脳と発達
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20 巻, 1 号
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  • 阿部 敏明
    1988 年 20 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 山口 勝之, 後藤 昇, 奈良 隆寛
    1988 年 20 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    8例のヒト胎児 (16~40週齢) と乳児 (2カ月) および成人 (63歳) 各1例につき, 全脳または小脳の完全連続切片を作製して, 構造別体積を測定し, 小脳の発達を定量的に検討した. 胎生期では, 小脳皮質の体積増加が著しく, とくに, 30週以後で目ざましかった. 30週以前は小脳髄質の体積増加が顕著であり, 皮質/髄質比は30週前後で大きく変化した. 小脳核は分化が早く, 小脳核間の比率は21週以後ほぼ一定であった. また, 小脳核の小脳全体に対する体積比率は徐々に低下した.
    小脳の発達を構造別体積の変化から見ると胎齢30週前後が重要な転換期と考えられた.
  • 主として臨床経過とrolandic dischargeの推移について
    角 哲雄, 香坂 雅子
    1988 年 20 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    厳密な定義により選択したbenign epilepsy of children with centro-temporal EEG foci (BECCT) 22症例の臨床経過およびrolandic discharges (RD) の推移について検討した. 対象となった症例の91%で発症後4年以内に発作が消失し, 発症後約5年までに全例で発作消失をみた. 一方, 最終予後が良好であっても経過のある時期に治療抵抗性を示す例がみられた. 2年以上無発作の後に発作再発をみることはきわめてまれであった. 最終発作から平均29ヵ月でRDの消失をみた. またRDが認められた時期に4例で断薬し経過を追ったが, 全例再発をみることなく最終的にRDも消失した. 以上より, 本てんかんでは, RDが残存していても断薬可能な場合のあることが示唆された.
  • 寺崎 智行, 伊豫田 邦昭, 山磨 康子, 大田原 俊輔, 三宅 進, 成沢 邦明
    1988 年 20 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Glycine encephalopathy の長期生存例につき新生児期より詳細な追跡的検討を行い, その臨床的脳波学的特徴および継時的推移, 視覚誘発電位 (VEP), 聴性脳幹反応 (ABR), 頭部CT像およびPAL-P, DZP, strychmine による治療効果, 更に治療に伴う血漿glycine値を中心とした生化学的所見の変化につき述べた. 新生児期の病像は, その時期の発作型がerratic myoclonia, 部分発作および強直痙攣からなり, 脳波像にsuppression-burst pattern がみられ, early myoclonic encephalopathy (EME) に属すると考えられた. なお発作型は乳児期早期にシリーズ形成性tonic spasms, 以後非対称性強直発作に変化し, 脳波像にはそれぞれの時期に対応してasymmetric hypsarhythmia, multifocal spikes がみられ順次経年的変容がみられた.
  • 大野 雅樹, 中尾 浩二, 野末 富男, 野々村 和男, 岡部 保, 豊田 桃三
    1988 年 20 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    独歩開始遅延を主訴に来院した男児において, 頭部CTを施行したところ, 偶然脳内石灰化が発見された. 本患児は種々の検査により腎性尿崩症と診断された. 脳内石灰化は両側基底核 (被殻, 淡蒼球) と前頭葉, 後頭葉および頭頂葉皮質にほぼ左右対称性にみられ, 皮質のものは灰白質と白質の境界に存在していた.
    脳内石灰化の機序は不明であるが, 原疾患に基づ<高Na, 高浸透圧血症による血管壁の障害が重要であると考えられた. なお, 本症例ではその後の精神運動発達は正常であり, 脳内石灰化による局所症状は認められなかったが, 長期予後からみると, 本症に脳内石灰化を伴っている例では, 早期からのより厳重な管理が必要であると考えられた.
  • 内田 智子, 緒方 博子, 白井 善太郎, 満留 昭久
    1988 年 20 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    X染色体-常染色体均衡転座を伴ったDuchenne型筋ジストロフィー症 (DMD) の3歳女児例を報告した. 臨床症状は腓腹筋肥大を認め, 軽度の筋力低下を示した. 筋萎縮は認めなかった. 染色体は46, X, t (X; 19) (p21.1; q 12 or 13.1) であった. 1977年GreensteinがX染色体-常染色体均衡転座を伴ったDMDの女児例を報告して以来, 欧米では約10例, 日本でも本症例を入れ6例の報告がみられる. 本例は他の例と同様に転座に関与するX染色体の切断点はXp21であるが, 転座に関与する常染色体は19番で他の報告例も様々であった. X染色体-常染色体均衡転座を伴った女性型DMDはDMD遺伝子の座位決定に有力であると考えらる.
