脳と発達
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22 巻 , 6 号
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  • 青木 継稔
    1990 年 22 巻 6 号 p. 538
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 文晴
    1990 年 22 巻 6 号 p. 539-545
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    東京都多摩地区の4市において把握された6~14歳の重症心身障害児合計43例を対象に, 小児神経学的ならびに障害の原因の検討を行った. 43例中23例が痙性四肢麻痺を呈し, 次いで9例が痙性両麻痺であった. Dyskineticな筋緊張亢進を示した例はわずかに1例であった. 障害の原因は過半数の25例 (58%) が先天性, 周生期障害が6例 (14%), 12例 (28%) が後天性であり, 先天性の占める割合が高く, 周生期の割合の減少が目立った. 障害原因の検討から, 全体の半数近くが今後の医学・医療の進歩によって発生予防可能ではないかと考えられた. 43例中30例においてCTスキャンを検討したところ, 先天性の原因による群では脳の高度な奇形性病変が多く, また髄膜炎後遺症などの後天性の群でも高度の脳の破壊性病変を示すものが多かった.
  • 岩川 善英, 下平 雅之, 近藤 靖児, 佐藤 吉昭
    1990 年 22 巻 6 号 p. 546-550
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    幼児期早期の色素性乾皮症A群8例に終夜睡眠ポリグラフ (PSG) を含む神経生理学的検査を施行した. 聴性脳幹反応, 末梢神経伝導速度, 脳波ではこの時期には異常はみられなかったが, 睡眠パラメーターには種々の異常がみられた (%REM睡眠の減少, REM睡眠の急速眼球運動出現率の低下, 睡眠中の体動の異常). 特に黒質-線条体系ドパミン依存性の体動の異常が全例にみられた.
    神経系の障害は発達早期から広範性に見られることから, 紫外線に代わって, 普遍的に存在する内因性の因子が神経系のDNA障害を引き起こすものと考えられた. 臨床神経学的所見とPSGの結果から, 活性酸素がその因子の一つである可能性を論じた.
  • 塩田 敬
    1990 年 22 巻 6 号 p. 551-559
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    大脳の両側性破壊病変をもつ重症心身障害児の剖検例11例の神経病理学的検索を行った. 大脳病変は皮質病変優位型6例, 白質病変優位型3例, その他2例の3群に分類した. 皮質病変は帯状回, 島回と穹隆面に強く, 脳回谷部に優位であった. 白質病変は半卵円中心の組織の萎縮, 脱落, グリア瘢痕を示し, 後頭葉領域により目立った. 視床病変は6例に見られ, 背側核と外側核が傷害され易いが, その病変分布は大脳病変と相関しない. 視床諸核は種々の傷害因子に対して各々異なった脆弱性を有するものと考えられる. 基底核は傷害され難い. 小脳病変は9例に認められ, その病変の性質と広がりは大脳病変と類似性が認められた.
  • 鶴井 聡, 杉江 秀夫
    1990 年 22 巻 6 号 p. 560-565
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Menkes病のモデル動物と考えられているmacular mouse (Ml/y, +/y) を用い, 各臓器湿重量, 銅含量, ミトコンドリア電子伝達系複合体活性, 2', 3'-cyclic nucleotide 3'-phosphohydrolase (CNPase) を測定した. 銅含量は, 対象mouse (+/y) に比較し, 肝臓脳, 心臓で著明に減少していたが, 腎臓では逆に高く, 各臓器での銅分布不均衡が示された. 電子伝達系複合体活性 (cytochrome c oxidase (CCO), NADH-cytochrome c reductase, succinatecytochromec reductase) は, 脳, 心臓で, CCOのみ低下しており, 銅依存性酵素活性の選択的障害としてとらえられた. また脳では, 日齢2日目の時点ですでにCCOの選択的低下を認めた. CNPaseは日齢14日目で有意な低下を認め, 銅含量の低下ばかりでなく, 髄鞘形成の障害が示唆された.以上より, macularmouseはMenkes病の病因を解明する上で有用な動物モデルであると考えられた.
