脳と発達
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23 巻 , 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 佐藤 益子, 今塩屋 隼男, 友吉 瑛子, 鳥居 昭三
    1991 年 23 巻 6 号 p. 541-547
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    血清最高ビリルビン (ビ) 値が20.0-30.0mg/dlに達したが, 髄液ビ低値 (≦0.54mg/dl: 正常成熟新生児は, ほとんど0.5mg/dl以下) のため, 治療しなかった成熟新生児高ビ血症の予後について, 9-15年後の身体発育, 精神発達, soft neurological signを追跡, 対照群と比較検討し, 次の結果を得た. 1) 成熟新生児高ビ血症群の身体発育は, 1例の体重値以外は, すべて平均値±1.5SD以内にあった. 2) 精神発達では, 言語・社会領域の発達が動作性発達に比べやや低い傾向にあったが, 精神発達遅滞は認めなかった. 3) Soft neurological signでは, Prechtlテストの左手指先接触試験を除くすべてのテストおよびattention deficit hyperactivity disorder発生率のいずれも, 対照群との間に有意差を認めなかった.
  • 市場 尚文
    1991 年 23 巻 6 号 p. 548-554
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児脳の機能的可塑性を検討するため, 片麻痺症例34例を対象として, 言語・知能検査, 頭部CT検査と共に, dichotic listening test (DLT) を施行した.
    検査時の年齢が8-37歳の左片麻痺13例では, 全例がDLTで右耳優位 (言語に関する左半球優位) を示した. 検査時の年齢が7-22歳の右片麻痺21例では, 6歳1カ月までに脳損傷を受けた18例中16例が左耳優位 (言語に関する右半球優位) を示したのに対して, 6歳6カ月以後に脳損傷を受けた3例は全例が右耳優位を示した. このため, 左半球損傷の際に言語機能が左半球から右半球に移行し得る最高年齢は6歳前半と考えられた. また, 言語機能が代償される一方で, 動作性知能が言語性知能より低値を示すdiscrepancyが注目され, 小児期の左半球損傷の際の機能代償の特徴と考えられた.
  • 稲垣 真澄, 遠山 潤, 塚本 東子
    1991 年 23 巻 6 号 p. 555-559
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    乳児期発症の年齢依存性てんかん性脳症7例に対して眼輪筋反射 (BR) を施行した. その結果, 2例に早期反応R1の異常を認め, 6例に後期反応R2の異常を認めた. R2潜時の遅延は点頭てんかんに, R2無反応は乳児早期てんかん性脳症 (EIEE) にみられる傾向があった. 脳波の正常化や発作消失とともにBRが正常化した症例もあった. BR異常から年齢依存性てんかん性脳症における下部脳幹網様体機能障害が示唆され, その病態および病勢評価法としてBRは有用と思われた.
  • 西巻 滋, 川上 義, 赤松 洋, 岩崎 康夫
    1991 年 23 巻 6 号 p. 560-566
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    水頭症児の管理のため, パルスドプラ法で前大脳動脈 (ACA) のPourcelot's index of resistance (RI-ACA) と脳底動脈 (BA) のRI (RI-BA), RIratio (=RI-ACA/RI-BA) を水頭症児7例で10回, 治療前後に測定した. 治療前のRI-ACA, RI-BA, RIratioの平均値±標準偏差はおのおの, 0.831±0.050, 0.800±0.053, 1.039±0.030であり, いずれも標準値より有意に高値だった. またRI-ACAはRI-BAより有意に高く, 全例でRIratio>1.00となった. 治療後ではRI-ACA (0.654±0.099) はRI-BA (0.684±0.101) より有意に低値で, 全例でRIratio<1.00となった. またRI-ACAは標準値よりも有意に低下したが, RI-BAとRIratio (0.957±0.024) は標準値との有意差がなかった. 以上より, 水頭症児の管理にRIratioが有用と思われた.
  • 市山 高志
    1991 年 23 巻 6 号 p. 567-570
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー症 (DMD) で認められる仮性肥大の定量的検討の目的で健康3-6歳男児165名 (3歳児69名, 4歳児32名, 5歳児35名, 6歳児29名) とDMD児のべ7名 (3歳児3名, 4歳児2名, 5歳児2名) の大腿周囲径, 膝関節周囲径, 下腿周囲径, 足関節周囲径を計測した. 下腿周囲径は各年齢ともKaup指数と相関し (p<0.01), 体格による変動が大きいので, 実測値では仮性肥大の指標として不適当だった. 下腿周囲径/Kaup指数と下腿/大腿周囲径は対照群とDMD児で差がなかった. 下腿/足関節周囲径と下腿/膝関節周囲径は各年齢ともKaup指数と相関せず, DMD児は全14肢中それぞれ9肢, 13肢が+2SD以上だった. 下腿/膝関節周囲径が仮性肥大を評価するのに最も有用と考えた.
