脳と発達
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24 巻, 6 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 有泉 基水
    1992 年 24 巻 6 号 p. 524
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 川上 義, 与田 仁志, 島 義雄, 赤松 洋
    1992 年 24 巻 6 号 p. 525-529
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近10年間 (1981~1990) の新生児痙攣の頻度と原因疾患につき検討した.
    対象期間中, 当院で出生した28,925例 (極小未熟児を除く) 中67例に早期新生児期に痙攣がみられ, その頻度は出生1,000に対し23であった.
    対象期間を前期・後期5年毎に区切り痙攣の頻度をみると, 前期では2.5/1,000, 後期では2.0/1,000と減少の傾向がみられた.特に未熟児 (1,500~2,499g) では前期14.9/1,000に対し, 後期では4.8/1,000まで減少していた.また仮死後の低酸素性虚血性脳症による痙攣例は前期では1.4/1,000, 後期では0.6/1,000と半減していた.
  • 山本 仁, 江川 文誠, 堀口 久美子, 加久 晶子, 山田 兼雄
    1992 年 24 巻 6 号 p. 530-535
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    例の特発性点頭てんかん (West症候群: IS) (平均年齢6.1カ月) より, ACTH療法前後に脳脊髄液 (CSF) を採取し, HPLCによりCSF内tryptophan (TRP) 代謝産物濃度を測定した.また, 同年齢の対照10例より得られたCSFとも比較検討した.治療前ではCSF内serotonin (5-T), 5-hydroxyind01eacetic acid (5-HIAA), kynurenine (KYN) 濃度はIS児で対照群と比較し有意に低く, 3-hydroxykynurenine (3-OHKY) 濃度は有意に高かった.ACTH療法によるけいれん消失後, CSF内5-HIAA濃度は上昇し, KYNおよび3-OHKY濃度は低下した.ISの病態において, ともにTRPの代謝産物である5-HTおよびKYNの脳内代謝異常の存在が強く示唆された.
  • 第2編: 1歳以前の左右大脳半球損傷後の言語発達, 知能の検討
    市場 尚文, 瀧川 弘敏
    1992 年 24 巻 6 号 p. 536-541
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児の左右大脳半球の機能分化と脳損傷の際の機能的可塑性を検討するため, 1歳以前に片麻痺を発症した27症例を対象として, 言語発達, 知能を検討し, 左右大脳半球間の差異を検討した.
    対象は, 1歳以前に右片麻痺をきたした13例と, 左片麻痺をきたした14例である.dichotic listeningtestの検討より, 1歳以前の左半球損傷ではほとんどの症例で, 言語優位半球は右半球に移行していた.全例が, 少なくとも日常生活においてcommunicationを保つに十分な程度の言語機能を獲得しており, 言語発達, 知能に関して左右損傷半球間に差はみられなかった.1歳以前の大脳半球損傷後の言語発達と片麻痺発症年齢 (月齢) との相関はなかったが, 前者と知能の程度との相関が認められた.
  • 田和 律子, 松田 博美, 森本 武彦, 長尾 秀夫, 松田 博, 大西 晃生
    1992 年 24 巻 6 号 p. 542-547
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    無汗症を伴う先天性感覚性ニューロパチーの男児において, その病態を明らかにする目的で神経生理学的検査および皮膚ならびに腓腹神経の組織学的検査を行った.腓腹神経では無髄神経線維数の著しい低値と小径有髄神経線維数の明らかな低値が認められ, この所見が患児の温・痛覚の欠如に対応すると考えられた.下肢遠位部の皮膚の汗腺の数, 大きさおよび構造の異常は認められなかったが, 汗腺およびその周囲の血管を支配する神経終末・神経線維がほぼ完全に欠如し, この所見が無汗症の原因と判断された.運動神経伝導速度, 感覚神経伝導速度, 短潜時体性感覚誘発電位および聴覚脳幹誘発反応はいずれも正常であり, それぞれの機能を司る有髄神経線維は正常であると判断された.
  • 井上 成彰
    1992 年 24 巻 6 号 p. 548-553
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児の髄液中neuron specific enolase (髄液NSE) 値を測定し, 成熟度との関連を調べ, また中枢神経疾患におけるその値について検討した. その結果, 1) 非中枢神経疾患新生児の髄液NSE値は, 在胎期間, 出生体重および日齢別において差はなく, その値 (平均12.3±3.6ng/ml) は, 乳児期以後の小児の値 (平均6.6±2.2ng/ml) に比して有意に高値であった. 2) 中枢神経疾患を認めた新生児の髄液NSE値は, 非中枢神経疾患新生児に比し有意な高値 (平均37.2±45.6ng/ml) を呈し, 経過に伴い低下した. 3) 新生児の中枢神経障害の有無およびその予後を予想する髄液NSE値cut offポイントは20.0ng/mlとするのが適当と考えられた.