  • 新井 幸男, 松坂 哲鷹, 豊田 桃三, 桜川 宣男, 有馬 正高
    1988 年 20 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    9歳頃より性格変化・行動異常にて発症し, 知的退行・運動退行・錐体路徴候・痙攣・前頭葉症状を呈した20歳男子例を報告した. 本症例ば血漿極長鎖脂肪酸が著明に上昇していたことよりadrenoleukodystrophy (以下ALDと略) と診断した. 従来の小児期発症ALDと比較して本症例の際だった特徴は, 1) 精神症状で発症, 2) 病初期のX線CTでの前頭葉優位の病変, 3) 原始反射などの前頭葉症状の存在, 4) 発症より11年経過し, なおかつ緩徐な経過をとっていることなどである. 前頭葉優位の所見を呈したALDはまれであり, 文献的に考察した.
  • 特に終末神経軸索の変化について
    木村 清次, 岩本 弘子, 佐々木 佳郎
    1988 年 20 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Infantile neuroaxonal dystrophy (INAD) 児の皮膚を電顕的に観察した. dystrophicaxon (DA) は腺組織周辺に存在する終末神経軸索で顕著に認められ, 計測上84%の終末神経軸索にdystrophicな変化を認めた. これに反し, 皮下神経線維束の有髄線維ではdystrophicな変化を認めず, 無髄線維で540本中2本にDAを認めたのみであり, INADの形態的病変は神経終末より始まる事が示された. また, 終末神経のDA内にはsynaptic vesicle (SV) の蓄積が顕著であり, 終末神経軸索におけるSVの形成, 機能異常と関係する可能性が示唆された. したがってINADの診断目的で皮膚を検索する場合には, 終末神経軸索が豊富に存在する腺組織周辺を検索すべきである事を強調した.
  • 電気生理学的検討
    石川 寿美, 水谷 真美, 安原 昭博, 杉本 健郎, 小林 陽之助
    1988 年 20 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    スキャンでpachygyriaを認め, 小頭症, 小顎症, carpmouthをもつ特異的顔貌と筋緊張低下, 運動発達遅滞などの所見から1issencephaly syndrome (pachygyria) と診断した1症例を経験した. 患児は2カ月からけいれん発作をきたし, 脳波は棘波が散在し基礎波の律動異常が認められた. 誘発電位や光眼輪筋反射により脳幹から視床において異常の存在することが判明した.
    近年, CTスキャンの普及により, 本症の報告例も著増したが, 本症の電気生理学的所見に関する記載は多くない. 今回, 我々が経験した本症と過去の報告例とを比較し, 脳波および誘発電位の所見を中心に検討を加えた.
  • ミオクローヌスに関する検討を中心に
    武藤 庫参, 中川 嘉洋, 北條 博厚
    1988 年 20 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    若年型 (II型) Gaucher病の1女児例について報告した. 1歳時肝脾腫で発症, 4歳時摘脾をうけた. 5歳時全般性痙攣発作, 錐体路症状, 小脳失調, 先天性眼球運動失行, 非定型欠神発作, ミオクローヌスがみられた. 発作時脳波は, 3.5~4Hzの全般性棘徐波結合を示し, 光過敏性, 高振幅SEPなど, 進行性ミオクローヌスてんかんのリピドーシス型としての症状を示した. 患児にみられたミオクローヌスは, 主に動作, 企図により誘発される動作ミオクローヌスからなり, 皮質反射性ミオクローヌスとしての特徴を有していた.
  • 小枝 達也, 天満 真二, 鶴田 悟, 若園 吉裕, 太田 茂, 高嶋 幸男
    1988 年 20 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    点頭てんかんに対するACTH療法中に, 心不全症状を呈し心エコーにて肥大型心筋症 (hypertrophic cardiomyopathy HCM) と診断した乳児例を報告した. 心不全症状は, ACTH中止により速やかに改善し, 心エコー上の心肥大も18カ月後には減少していた. 本例のHCMの発症にはACTHが関与していると考えられた. 文献例および本例からはその発生要因はあきらかでないが, 無症候性HCMも考えられる. 今後, ACTH療法中に心臓の形態や機能を経時的に測定することが重要と思われる.
