脳と発達
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23 巻, 1 号
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  • 飯沼 一宇
    1991 年 23 巻 1 号 p. 3
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 文晴, 相原 正男, 須貝 研司
    1991 年 23 巻 1 号 p. 4-8
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    某県下全域における学齢児の重症心身障害児 (大島分類1~4該当児) の有病率・障害の重複の実態・障害の原因を検討した.県下の学齢児総数は約10万2千人, 重症心身障害児措置入院施設, 養護学校, 児童相談所を対象とした調査から確認された重症心身障害児は合計50名であり, その有病率は該当人口千人当り0.49であった.大島分類別にみると分類1該当児が全体の66%を占め, 重度障害児が多かった.てんかん, 視力障害, 呼吸障害, 摂食障害の合併はそれぞれ全体の82%, 42%, 16%, 32%であった.障害の原因の発生時期では, 出生前が過半数の60%を占め, 周生期, 出生後の割合は相対的に低かった.過去の報告と比較して本邦における重症心身障害児の有病率は低下傾向にあり, また出生前の病因の重要性が相対的に増加していると結論した
  • 加我 牧子, 鈴木 文晴, 曽根 翠, 加我 君孝, 荒木 敦, 平山 義人
    1991 年 23 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    重度脳障害児9例を対象に経外耳道的に蝸電図法で蝸牛神経複合活動電位 (AP) を記録し, 聴性脳幹反応 (ABR) と比較した.
    臨床的に聴覚の反応が鈍いながらも観察された3症例はABRもAPもともに確認された.臨床的に聴覚的反応がなかった6例のABRは無反応で, このうち4例はAPも無反応で蝸牛, 蝸牛神経レベルでの障害が推定された.2例は低振幅, あるいは幅広い波形のAPが記録された.
    特に無酸素脳症の2例でABRはいずれも無反応であったが1例にはAPが観察され, 1例ではAPも無反応であった.すなわちABRが無反応であっても異なったレベルでの障害を示すものがあることが非侵襲的, 臨床神経生理学的に証明された.
    蝸電図はABR無反応で高音圧の音に反応する重度脳障害児の病態解明に役立つものと考えられる.
  • 山田 信二, 冨田 豊
    1991 年 23 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児眼筋型重症筋無力症8例につき, 上顔面神経刺激による眼輪筋での誘発筋電図を多くは睡眠下で検討した.Harvey-Masland法では, 8例中6例でwaningを認めた.本検査陽性例4例中3例にてM波回復曲線は, 約100msec以上の刺激間隔で減衰を示した.経過を追って施行できた2例では, M波回復曲線は抗コリンエステラーゼ剤によって100msec以下の刺激間隔で100%を越えて曲線を押し上げたが100msec以上ではその効果は弱かった.それに対して, ステロイド剤では100msec以上の刺激間隔で曲線を押し上げた.これらの結果は, 神経筋接合部の病態変化を反映すると考えられた.眼輪筋誘発筋電図は小児の重症筋無力症の診断, 病態把握上有用である.
  • 木村 清次
    1991 年 23 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Neuronal ceroid-lipofuscinosis (NCL), Lafora病, mucopolysaccharaidosis (MPS), Nieman-Pick病, Fabry病, GM1 gangliosidosis (GM1), metachromatic leukodystrophy (MLD), Krabbe病などの皮膚汗腺上皮の形態を観察し, 次の結果を得た.
    1) 疾患特異的な封入体が汗腺上皮にみられ, MPSとGM1を除き, 電顕所見のみでも各疾患の鑑別は可能と思われた.
    2) NCLの中で, juvenile NCLの封入体は顆粒状物質のみで他型との鑑別は容易であったが, late infantile, early juvenile, juvenileの各型ではcurvilinear profileとfingerprint patternの両者 がみられることが多く, 形態のみでは鑑別不能例もあった.
    3) Nieman-Pick病A, Cの両型は, 封入体の形態のみでは鑑別ができなかった.
    4) Fabry病では23歳女性保因者を検討した.汗腺上皮に封入体がみられ, 保因者検索にも皮 膚生検が有用であることが示唆された.
    5) MLD, Krabbe病でも汗腺上皮に特徴的な封入体が認められた.
  • 下村 千枝子, 松坂 哲應, 小出 英一郎, 木下 節子, 小野 靖彦, 辻 芳郎, 川崎 千里, 鈴木 康之
    1991 年 23 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳幹機能障害を伴う昏睡例と中枢性無呼吸例の脳幹機能の評価を目的として, 自己回帰スペクトル分析による心拍変動解析を行い, さらに聴性脳幹反応との比較検討を試みた.心拍変動解析により, 心拍の総変動量を示すトータルパワー (TP), 呼吸性変動すなわち副交感神経の関与した高周波成分 (HF) および交感神経も関与している低周波成分 (LF) を求めた.昏睡群は, すべてTPの著しい低下を示した.特に経時的測定を行った症例では, 心拍変動解析の結果と, 聴性脳幹反応および臨床経過とは非常によく一致した.中枢性無呼吸を示した2例は, TPは正常であるが, HFのみ低下を認めた.心拍変動解析は, 脳幹機能の定量的, 分析的評価に有用な検査と思われる.