  • 家室 和宏, 稲垣 真澄, 冨田 豊
    1992 年 24 巻 6 号 p. 554-558
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Chiari奇形8例の頸髄より吻側の構造異常と短潜時体性感覚誘発電位 (SSEP) および聴性脳幹反応 (ABR) の異常所見の対応を検討した.Chiari奇形のSSEPの特徴はP3-N1潜時の延長で6例に認めた.またP3-N1間に明瞭な陽性の変化を認めるものとわずかに認めるものとがあり, この陽性の変化は潜時延長が著明なほど明瞭になる傾向を示し, 延髄のkinkと対応していた.Chiari奇形のABRには一側のIII-V波間の潜時が延長している例があり, この中に橋や被蓋の変形を示す例がみられた.
  • 平山 義人, 鈴木 文晴, 有馬 正高
    1992 年 24 巻 6 号 p. 559-564
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胎生期異常に起因する重症心身障害の発生減少を目的に, 全国の国立療養所および施設に措置入院中の重症心身障害児・者 (以下重障児と略す) を対象に, 母親の妊娠中の異常につきアンケート調査を行つた.1次調査では, 入院中の重障児5,901例中253例の母親にさまざまな妊娠中の母体異常があったことが判明した.母体発熱例に注目し2次調査を行ったところ, 57例の重障児では, 発熱以外に原因となる異常が見出されなかつた.この57例の臨床像と母体の発熱時期からは, 妊娠母体の発熱が, 特異的な徴候を有する重症心身障害をもたらすという結論には至らなかった.
  • 江尻 和夫, 大久保 修, 大國 眞彦
    1992 年 24 巻 6 号 p. 565-570
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児における認知発達を見る目的で, 正常人121例と精神発達遅滞児33例に対し検討した.音刺激の呈示確率は, 1: 9とした.Rare刺激の加算波形よりFrequent刺激による加算波形を引算し, mismatch negativity (MMN) をもとめ検討した.MMNは, Fzで波形が明確でありFz誘導部位でMMN潜時を検討した.正常小児の, MMN潜時は, 加齢に伴い有意に短縮し7歳前後で成人潜時とほぼ同様となった.精神発達遅滞児では, 30%に潜時の延長が認められた.MMNは, 低年齢児にも施行できる方法であり小児の高次認知機能の発達過程を知るうえで有用な検査法と考えられた.
  • 高梨 潤一, 杉田 克生, 堀口 晴子, 井合 瑞江, 新美 仁男
    1992 年 24 巻 6 号 p. 571-574
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    日齢1に痙攣で発症した結節性硬化症患児に関し, 経時的頭部MRI所見を中心に報告した.皮質下結節は生後1カ月では認められず, 18カ月でMRI上描出された.年齢と共に正常白質の髄鞘化が進行し, 結節周囲白質の髄鞘の相対的減少により, MRI上描出されたと推測した.Heterotopic isletはMRI上部分的に層状の構造を呈し, 各々経過上異なる像を呈したことより, 周辺部と中心部で病理的に異なると考えた.今後新生児期結節性硬化症児に対し, 経時的な頭部MRI検査を行い, 脳内病変の発生学的, 病理学的検討を行うことが肝要と思われた.
  • 清水 勝則, 杉江 秀夫, 佐藤 博司, 伊藤 政孝, 鶴井 聡, 五十嵐 良雄
    1992 年 24 巻 6 号 p. 575-580
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生後3週頃より複雑部分発作にて発症, 日齢27頭部CTで左側頭部皮質から後角にわたる高吸収域の広範性実質病変を認め, 結節性硬化症と診断した新生児の1例を報告した.なお, CT上造影効果は見られなかった.頭部MRIでは, 同病巣に加え多数の小結節性病変を認め, そのintensity patternはこれまでの報告と異なっていた.発作時脳波は, 左側頭部焦点の二次性全般化を伴う複雑部分発作を示した.広範性実質性病変を伴う新生児例は稀であり, また同時期のMRI所見の報告は極めて少ないと思われる.
  • 森 健治, 矢野 一郎, 橋本 俊顕
    1992 年 24 巻 6 号 p. 581-586
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    点頭てんかんの発症例を認めたbenign familial neonatal convulsions (BFNC) の1家系を報告した.本家系では, 2世代で7名に無熱性痙攣を認め, そのうち2名は新生児期に, 他の5名は2~3カ月時に痙攣を初発した.点頭てんかんを来した症例は在胎37週, 生下時体重2,562gと家系内の他の症例に比べやや低体重であったが, 仮死はなかった.本症例は生後20日頃, 捻転発作にて発症し, 生後1カ月10日頃より複雑部分発作および点頭てんかんを来した.バルプロ酸とカルバマゼピンの併用により発作は消失し脳波も正常化したが, 8カ月現在, 精神運動発達は中等度遅滞している.BFNCの家系内で点頭てんかんを発症した症例は過去の報告にはみられない.本症例の経験を通じて, BFNCに対しては慎重な経過観察が必要と考えられた.
