し, 経過中に仮性アルドステロン低下症を合併した, 神経原性先天性多関節拘縮症の1剖検例を報告した.
    本症例では, 麻痺筋において著明な神経原性筋萎縮を認めたが, 非麻痺筋は正常な筋構築を示した. また, 麻痺筋を支配する脊髄レベルでは分節状の前角細胞障害が認められ, 本症の関節拘縮・筋萎縮の発現機序に前角細胞の特異な脱落が関与していることが示唆された. さらに, 本症例では頭頂葉錐体路起始部に脱髄巣が存在し, また, 副腎低形成・仮性アルドステロン低下症などのホルモン異常も伴っており, より中枢側の関与が示唆された.
  • 大滝 悦生, 山口 洋一郎, 塩月 由子, 片淵 幸彦, 松石 豊次郎, 松浦 伸郎, 山本 正士
    1987 年 19 巻 6 号 p. 502-506
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    単純ヘルペスウイルス1型脳炎 (以下HSV1型脳炎と略す) 罹患後, 著明な精神運動発達遅滞, 両側片麻痺を認め, 8カ月後シリーズ形成する点頭てんかんを発症した1歳4カ月男児を報告した. 病初期の脳波でperiodic sharp wave, CTで左右側頭葉の低吸収域が認められ, 造影剤注入後にはstreak linear enhancementを認めた. 急性期を過ぎた発症後8週のCTでは著明な左右側頭葉, 視床の低吸収域, 第III脳室拡大, 脳皮質萎縮が認められた.髄液でのenzyme-linked immunosorbent assay (以下ELISAと略す) による抗体測定によりHSV1型脳炎と確定した. HSV脳炎は, 局所症状を呈することがよく知られているが点頭てんかんを認めたという報告はわれわれが調べた範囲では見当たらなく極めてまれと考え病巣についても考察を加え報告した.
  • 藤田 之彦, 小平 隆太郎, 柳田 恭子, 杉田 郁代, 椎原 弘章, 大久保 修, 内海 康文
    1987 年 19 巻 6 号 p. 507-511
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    多発性硬膜下膿瘍に頭蓋内細菌性動脈瘤mycotic aneurysmを合併した13歳男児例を報告した. 症例は発熱, 頭痛, 右片麻痺で発症し, 頭部CT所見などから多発性硬膜下膿瘍と診断した. 硬膜下膿瘍は保存的療法のみにて消失したが, 脳血管造影にて膿瘍直下の前頭極動脈に動脈瘤を認めた. 動脈瘤は内科的療法にて縮小傾向を認めず, 破裂の危険もあったため外科的に動脈瘤摘出術を施行した. 硬膜下膿瘍などによるextravascular originのmycotic aneurysmは極めてまれであり, 炎症の最も強かった部位から波及したものと考えられた.
  • 星 詳子, 香坂 忍, 梶井 直文, 永島 哲郎
    1987 年 19 巻 6 号 p. 512-516
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    経過が遷延し, 著明な精神症状を呈した原因不明の亜急性脳炎の1例を報告した. 症例は5歳男児で, 緘黙, 夜間せん妄などの精神症状を主症状とし, 髄液細胞数に軽度の増多を認めたが, 意識は一見清明で, 神経症状を欠き, 覚醒閉眼時脳波は低振幅速波パターンであった. しかし, 発症より約3カ月後にはじめて痙攣をおこし, 髄液所見は正常であったが, 以後の脳波で意識清明時にもかかわらず, び漫性高振幅徐波を認め, 亜急性脳炎と診断した. このような脳炎において, 早期に的確に診断する事はむずかしく, 心因反応, あるいは内因性精神病との鑑別が必要となるが, 診断にあたっては, 髄液ならびに脳波検査の反復が重要と思われた.
  • 超音波断層法による観察
    小枝 達也, 安藤 幸典, 高嶋 幸男, 常井 幹夫, 前田 一雄
    1987 年 19 巻 6 号 p. 517-519
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    超音波断層法を用い, 早期産児の脳室が頭位により影響を受けることを見いだした. 前角径の変化率は, 未熟であるほど大きく, 満期に近づくほど小さくなっていた. これは, 脳室周囲の構築が成熟するに従って, 堅固になるためと考えられた. 脳室拡大の診断上, 正常値を求めることは重要だが, こうした頭位による変形を充分考慮する必要があると考えた.
  • 於保 祐子, 鈴木 義之, 埜中 征哉
    1987 年 19 巻 6 号 p. 519-521
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生直後から筋力低下があり, 精神発達遅滞を認め, 2歳2カ月で低カリウム性周期性四肢麻痺を発症し, 四肢近位筋の軽度萎縮, CKの持続高値を伴った女児を経験した. 現在までの検索では, 染色体は正常で, 免疫学的には異常なかったが, グルコース経口負荷試験で血糖上昇とインスリン分泌の低反応を認めた. 3歳2カ月で行った筋生検で, 核崩壊が主病変と考えられる特異な変化を得た. 本例の臨床症状および筋生検所見は, 従来報告されたいずれとも異なると考えられる.
  • 青木 信彦
    1987 年 19 巻 6 号 p. 522
    発行日: 1987/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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