  • 高アンモニア血症と低カルニチン血症について
    松井 潔, 岩本 弘子, 大槻 規行, 小林 拓也, 三宅 捷太, 山田 美智子
    1991 年 23 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    バルプロ酸による高アンモニア血症と低carnitine血症について重症心身障害児を中心に検討した.血清free-carnitineはバルプロ酸投与例で有意に低下していたが, 栄養方法も重要な因子で経管栄養例は経口栄養例に比べ低値を示した.Carnitineの投与は血中アンモニア高値例で改善し, 低carnitine血症も改善された.L-carnitineとDL-carnitineの比較では高アンモニア血症には差を認めなかったが, 低カルニチン血症に対してはL-carnitine投与の場合, 全例30nmol/ml以上となり有効であった.バルプロ酸投与による長期的な高アンモニア血症や低カルニチン血症は知的活動や脂肪酸代謝に悪影響を及ぼしている可能性があり, カルニチン投与は重要な治療法であると考える.
  • とくに軸断面, 矢状断面の連続記録による検討
    長尾 秀夫, 森本 武彦, 佐野 のぞみ, 高橋 貢, 永井 宏尚, 田和 律子, 吉松 誠, 禹 泳宗, 松田 博
    1991 年 23 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Nuchenne型筋ジストロフィー (DMD) の病態を客観的に評価するためにDMD患者13例の骨格筋MRIを記録した.方法は患者の右下腿を軸断面と矢状断面の方向で連続的に撮影した.T1値は腓腹筋とヒラメ筋では発病初期から低下し, 末期になるとすべての筋で低下した.また, 矢状断面において高信号域は腓腹筋では遠位のヒラメ筋と隣接する部分から, ヒラメ筋では腓腹筋と隣接する部分から出現し, 連続軸断面においては脛骨筋で近位の周辺部から出現するのがみられた.従って, DMDの筋病変は筋肉により出現時期が異なるのみならず, 筋肉の部位により病変の出現時期が異なり, とくに筋腱移行部から高信号域が早期に出現し
  • 久保田 健夫, 田角 勝
    1991 年 23 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児59例に対し超音波ドプラ法を用いて, 生後1カ月における前大脳動脈 (ACA), 内大脳静脈 (ICV) の血流速を測定した.出生児体重により成熟児群, 未熟児群, 極小未熟児群の3群にわけ, 新生児期の変化について検討し以下の結果を得た.1) ACA血流速は, いずれの群でも日齢とともに増加する傾向を認めた.2) ICV血流速もACA血流速と同様に, いずれの群でも日齢とともに増加する傾向を認めた.3) 各日齢で3群を比較すると, ACA血流速およびICV血流速はともに出生体重が大きい方が速い傾向を認めた.4) ACA血流速とICV血流速の間には正の相関を認めた.5) 新生児, 未熟児の脳血流の把握には, 動脈のみならず静脈血流速も検討する必要があると考えられた.
  • 木村 正彦, 加藤 雅子, 吉野 邦夫
    1991 年 23 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    5名の重度重複障害児について甲状腺機能検査を行った.TSH, T4, T3のいずれかの異常を認めたものが54例 (53%) あった.原発性甲状腺機能低下症が2例, Septo-optic-dysplasiaによる潜在性の視床下部-下垂体性甲状腺機能低下症が2例あった.他のほとんどは抗痙攣剤服用によると考えられ, 血清T、値は抗痙攣剤の数に相関した.4例にL-thyroxineを投与したが臨床的改善を示さず, 全例血清TSH値の低下とTRH試験の低反応を示した.血清T3値のみ低値の10例は抗痙攣剤の投与とは関係せず, そのうち2例は栄養状態, 全身状態が悪い, low T3症候群であった.重度重複障害児では多様な原因の異なる甲状腺機能状態がみられた.