  • 中村 三郎
    1991 年 23 巻 6 号 p. 571-576
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児脳室内出血 (IVH) 21例のうち, 生存例は12例で, 7例 (58.3%) に水頭症の発生を認め, その中の5例がdestructive hydrocephalus (DHC) であった. 水頭症はIVHのPapileによる分類で, Grade IIIおよびIVにのみ発生し, DHCはGrade IIIの2例を除いた5例に発生した. 本症にDHCが発生する場合, IVHの際の-次脳障害が水頭症病態による二次的な脳損傷を発生しやすくしており, 急速かつ高度に脳室拡大が生ずる. したがって, Grade III以上のIVHが発生した場合, 脳実質の-次損傷に加えて水頭症病態による二次脳障害の発生が-層予後を悪化することが考察される. 治療には可及的早期に脳室シャント術を行い, 二次脳障害を最小限にとどめることが肝要である.
  • 二木 康之, 安部 治郎, 大谷 和正, 藪内 百治
    1991 年 23 巻 6 号 p. 577-582
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    例の正常小児と63例の痙直型脳性麻痺児を対象として, 脛骨神経を膝窩部で皮膚上から電気的に二重刺激し, 腓腹筋からH波を導出してH波促通曲線および回復曲線を得た. 正常小児では低年齢児ほど促通が大きく, また回復も大きい傾向が認められた. 一方, 脳性麻痺児では全ての年齢群で正常児に比較して促通も回復も大きい傾向が認められた.
    促通曲線は脊髄α運動ニューロンプールにおける閾下縁の大きさを, 回復曲線は発射帯におけるα運動細胞の興奮性を表わし, ともに上位中枢からのコントロールを受けている. 本研究によってこのような筋緊張調節のための脊髄機構に対する上位中枢からの抑制が加齢や痙性の存在のもとで変化することが示された.
  • 川嶋 浩一郎, 浜野 建三, 岩崎 信明, 竹谷 俊樹, 堀米 ゆみ
    1991 年 23 巻 6 号 p. 583-589
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児神経疾患 (脳梗塞, 頭蓋内出血, 化膿性髄膜脳炎, 急性小児片麻痺症候群) の急性期に周期性片側性てんかん様放電 (PLEDs) が認められた新生児および乳児4例を対象として, PLEDsの出現頻度, 電位, 周期, 持続時間と臨床経過との関連について検討した. PLEDsの出現頻度および持続時間は4例とも意識障害度III-100-200で最も高かった. さらに電位と周期には, 負の相関関係が4例全てのPLEDsの53%にみられ, 意識障害度III-100-200では, 72%と特に多く認められた. 以上の結果からPLEDsの出現に必要な至適な侵襲度合いは, 意識障害度III-100以上200以下に相当する巣病変で, 電位と周期の関係は細胞のイオン流に関連した所見ではないかと推察された.
  • 笠木 重人
    1991 年 23 巻 6 号 p. 590-595
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    筋ジストロフィー終末期の呼吸不全に対する, 気管切開を伴う陽圧人工呼吸療法の長期間の治療経過についてまとめた. 対象はDuchenne型6例, Ullrich型1例で, 治療期間は最長4年5カ月であった. 全身的身体状況, 合併症, 日常生活動作, 筋萎縮につき経過を調べた. その結果, 合併症で致死的な動脈性出血が2例にあった. Duchenne型で筋萎縮は進行した. しかしそれ以外は, 全て良好な治療経過を示した. Quality of lifeも保たれた. 気管切開を伴う陽圧人工呼吸療法は, 呼吸不全改善の確実な対症療法であり, 患者・家族の延命の希望があれば, 筋ジストロフィー終末期の呼吸不全に適応できる治療法であると考えた.
  • 久保田 雅也, 篠崎 昌子, 石崎 朝世, 倉田 清子
    1991 年 23 巻 6 号 p. 596-600
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    有馬症候群 (脳-眼-肝-腎症候群) 20歳男性例を報告した. 本例は既報告例と比較し,(1) 腎機能障害の進行が緩徐であること,(2) 脳波異常があり11カ月より痙攣を認めたこと,(3) ABRにて右I-II波潜時の短縮両側V波以降の不明瞭化を認めたことが特徴的であった. これらは同症候群における腎および中枢神経系病変の多様性と脳幹の形態異常を示唆している. 本例が新生児期に指摘された多呼吸は出生時の軽度の仮死に由来するものかJoubert症候群にみられる様な脳幹の異常に基づくものかは不明であるがその後臨床的に呼吸様式が問題となったことはない. 有馬症候群とJoubert症候群は奇形発生を規定する遺伝子座や臨界期が極めて近い疾患であると思われる.
  • 金澤 治, 奥野 武彦, 三河 春樹
    1991 年 23 巻 6 号 p. 601-605
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    てんかん性疾患を有する小児2例にTc-99m-d, 1-hexamethylpropylenamine oxime (HMPAO) を用いたsingle photon emission computed tomography (SPECT) を, 睡眠時と覚醒時に各々施行した. 1例は部分てんかんで発作直後と発作間欠期のSPECTが得られ, 発作間欠期の局所脳血流regional cerebral blood flow (rCBF) 低下がみられ, 発作直後は更に著明となった. 他の1例はcontinuous spike-waves during slow sleep (CSWS) と考えられ発作はないが覚醒時に左右対称であったSPECTが, 睡眠時はrCBFの低下を示した.