  • 藤田 之彦, 日吉 一夫, 若杉 直俊, 作田 亮一, 柳田 恭子, 淵上 達夫, 後藤 一彦, 大久保 修, 内海 康文
    1988 年 20 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ロタウイルス腸炎罹患を契機にそれまで頻発していた痙攣発作が一時的に全く消失した点頭てんかんの2例を報告した. 2例ともに症候性点頭てんかんであり, 一日に10回程度のシリーズ形成の痙攣発作が下痢出現後3日目には1日に1回となり5日目からは全く消失した. また脳波上も2例ともに改善し, 発作波は限局化を示した. しかしそれぞれ痙攣発作消失後16日目と30日目に下痢出現前と同様の発作型で再発した. これらの作用機序は不明であるが, 突発性発疹症や麻疹などの感染症でも同様の報告があり免疫学的作用機序などが推察された.
  • 高橋 貢, 鈴木 俊二, 長尾 秀夫, 松田 博
    1988 年 20 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺炎球菌による化膿性髄膜炎をくり返した男児例を報告した. 頭蓋, 全脊椎の単純X線検査, 通常のCT検査では異常を認めず, また, 免疫学的にも異常は認められなかった. 3回目の化膿性髄膜炎発症後に冠状CT検査を施行し, 節板の欠損と飾骨洞内に約1×2cmの脳脱を認めた. 耳鼻科的手術を施行し, 術後の経過はきわめて良好である. RI cisternographyと糸つき綿球を一定の鼻腔内に挿入しRIカウントを測定することによる髄液鼻漏の診断は, 髄液鼻漏の存在と部位の確認, 手術予後の判定に有用と思われた.
  • 多田 博史, 三宅 捷太, 山田 美智子, 岩本 弘子, 桜庭 均
    1988 年 20 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ガラクトシアリドーシスの3歳5カ月男児例を報告した. 右外斜視, チェリーレッド斑, 軽度のガルゴイル様顔貌, 肋骨および椎骨の骨変化, hyper extensitibilityを認めた. 末稍血白血球および培養皮膚線維芽細胞のβ-ガラクトシダーゼ活性の低下とノイラミニダーゼの活性の著明な低下を認めた. 培養皮膚線維芽細胞の培地にチオール系蛋白分解酵素阻害剤ロイペプチンを添加することによりβ-ガラクトシダーゼ活性の上昇が, また, 正常細胞の分泌物より調整した「矯正因子」の添加により両酵素の活性上昇をみた. 抗β-ガラクトシダーゼ抗体を用いた免疫沈降法およびSDSポリアクリルアミド電気泳動による分析の結果, 患者細胞では分子量32kDaの蛋白の欠損がみられた.
  • 高柳 俊光, 森 正孝, 永末 俊郎, 伴 信太郎, 木下 研一郎, 辻 芳郎
    1988 年 20 巻 1 号 p. 74-76
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は10歳女児で著しい低身長 (-3.4SD) を主訴として来院した. 身体所見および発育曲線より下垂体小人症が疑われたが, 内分泌学的精査では異常を認めえなかった. 父親がHAMと診断された際の家族内検索にて, 患児の血清および髄液の抗HTLV-1抗体は陽性であり, 走るのが遅いことや軽度の痙直と腱反射亢進から若年発症型のHAMと診断された. 本症の若年発症例と成長障害 (低身長) との何らかの関係が示唆される症例である.
  • 満留 昭久, 竹下 佐和, 大府 正治, 内田 智子, 緒方 博子, 入江 勝一
    1988 年 20 巻 1 号 p. 76-78
    発行日: 1988/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    3~13歳までの20例について脛骨神経を50回刺激し, F波の正常波形の分析を行った. F波出現頻度, 潜時, 身長による修正潜時, chronodispersion, 持続時間, 振幅, F/M ratioおよび伝導速度を測定した.
    2, 3の成人のデータと比較して, 振幅の絶対値は小さいのに対し, F/Mratioは逆に大きくなっているのが特徴的であった.
  • 1988 年 20 巻 1 号 p. 84a
    発行日: 1988年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 20 巻 1 号 p. 84b
    発行日: 1988年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 20 巻 1 号 p. 84c
    発行日: 1988年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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