脳と発達
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23 巻, 5 号
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  • 竹下 研三
    1991 年 23 巻 5 号 p. 434
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 光弾性手法の応用
    中川 博文, 飯沼 和三
    1991 年 23 巻 5 号 p. 435-439
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    発達神経学において姿勢制御機能の発達解析は極めて重要であり, 解析方法としては, 足底と床面との足圧分布測定が有効である.本研究では, 力を等色線画像化できる光弾性手法を足底のセンサ部に用いて, 計測を行った.体重負荷の分配において重要な役割を果たす足アーチの発達評価を行う目的で, 筋緊張低下症を伴うことが知られているDown症候群を臨床モデルとして, 調査を行った.足圧分布の縞パターンを解析した結果, 一次縞個数nや変動係数Cvは, Down症候群と健常者との間で有意の差があった.本法は, 静止立位時に果たす足の骨格と筋の機能面を定量評価する上で有効性を発揮するものと考えられた.
  • Down症候群の比較考察
    中川 博文, 飯沼 和三, 高橋 賞
    1991 年 23 巻 5 号 p. 440-445
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    光弾性手法を利用して, 足底と床面との問に発生する接触圧力分布を測定後, 時系列解析を行った。足圧分布データから, 姿勢制御機能の発達や成熟度を評価する目的で特異的な姿勢が知られているDown症候群を臨床モデルとして, いわゆる静止立位時の足圧分布を解析した.その結果, 足圧中心位置はDown症候群において常につま先側に変位していること, 同一個体の両足底間の比較から足圧中心は左側では踵寄りに, 右側ではつま先寄りに配置される傾向が認められること, 左右の足の何れにより大きな体重負荷がかかるかをみるとどちらにも偏っていないこと, 等が明らかにされた.さらに, 足の外反・回転運動等に伴う足圧中心位置の変化を追跡することにより, Down症候群における不安定性を数値的に明らかにした.
  • 治療前後における比較検討
    小西 徹, 長沼 賢寛, 本郷 和久, 村上 美也子, 山谷 美和, 岡田 敏夫, 高久 晃
    1991 年 23 巻 5 号 p. 446-452
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    手術前後で経時的にIMP-SPECTを検索できたもやもや病患児5例において, SPECT所見と臨床症状, 脳波, CT所見の比較を行いその有用性について検討した.術前SPECTでは, 臨床症状に一致して全例部分的またはある程度広がりを有する血流低下所見を示し, 脳血管撮影上の病期とほぼ一致した所見を示した.脳波のrebuild-up優位部と皮質低血流部位は良く一致した.血行再建術直後のSPECTでは, 一過性の血流増悪, crossed cerebellar diaschisisを示す例を認めた.術後3カ月以後のSPECTでは臨床症状の改善に伴って低血流部の狭小化を認めた.また, bypass部に高血流所見を認め, bypass効果の判定, その脳内分布の把握が可能であった.以上のようにSPECT法はもやもや病において血流低下部位の把握, 診断に有用であり, かつ治療効果判定の良い指標になるものと思われた.
  • 小野 恭一, 西沢 嘉四郎, 山本 尚, 渡辺 義郎, 青谷 裕文, 山野 恒一, 島田 司巳
    1991 年 23 巻 5 号 p. 453-457
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生後7日目の新生仔ラットの左側頸動脈を結紮切断後, 低酸素負荷を加えると, 頸動脈結紮側に高頻度に孔脳症が惹起される.この孔脳症ラットにおける, 健丈な非結紮側皮質脊髄神経路のその後の発達を, 検索するため, 頸動脈結紮切断側に巨大な孔脳症が認められるものに対し, 処置後8~11週の時点でHRPを非結紮側の大脳皮質に注入し, 順行性に皮質脊髄路を染め出した.その結果, これらのラットでは, 正常では存在しない同側性の皮質脊髄路が形成されていることが確認された.
  • 今井 祐之, 栗原 まな, 熊谷 公明, 前川 喜平
    1991 年 23 巻 5 号 p. 458-464
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当科に入院した痙攣を有する小児神経疾患患者に対して, 1231-IMPによるSPECTを施行した.
    これらをILAE (国際抗てんかん連盟) のてんかん・てんかん症候群の国際分類により分け, それぞれの特徴をまとめた.
    本態性の群では, SPECT正常例が多く, 異常例においても, 脳波の焦点と一致するものは少なかった.
    症候性の群では, SPECTも異常を示しやすく, 特にWestやLennox症候群では, ACTH療法前後のshrinkageの程度によく相関して, RI活性の低下がみられた.
  • 第2報極小未熟児の検討
    西巻 滋, 川上 義, 赤松 洋, 岩崎 康夫
    1991 年 23 巻 5 号 p. 465-468
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    極小未熟児の計67例で受胎後修正週数30, 32, 34, 36, 38, 40, 42に前大脳動脈 (ACA) のPourcelot's index of resistance (RI-ACA) と脳底動脈 (BA) のRI (RI-BA), RIratio (=RI-ACA/RI-BA) を超音波パルスドプラ法を用い測定し, 以下の結果を得た.