    HMPAOによるSPECTは小児のてんかん性疾患における発作ないしは発作波の発現機序を探る手段として優れており, 今後の臨床応用が期待される.
  • 御牧 信義, 長谷川 ひとみ, 埜中 征哉
    1991 年 23 巻 6 号 p. 606-611
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    多彩な卒中様症状 (stroke-like episodes) にも拘らず, 筋症状の認められなかったmitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes (MELAS) の1例を報告した. 典型的なragged-redfiberは認められず電子伝達系酵素活性も正常であるため筋線維のミトコンドリア異常は極めて軽微であると考えられた. しかし筋組織内小動脈の平滑筋細胞に著明なミトコンドリア異常を認め本症例の卒中様症状の病理発生にはmitochondrial angiopathyの関与が示唆された. 血管のミトコンドリア異常の検索には電顕に加えコハク酸脱水素酵素 (succinic dehydrogenase, SDH) 染色を用いた検討が必要であると考えられた.
  • 津田 光徳, 宮崎 眞佐男, 田中 裕, 葛原 茂樹
    1991 年 23 巻 6 号 p. 612-616
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳波上, 周期性同期性放電を呈した10歳発症の多発性硬化症の1例を報告する. 症例は12歳女性, 10歳時に両上肢の痙攣, 12歳時に左手の筋力低下, 下肢脱力, 学業成績の低下が出現. 神経学的には軽度知能低下, 顔面筋と四肢筋の軽度筋力低下, 深部反射の両側対称性の低下が認められ, 歩行はやや失調性でつま先歩行であった. 髄液にoligoclonal bandを認め, 経時的にとったCTでは検査時の臨床症状に対応した部位にring enhanceが認められた. 同部のMRIはT, 強調像で高吸収, T1強調像で低吸収域として認められた. 脳波で亜急性硬化性全脳炎にみられるような周期性同期性放電が認められ, その発生機序には皮質下の損傷がなんらかの関与をしているものと考えた.
  • 福水 道郎, 黒川 徹, 吉川 秀人, 花岡 繁
    1991 年 23 巻 6 号 p. 617-622
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生後14日ごろearly infantile epileptic encephalopathy with suppression-burst (EIEE) を発症, 生後3カ月でWest症候群に移行し, 生後4カ月ごろより主に激しい自転車こぎ様運動からなる自動症を伴うシリーズ形成のある痙攣発作を起こすようになった特異な1症例を報告した. 脳波は発作間欠期には生後9カ月まで基本的にsuppression-burst patternを示しMRIでは髄鞘化の遅延を認めた. PETは右側の前頭・側頭・頭頂葉の血流低下の所見を示した. 従来の報告では, EIEE, West症候群ともにこのような臨床像を示した乳児期てんかんの記載はみあたらず, 乳児期にみられる脳の局在関連発作として注意する必要がある.
  • 家室 和宏, 稲垣 真澄, 江田 伊勢松
    1991 年 23 巻 6 号 p. 623-625
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    周生期に異常なく, 生後7カ月に発症した乳児交互性片麻痺の女児例を報告した. 本例は生後1カ月時に頭部CTで両側大脳白質の広範な異常が判明し, MRIでも同部位に異常信号域を認めた. 大脳白質異常は経過中非進行性であり, 胎生期の中枢神経系の障害を背景とする乳児交互性片麻痺の存在が示唆された.
  • 石川 幸辰, 永岡 正人, 石川 悠加, 岡部 稔, 南 良二
    1991 年 23 巻 6 号 p. 625-627
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Marshall-Smith症候群の3歳女児例について報告した. 患児は, 骨年齢が5歳と促進しており, 前頭隆起, 両眼開離, 小下顎症などの顔貌異常, 長頭, 高口蓋, 胸郭変形, 細長い手腕・手指, slenderな体型, びまん性の筋力低下を認め, 標準の発育曲線に比べ常にやせ型であった. 筋力低下の原因を探る目的で行った筋生検では, 二峰性の大小不同, type2線維の萎縮 (平均径type1: 26.4μm, 2: 18.2μm), 2A線維の欠損を認めた. 以上の所見は, Roodhooftらが報告したmyopathy with selective type2 fiber hypoplasiaの組織像と一致する.
  • 山田 智子, 氏家 武, 佐々木 公男, 舘 延忠, 東海林 黎吉
    1991 年 23 巻 6 号 p. 628-630
    発行日: 1991/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Hallervorden-Spatz syndromeの診断は病理学的所見と臨床所見より通常は死後になされるが, 最近では生前診断として, 臨床所見とCT, MRIなどの所見からの可能性が考えられている. 症例は9歳男児. 5歳ごろより歩行障害, 構音障害 (緩徐言語), 動作緩慢, 書字困難, 仮面様顔貌, 上肢の振戦など出現し, その後, 症状の進行, ジストニアの増強, 嚥下障害を認め, 除脳姿勢をとりakinetic mutismとなった. 頭部CTでは基底核 (尾状核, 被殻, 淡蒼球) と内包に低吸収域, 視床と側脳室前角周囲の白質に高吸収域を認めた.
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