  • 鶴井 聡, 杉江 秀夫
    1990 年 22 巻 6 号 p. 566-572
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Nuclear magnetic resonance (NMR) を用いMenkes kinky hair病のモデル動物であるmacular mouseの脳代謝を測定し, Menkes病の中枢神経障害の発生機序について検討した. invivo下の31P-NMR spectrum分析では, phosphocreatine (PCr)/inorganic phosphate (Pi) が+/y; 1.70, Ml/y; 1.15と低下しており脳内エネルギー代謝の低下を示した. さらに, ATPの減少も伴っておりエネルギー代謝の低下の原因は, 単一要因でなく, ミトコンドリア呼吸鎖障害, 二次的な循環不全等の複数の要因によるものと考えられた. in vitro下の1H-NMR spectrum分析では, PCr, creatine, 乳酸, GABA, およびN-acetylaspartate (NAA) 等をはじめとする各種アミノ酸の定性および, 定量が可能であった. Ml/yでは, 乳酸が上昇しており, 上記要因によるものと考えられた. またPCr/creatineはMl/yで低下しておりin vivoの結果と一致した. 以上, NMRを用いることにより脳代謝について多くの情報を簡便に得ることができた.
  • 小寺沢 敬子, 児玉 荘一, 中村 肇
    1990 年 22 巻 6 号 p. 573-581
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    正常発達している在胎26週4日から32週4日で出生した早期産児が満期に達した時点で記録した動睡眠脳波をパワースペクトル分析したところ, 受胎後週数が進むにつれ, δ1帯域の%パワーは減少し, δ2, θ1, θ2の%パワーは増加し, 受胎後週数に伴う発達が明瞭となった. また, 前頭部, 中心部, 頭頂部, 後頭部の4部位で部位差を検討したところ, 新生児期は中心部が最も進んでいることが判明した. 早期産児と正期産児を, 同一受胎後週数で動睡眠脳波を比較すると, 早期産児は正期産児に比し, δ1帯域の%パワーは高値で, δ, θ1, θ, 帯域の%パワーは低値であった. つまり, 正常発達している早期産児も新生児期脳波の上では正期産児より未熟であった.
  • 小寺沢 敬子, 児玉 荘一, 中村 肇
    1990 年 22 巻 6 号 p. 582-588
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    仮死産児33例の動睡眠脳波をパワースペクトル分析し, 仮死なく出生し, 正常発達を示すコントロール群と比較した.減少パターンの2つの異常パターンが得られた.
    障害 (-) 群は, コントロール群に相当する%パワーを示した.減少パターンの2つの異常パターンが得られた.
    障害 (+) 群は, コントロール群に比べ,(1) δ1帯域の%パワーが増加パターン,(2) δ1帯域が減少パターンの2つの異常パターンが得られた.
    障害 (+) 群で, コントロール群に相当する%パワーを示した脳波の中には, 明らかに活動性の悪いものも含まれており, パワースペクトル分析に, 視察的所見を加味する必要性があると考えられた.
  • 若井 周治, 舘 延忠, 石川 幸辰, 岡部 稔, 南 良二, 木林 正弘
    1990 年 22 巻 6 号 p. 589-595
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Benign familial neonatal convulsions (BFNC) の1家系を報告し, その発端者の臨床像および脳波所見を中心に検討した. 発端者の発症は生後2日目であり, 発作型の主体は, multifocalclonicおよびfocalclonicseizureであった. その時点での発作間激期脳波には特に異常を認めなかった. フェノバルビタールは, 本症例の発作の頓挫にはある程度有効と思われた. 生後3カ月および4カ月時に発作の再出現をみた. 4カ月時の発作は, generalized tonic clonic seizure (GTCs) であり, 発作時脳波は, 従来より報告されているGTCsの発作時脳波と類似していた. 過去の報告例の発作型, EEG pattern, 抗痙攣剤に対する反応, 発作再出現の時期などについても併せて検討し, BFNCの臨床像の特徴について考察した.