  • 浜野 晋一郎, 奈良 隆寛, 野崎 秀次, 福島 清美, 今井 祐之, 熊谷 公明, 前川 喜平
    1991 年 23 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    N-isopropyl-p-I-123-iodoamphetamineによるsingle photon emission computed tomography (SPECT) を用いて25例の片麻痺の小児におけるcrossed cerebellar diaschisis (CCD) の出現について検討した.対象の25例のうち, 7例は脳性麻痺で, 18例は発症年齢10カ月から14歳の後天性脳障害である.その結果5例20%にCCDが認められた.CCDの認められた5例は7歳以後の発症で, それ以前の発症の後天性脳障害と脳性麻痺では認められなかった.Ipsilateral cerebellar diaschisisは3歳以下の発症の片麻痺の3例と脳性麻痺の2例に認められた.以上の結果から, diaschisisは3-7歳の間を境に出現の様式が異なり, 7歳以後には成人と同様のcrossed cerebellar diaschisisが認められると考えられた.
  • 宮崎 雅仁, 西條 隆彦, 森 健治, 田山 正伸, 内藤 悦雄, 橋本 俊顕, 黒田 泰弘, 埜中 征哉
    1991 年 23 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Epilepsia partialis continuaを呈したmitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and strokelike episodes (MELAS) の14歳1カ月男児例を報告した.本症例は8歳時に自家中毒様の反復する腹痛および嘔吐で発症し, 10歳7カ月, 10歳9カ月, 14歳1カ月の3回にわたりミオクロニー発作, 一過性の片麻痺などの脳卒中様症状を認めた.14歳1カ月時はepilepsia partialis continuaを呈し, 10日間にわたり, 脳波上, 右中心部に出現する棘波に同期する左前腕のミオクロニー発作が持続した.血液および髄液中の乳酸・ピルビン酸の上昇, 頭部CTでの両側側頭部の低吸収域, 生検筋ではragged-red fiberが認められた.
  • 石川 丹, 岡安 多香子, 宮坂 和男, 福島 直樹, 高瀬 愛子, 我妻 義則
    1991 年 23 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    乳児期から精神運動発達の遅れを, 幼児期から間歇的失調を呈し, 5歳時診断した軽症変異型メープルシロップ尿症の1例を報告した.失調出現時の血漿中ロイシン, イソロイシン, バリンの値は正常値の2.0-2.7倍に過ぎなかった.皮膚線維芽細胞を用いて測定した側鎖アミノ酸の脱炭酸能はロイシンの場合正常の40%, イソロイシンでは47%であった.7歳時MRIにて白質低形成と脳幹小脳萎縮を認めた.食事療法をしているが, 臨床症状もMRI像も改善していない.
  • 畠山 和男, 相原 正男, 清水 晃, 内田 則彦, 犬飼 岳史
    1991 年 23 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児期に発症し, 多彩な高次脳機能障害を呈した多発性硬化症 (MS) を報告した.症例は, 12歳男児, 右利き.数日間続くふらつきと頭痛が2カ月前にあり, 今回同様の症状が再び出現し, 視力・視野障害, 左脳神経麻痺, 左側優位の錐体路徴候, 右側の知覚障害が認められるようになった.さらに, 健忘性失語・失算・観念運動失行・手指失認・左右認知障害といった高次脳機能障害が出現した.また頭部X線CTで左頭頂葉白質の広汎な低吸収域を認め, 中脳右前外側と両側視放線にも低吸収域を認め, 以上よりMSと診断した.高次脳機能障害を呈するMS症例は極めて稀であり, 高次脳機能障害の発現機序として, 皮質問伝導障害の関与が推測された.
  • 石川 幸辰, 亀田 桂司, 岡部 稔, 今井 富裕, 永岡 正人, 南 良二
    1991 年 23 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    I型高プロリン血症に光過敏性てんかんを合併した9歳女児例を報告した.7歳頃より, てんかん, 言語・運動面での退行を認めている.血中プロリンは0.53-0.98mMと正常の2-4倍と高値を示し, 0.95mMの際には, イミノグリシン尿が認められた.肝proline oxidase活性は, 正常対照の23.5%と部分欠損を示した.無プロリンミルク, 低蛋白食にても, 血中プロリン値は有意に低下せず, 児の精神・運動面での退行が進行している.今後, この面での症例の集積が待たれる.
  • 渡辺 雅子, 藤原 建樹, 中村 仁, 森川 建基, 八木 和一, 清野 昌一
    1991 年 23 巻 1 号 p. 87-92
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    亜急性硬化性全脳炎 (SSPE) と診断された3例について, 閉鎖回路ビデオ脳波モニタリング (CCTV-EEG) を用いてその発作性の運動症候を観察検討した.その結果全例において, 覚醒中で, かつ座位・立位・上肢を伸展挙上しているなど抗重力筋が一定の緊張を保っている時に限り, 体全体が一瞬傾き頭部が前屈する運動や上肢が落下するのが観察され, かつ脳波上の反復性同期性発射 (PSD) 出現と1対1の対応が認められた.その際, それまで認められていた随意的筋収縮が中断し筋放電が消失することがCCTV-EEGにおいて確認された.SSPEにみられるこの運動現象に関するこれまでの報告と比較検討し, asterexisとの関連から考察を加えた.