    (1) RI-ACA<RI-BAの関係が89.6%でみられ, 両者の平均値の差の検定をするとRI-ACA (0.744±0.026)<RI-BA (=0.766±0.026) であり, 有意差が認められた.
    (2) 成熟新生児と比較すると極小未熟児ではRI-ACA, RI-BAともに有意に高値であったが, 満期の頃は安定し成熟新生児期の値とほぼ等しくなった.
    (3) RI ratioでは極小未熟児と成熟新生児の間に有意差はなかった.
  • I. 臨床的特徴について
    宮崎 雅仁, 橋本 俊顕
    1991 年 23 巻 5 号 p. 469-474
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    神経学的主訴をもつ小児270例の頭部MRI検査を行った.270例中27例のT2強調画像で後頭葉深部白質に限局する高信号域を認めた.27例の疾患別内訳は, 髄芽細胞腫1例, 先天性心奇形 (心房中隔欠損, 心室中隔欠損および動脈管開存症) 1例, 神経線維腫症1例, 結節性硬化症1例, 先天性筋ジストロフィー症1例, 先天性筋強直性ジストロフィー症2例, 熱性痙攣2例, 自閉症3例, てんかん9例および原因不明の精神あるいは運動発達遅延6例であった.
    自験例で認められた後頭葉深部白質の高信号域は, 3歳までの小児に高頻度にみられ, 中枢神経系での髄鞘化の遅延に基づくことが示唆された.
  • 吉川 秀人, 笛木 昇, 山内 秀雄, 桜川 宣男
    1991 年 23 巻 5 号 p. 475-480
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Positron emission tomography (PET) で基底核領域にのみ血流, 酸素代謝の残存を認めた症例の臨床症状, 電気生理学的所見を検討した。症例はセロイドリポフスチノーシス, クラッベ病, 進行性ミオクローヌスてんかん, テイーザックス病, 亜急性硬化性全脳炎の5小児例である.臨床的には終日臥床の状態で, 脳幹障害を示唆する症状も認められた.電気生理学的にも, 大脳のみならず脳幹の広汎な障害が示唆された.これらのPET所見は, ある種の変性代謝疾患の進行例にみられる所見であることが推察された.臨床的に植物状態であっても脳循環代謝の面からは必ずしも一様でなく, 今回のような一群が存在することが明らかになった.
  • 出生に基づいた神経疫学的検討
    鈴木 文晴, 児玉 和夫
    1991 年 23 巻 5 号 p. 481-485
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    東村山市 (人口13万余) において, 脳性麻痺, 重症心身障害, ダウン症候群 (以下ダウン症), 精神発達遅滞の発生率を調査した.過去5年間の出生児総数6,772名から, 脳性麻痺13例, 重症心身障害7例 (うち6例は脳性麻痺), ダウン症9例, 精神発達遅滞 (ダウン症を除く) 64例の発生が確認された.出生千当たりの発生率は, 脳性麻痺1.9, 重症心身障害1.0, ダウン症1.3, 精神発達遅滞11.6であった.重症心身障害児7例中5例は常時医療的介護を必要とし, 在宅療育が困難/不可能である最重度の障害の状態であった.
    脳性麻痺の発生率の低下傾向は明らかではなく, 出生前の因子を中心とした脳障害の研究が今後とも必要である.また常時医学的管理下に置かなくては生存が難しい最重度の障害児の発生も少なくなく, この様な児に対する地域医療体制の整備が重要である.
  • 浦島 充佳, 赤司 真理子, 川目 房代, 落合 幸勝, 山崎 ユキ, 廿楽 重信
    1991 年 23 巻 5 号 p. 486-491
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    私達は点頭てんかんのACTH療法中に心筋炎を合併した2例を経験した.2例ともACTH減量中に心筋炎を発症し, 症状の改善にsteroid剤が有効であったと思われた.1例は生存したが, 1例は心筋炎が再燃し死亡した.点頭てんかんに対しACTH療法を施行する際, 稀ながら心筋炎を合併し, 時には致死的結果を惹起することを念頭において治療することの重要性を述べた.
  • 山内 秀雄, 野田 泰子, 須貝 研司, 高嶋 幸男, 黒川 徹
    1991 年 23 巻 5 号 p. 492-496
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    前頭葉起源の自動症を呈する2例を報告した.共通した自動症の臨床的特徴は,(1) 開始, 終了が突然である,(2) 発作時間が短い,(3) 動作停止ないし凝視期がない,(4) 腹臥位になり四肢および体幹を激しく不規則に動かす, うなり声ないし悲鳴様の大きな発声を伴うあるいは急に走りだすことがある,(5) 群発する傾向をもつ,(6) 発作時に意識が保たれていることがあり, 発作直後より意識は清明である,(7) 難治性である,(8) 偽性てんかんと誤診されやすい, などであった.自動症時の脳波は激しい運動活動のためartifactのみしか捉えられなかった.自動症開始直前に前頭部, 前頭極部の低振幅律動性速波を認め, また直後の脳波所見は覚醒閉眼時で両側前頭部, 前頭極部に高振幅徐波を認め, 同時に後頭部を中心にα波を認めた.これらの脳波所見は発作の中心が両側前頭葉に限局し, 他の部位に波及しなかったことを示唆するものと考えられた.
