DSM-III分類でatypical pervasive developmental disorderに分類せざるをえないcommunication障害児52例の臨床的神経心理学的脳波学的検討を行った.
共通する臨床症状として, 幼児自閉症を思わせる反応様式・行動がみられるものの, 反応性の全般的な欠如, 言語発達における粗大な欠陥はみられず, 予後良好のものが多いことが特徴的であった. 特に, 37例では2~3歳から文字を続み始めることが注目された.
神経心理学的検査でも聴覚構成能力, 聴覚連合能力, 視覚一自動運動の障害がみられたが, 症状の改善とともに著明なIQの上昇, patchy defectの改善を示した.
脳波検査では基礎波の発達の良好なものが多いことが特徴的で, てんかん波は34.6%で認められた.
2~3歳から文字を読み始める予後良好のcommunication障害は, 幼児自閉症あるいはhyperlexiaと対置させうる, ひとつの明確な臨床単位と考えられ, benign hyperlexiaの名称が妥当と考えられる.
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