  • 奥村 彰久, 前田 規秀, 鬼頭 正夫, 羽賀 淑子, 麻生 幸三郎, 根来 民子, 渡辺 一功
    1992 年 24 巻 6 号 p. 587-590
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    遷延する小脳症状を呈した症例を報告した・患児は9カ月の時に突発性発疹症 (以下突発疹) に罹患後, 歩行障害・振戦・異常眼球運動にて発症した.その後症状は増悪・軽快を繰り返し完全に消失しないため, 発症4カ月後当院へ入院した.入院時, 躯幹動揺.振戦.内斜視・眼球動揺を認め, 坐位は不可であった.ACTH療法にて症状は消失したが2週間で再発した.再度ACTH療法を行い効果を認めたが, 再び再発したためステロイドを投与し症状は軽快した.本例の病因としては, ステロイドに対する反応から免疫学的機序によることが示唆された.
  • 小坂 仁, 木村 清次, 根津 敦夫
    1992 年 24 巻 6 号 p. 591-594
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    硝子体動脈遺残を伴ったFahr病の女児の4~16歳までの経時的画像所見を主に報告した.5カ月時に慢性硬膜下血腫除去術施行され, 以後定期的に経過観察されていた.4歳時第1回目のCTスキャンで前頭葉白質・灰白質境界に石灰化出現.5歳時には側頭葉, 淡蒼球にも同様の石灰化がみられた.以後毎年増強し現在皮質・深部白質境界領域, 淡蒼球, 視床, 小脳歯状核に石灰化像を認める.Ca, P, 副甲状腺ホルモン, Ellsworth-Howard試験などいずれも正常であり, 特発性頭蓋内石灰化症と診断した.本症例では硝子体動脈遺残を伴っており, 石灰化の機序を考える上で興味深い.
  • 田内 久道, 佐野 のぞみ, 森本 武彦, 長尾 秀夫, 松田 博
    1992 年 24 巻 6 号 p. 595-599
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1歳時に退行および視力障害で発症した乳児型neuronal ceroid-lipofuscinosisの女児例を報告した.本症例は経過中急激な精神運動機能の退行を示し, 筋緊張低下, 小頭症, ミオクローヌスなどの症状を呈するようになった.脳波上基礎波の低振幅化および網膜活動電位, 視覚誘発電位の反応消失を認めたが, 聴性脳幹反応は正常の反応を示した.MRIにて進行性の脳の萎縮を認めた.皮膚の電顕的検索にて特徴的な封入体を汗腺上皮細胞内に認め, 乳児型NCLと診断した.患児の骨髄中にsea-blue histiocyteを多数認めた.乳児型NCLは, スカンジナビア諸国では比較的多い疾患であるが, 本邦では典型例の報告はなく貴重な症例と思われる.
  • 竹内 敏雄, 田角 勝, 奥山 和男, 埜中 征哉
    1992 年 24 巻 6 号 p. 600-602
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 幸恵, 舘 延忠, 若井 周治, 大屋 一博, 千葉 峻三
    1992 年 24 巻 6 号 p. 602-605
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー症 (以下DMDと略す) の発病メカニズムを解明する上で, 筋肉培養の方法を用いることは有用と考えられている. そこで, DMD罹患筋と正常筋の培養経過を比較し, さらにジストロフィンの性状を免疫組織学的に検討したところ, 以下のような結果が得られた. (1) DMD筋の筋肉培養で, altered myoblast phenotypeと思われる細胞が出現した. (2) ヒト正常筋においては, ジストロフィンは筋芽細胞 (myoblast) の段階ではまだ発現しておらず, myotubeで核周囲の筋細胞質に出現し, 分化とともに筋細胞膜に移動した. (3) DMD筋はmyoblast・myotubeのいずれにもジストロフィンの発現は認められなかった.
  • 満留 昭久, 安元 佐和, 緒方 博子, 大府 正治
    1992 年 24 巻 6 号 p. 605-606
    発行日: 1992/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Fisher症候群の深部腱反射がいつ陽性化するかを自験例および本邦小児報告例で検討した.自験4例では6カ月から6年にわたり観察したがいずれも陽性化しなかった.文献例では32例中7例 (22%) は2.3±1.6カ月で陽性化したが, 6カ月以上観察した9例中8例は陰性のままであった.本症候群の三主徴のうち運動失調は3~4週, 眼球運動制限が5~8週で全例改善しているのに対し, 深部腱反射消失は極端に長く続くことがわかった.
    Fisher症候群で深部腱反射消失だけが何故永く続くのか, いつ陽性化するのか未解決のまま残っている.
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