  • 小枝 達也, 菅沼 育雄, 河野 義恭
    1990 年 22 巻 6 号 p. 596-601
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    未熟児を背景に持つ痙性両麻痺児17名を対象に, その運動障害の重症度と大脳半球機能の左右差を調べた. その結果, 症状が重くなると (1) 運動障害は上肢に波及し, とくに右手に痙性麻痺の徴候があらわれるため, 必然的に左手利きになる,(2) 両耳分離機能検査で右耳優位性がうすれ利き耳が混乱することが示された. また, 17名中10名に施行した頭部MRI検査では, 側脳室体部の脳室周囲白質にT1強調画像で低信号, T2強調画像で高信号の病巣が両側性に認められた. しかし病巣の大きさの左右差がはっきりしない症例もあり, 臨床症状の左右差を必ずしも表現していなかった. 最後に, 臨床上の左右差, とくに右手に痙性麻痺徴候があらわれやすいことについて, 個体側の因子の関与を提言した.
  • 新井 ゆみ, 佐藤 順一, 森松 義雄, 林 雅晴, 篠崎 昌子, 石崎 朝世, 坂本 皓哉, 佐々木 日出男, 篠原 猛, 水谷 俊雄, ...
    1990 年 22 巻 6 号 p. 602-607
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    幼児期すでに精神遅滞を認め, その後原因不明の高熱後に発達退行を来し, 肝癌にて死亡した重度脳障害の52歳女性について病理学的検討を行った. 主な病理所見として, 脳の萎縮, 白質の狭小化, 髄鞘淡明化, 線維性グリオーシス, 視床の大理石様状態等, 幼少時における脳の破壊的プロセスと, その結果としての発達障害を示唆する所見の他に, 小脳歯状核グルモース様変化および, 神経原線維変化 (NFT) をアンモン角, 青斑核, マイネルト核に認めた. 老人斑は出現しておらず, NFTの分布は福山型先天性筋ジストロフィー症に認められる分布と極めて類似しており, 通常の老化としての変化とは異なった, 脳の発達障害に基づく早発老化もしくは変性と考えられた.
  • 鈴木 文晴, 成瀬 浩
    1990 年 22 巻 6 号 p. 609-610
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    5例のRett症候群幼児において, カテコラミン代謝と密接な関係にあるビオプテリンの髄液中濃度を測定し, 4例の病的コントロールと比較した. この結果Rett症候群患児の髄液中ビオプテリンは低下の傾向にあった. Rett症候群における髄液中カテコラミンの低下や, Rett症候群の症状が自閉症と類似する点があることを考えると, この結果は理解可能であり, Rett症候群の病因追求の方向性にヒントを与えるものであると思われた.
  • 大滝 悦生, 山下 裕史朗, 堀川 瑞穂, 寺澤 健二郎, 片渕 幸彦, 松石 豊次郎, 荒牧 修一, 吉田 一郎, 芳野 信
    1990 年 22 巻 6 号 p. 610-612
    発行日: 1990/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    重度精神運動発達遅滞を伴う同胞例 (姉5歳;弛緩性四肢麻痺, 妹3歳;痙性四肢麻痺) にて筋生検を施行しその結果, cytochrome c oxidase (CCO) 活性において組織化学染色上は, 姉妹ともに低活性を示したが, 筋組織からの分離ミトコンドリアでの生化学的測定値では姉は正常範囲内であり, 妹は低下していた症例を報告した. CCO欠損症は, さまざまな臨床像を示すことで知られている. その診断についてはミトコンドリア異常を伴わない神経筋疾患群の中にもCCO活性低下例がみられる場合もあるため, ミトコンドリア異常が一次的病因か否かは個々の症例の重症度, 進行度, 血中, 髄液中の乳酸, ピルビン酸値など総合的な判断が必要であり, さらに同胞例で症状が異なる場合, 臓器特異性についても考慮した上で慎重に確定診断すべきであると思われた.
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