  • 古賀 まゆみ, 林 隆, 篠原 照男, 高嶋 幸男
    1991 年 23 巻 5 号 p. 497-501
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    10歳の女児.痙攣, 意識障害, 発熱で発症し, 第16病日, 右半身の弛緩性麻痺が出現, 呼吸状態悪化, 腎不全を併発し, 1カ月半の経過で死亡した.片麻痺発症前のMRIで, 左頭頂, 後頭部にT-2高信号域を認め, 痙攣発作後の片麻痺発症時には, T-2高信号域は拡大していた.剖検でウイルス性脳炎の所見に加えて, 同部を中心とした脳梗塞と考えられる古い虚血性病変を認めた.
  • 小出 博義
    1991 年 23 巻 5 号 p. 502-505
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    精神発達遅滞児入所施設で3名の低ナトリウム血症を認めた.3名ともpimozideの投与を受けていたので低ナトリウム血症の原因はpimozideによる強迫性多飲によると推察された.調べ得た限りpimozideによると思われる低ナトリウム血症の報告はない.
    精神発達遅滞や自閉症の子供達はてんかんを合併していることが多いので, 彼等が痙攣を起こした時には低ナトリウム血症も鑑別されねばならない.特にpimozideの様な抗精神病薬が投与されている時は多飲, 多尿, 全身倦怠感に注意して低ナトリウム血症を起こさないようにしなければならない.
  • 電気生理学的検討
    浜田 洋通, 藤本 七重, 杉田 克生, 宮本 治子, 新美 仁男
    1991 年 23 巻 5 号 p. 507-509
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    人工呼吸管理にまで至った重症のGuillain-Barr6症候群3歳女児に血漿交換療法 (以下PE) を施行した。PE直前と, 施行1時間後にてM波の検出を経時的に行った.その結果, PE施行後は, 波形の改善, 複合筋活動電位の改善を認めた.またPEによる改善度は病初期程著明であり, 発症早期でのPE療法の有用性が支持された.
  • 吉川 秀人, 笛木 昇, 黒川 徹, 桜川 宣男, 埜中 征哉, 矢野 秀実
    1991 年 23 巻 5 号 p. 509-511
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1歳3カ月のmitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes (MELAS) の患児にpositron emission tomography (PET) を施行し脳梗塞後の脳循環代謝を検討した.患児は1歳まで全く正常に発達していたが, 1歳および1歳2カ月多発性脳梗塞を起こし, 筋生検でstrongly SDH-reactive blood vesselが多数認められMELASと診断された.2回目の脳梗塞後2週間目のPET所見では, CTでは明瞭でなかった1回目と2回目の梗塞部位の違いおよびその時間的経過をみることができ, 本疾患における脳梗塞の診断および病態の理解に有用であった.
  • 造影MRI, PETの有用性
    浜田 洋通, 藤本 七重, 杉田 克生, 宮本 治子, 新美 仁男
    1991 年 23 巻 5 号 p. 512-513
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    造影MRI, PET (positron emission CT) を施行したSturge-Weber症候群の3カ月男児例を報告した.出生時より三叉神経第1枝, 2枝領域に一致して右顔面血管腫かあり, 生後1カ月半より左半身の強直間代発作が出現した.CTでは右大脳半球の髄質を中心に石灰化がみられた.Gd-DTPA造影MRIではTl強調画像で単純MRIではみられなかった患側半球の脳軟膜血管腫がhigh signalとして描出された.PETでは右半球の糖代謝低下が画像的に確認された.PETにより脳内の機能的変化がとらえられ, Gd-DTPA造影MRIとの併用は病態把握さらに外科適応の選択をする上で有用と息われた.
  • Duchenne型筋ジストロフィーとの対比検討
    野呂 浩史, 石川 幸辰, 岡部 稔, 永岡 正人, 南 良二
    1991 年 23 巻 5 号 p. 514-516
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    筋緊張性ジストロフィー (MyD) 患者23例とDuchenne型筋ジストロフィー (DMD) 症患者18例において瞬目反射 (blinkreflex;BR) を導出した.得られたBRの各パラメータについて両疾患群および正常対照群間において対比検討を行った.MyD群におけるR1絶対潜時, R1潜時左右差, IR2潜時左右差, 右側IR2-CR2潜時差は, 正常対照群やDMD群のそれに比べ有意に延長および増大していた.また, R1およびR2反応における各異常パターンもMyD群において高率に認められた.反対に, DMD群において異常を呈した症例は極わずかであった.以上の結果より, MyD群ではBR反射経路において脳幹を含む広範囲の伝導路障害の存在が示唆された.一方, DMD群ではBR上脳幹機能は正常であった.
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