  • 鈴木 文晴, 平山 義人, 平野 悟, 高橋 立子, 埜中 征哉, 杉江 秀夫, 杉山 成司
    1991 年 23 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    従兄弟婚の両親から生まれた出生前の不明の原因による脳障害と推定されていた重症心身障害児が, 13歳の時点で軽症の感染を誘因に横紋筋融解・ミオグロビン尿症を発症した.生検筋の生化学的検討から本児はcarnitinepalmitoyltransferase (CPT) 欠損症と診断された.保存的治療により患児は約1カ月後に症状・検査所見とも正常化した.本症は稀な疾患であり, さらにこれまでの報告では平素健康であった例が多く, 本児のように乳児期発症の重症心身障害児の報告は現在までない.CPT欠損が本児の以前からの障害の原因であるのか, あるいは全く偶然の合併であるのか明らかではないが, 極めて稀な1例であると考えられた.
  • 所 敏治, 山本 敏春, 奥野 章, 鈴木 英明, 宮脇 茂樹, 前川 喜平, 衛藤 義勝
    1991 年 23 巻 1 号 p. 98-100
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々は, ニーマンピック病モデルマウスとして知られるC57BL/KsJ系spm/spmマウスのコレステロール代謝を検討した.肝臓, 脾臓, 腎臓などの各臓器におけるコレステロールの蓄積は, 対照と比べ約1.5-4.0倍と増加し, その細胞内局在は, フィリピン染色を用いた組織螢光染色法による光顕所見や電顕所見により, ライソゾームにあることが明らかとなった.さらに, ニーマンピック病モデルマウス皮膚繊維芽細胞を用い, 3H-01eateのcholesteryl-[3H]-oleateへの取り込みを検討することにより, 本症モデルマウスに, コレステロールのエステル化障害が存在することを見いだすことができた.
  • 須永 康夫, 藤永 隆, 田村 宏
    1991 年 23 巻 1 号 p. 100-102
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    確定的ライ症候群3症例のCT像を検討した.その特徴は, 症例1, 2の広汎な白質, 対称性の視床, 小脳, 脳幹の低吸収域と, 症例3の前頭, 後頭部の限局性低吸収域を示した点にある.これら3症例のCT像の成立機序として, 従来言われているような脳浮腫による, 限局性血管閉塞では説明し難いと推論した.
  • 新しいmigration disorder
    遠山 潤, 小枝 達也, 稲垣 真澄, 大野 耕策
    1991 年 23 巻 1 号 p. 102-104
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    頭部MRI所見で大脳皮質下に厚い灰白質の信号強度を持ち, 特徴的な異所性灰白質 (band heterotopia) の存在を示す8歳女児を報告した.臨床的には難治性痙攣, 軽度の精神運動発達遅滞と不器用さがみられた.“double cortex” imageとも呼ばれるその特徴的なMRI画像と, てんかん, 軽度知能障害という臨床的な特徴から, migration disorderの範疇に入る新しい独立した症候群と考えられた. 本症例の診断にはMRIが有用で, 今後同様の症例の蓄積が期待される.
  • 宮崎 雅仁, 橋本 俊顕, 桜間 典子, 吉本 勉, 黒田 泰弘
    1991 年 23 巻 1 号 p. 104-106
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    左椎骨動脈の走行異常により中枢型睡眠時無呼吸を呈した5歳男児例を報告した.頭部MRIでT1, T2およびPD強調画像ともに低信号を呈する左椎骨動脈が延髄を腹側より圧迫する所見が得られ, 椎骨動脈造影ではMRIで認められた圧迫部位に一致して左椎骨動脈のループ状の蛇行を認めた.自験例では中枢型睡眠時無呼吸の原因の1つとして血管の走行異常による呼吸中枢の圧迫が考えられた.
  • 戸田 達史, 松村 喜一郎, 渡辺 俊明
    1991 年 23 巻 1 号 p. 106-109
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    福山型先天性筋ジストロフィー (FCMD) に伴う脳奇形は主に脳表の異常であり生前の検討は困難である.我々はFCMD症例の中枢神経病変を新たに開発された三次元脳表MR画像にて検討した.その結果, 前頭葉, 側頭葉, 特に上中前頭回に厚回様小多脳回を認め, 後頭葉では本来の小多脳回を認めた.さらに左右大脳半球の癒合を認め, 小脳foliaの低形成も疑われた.本法によりFCMDの小多脳回が鮮明に描出され, その分布, タイプの判定も可能であり, FCMDの確定診断に重要な中枢神経病変の検出にきわめて有用であった.
  • 鈴木 文晴, 原 仁, 市場 尚文
    1991 年 23 巻 1 号 p. 110-111
    発行日: 1991/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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