脳と発達
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24 巻 , 4 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 加我 牧子
    1992 年 24 巻 4 号 p. 317-322
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    佐藤らの開発した方向感自動記録装置を用いて2歳から18歳までの59名の正常児と, 成人12名を対象として方向感の発達を検討した.
    (1) 4歳以上で検査可能な症例が増加し, 5歳以上で大部分が, 7歳以上では全例が検査可能であった. 6歳以下の児の中に時間差音像定位ができるのに強度差音像定位ができないものがあった.
    (2) 時間差音像定位は4歳以降年齢と共に感度がよくなり6歳までに急速に値が低下し, 以後ゆっくりしたカーブを描いて減少し, 成人レベルに達した.
    (3) 強度差音像定位の発達は時間差よりもばらつきが大きかった.6歳以降では成人に近い結果になったが4歳ですでに成人に近い値となっている可能性も考えられた.
  • 鈴木 文晴, 礒 文子
    1992 年 24 巻 4 号 p. 323-326
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    東京都東大和市 (人口7万余) において脳性麻痺, 重症心身障害, およびダウン症候群の3疾患の発生率調査を行った.同市の5年間の総出生数は3, 958で, その中から脳性麻痺9例, 重症心身障害 (周生期以後の障害による例は除く) 4例 (うち3例は脳性麻痺と重複, 1例は先天代謝異常症), ダウン症候群7例の発生が確認された.各疾患の発生率はこの順で出生千当り2.2, 1.0, 1.8であった.脳性麻痺・重症心身障害の原因の過半数は出生前の時期に生じたものであった.軽症の脳性麻痺児が“outgrow”する可能性を考慮しても, これら疾患の発生率は高く, 発生予防策の樹立が重要であると考えられた.
  • 山口 勝之, 後藤 昇, 奈良 隆寛
    1992 年 24 巻 4 号 p. 327-334
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ヒト胎児脳 (在胎12-40週) の連続切片標本を用いて小脳顆粒層 (外および内穎粒層) の胎生期発達について検討した. 光顕的観察とともに層幅を系統発生的な部位別に計測し, 以下の結論を得た. (1) 外顆粒層幅は週齢による変化が少なく, 部位差もほとんどみられない.ただし, 片葉では他部位とは異なり本層は厚く, 漸減傾向を示す. (2) 内穎粒層は, 在胎12週以後少なくとも3段階の発達過程 (未分化期, 中間期, 発達期) を示す.最終段階としての発達期への移行時期は30-35週であるが, 虫部と片葉では早く, 半球では遅い. また, 前葉では後葉より先行する. (3) 皮質下の髄質に広く分布する未熟な小型神経細胞は内顆粒層の形成に関与すると考えられる.
  • 道廣 成実, 有泉 基水, 椎原 弘章, 江上 由里子, 佐賀 岳
    1992 年 24 巻 4 号 p. 335-341
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児部分発作例にN-isopropyl-p-[123I]-iodoamphetamineによるSPECT検査を2回施行し, 病巣部位の血流動態の経時的変化について検討した. 初回検査での限局性血流低下域が正常化または狭小化した症例の多くは, 臨床発作は消失し脳波所見も正常化した.初回と2回目の血流低下域が移動した症例は良性部分てんかんであった. 2回のSPECT像で変化がみられなかった症例の多くは, 臨床発作や脳波異常が持続していた. これらのことから, 小児部分発作における局所脳血流の経時的変化をみることは, 治療の効果判定や中止時期を決める上において参考となり, しかもてんかん病巣の病態解明にも役立ち有用であると思われた.
  • 古川 信子, 杉江 秀夫, 鶴井 聡, 伊藤 政孝, 五十嵐 良雄
    1992 年 24 巻 4 号 p. 342-346
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Brumbackにより報告された, 嫌気性解糖異常による代謝性ミオパチーモデルについて, その病態生化学的な有用性について検討した.Iodoacetateを腹部大動脈に注入したラットの下肢を駆血した後電気刺激を行った. 下肢筋では容易に拘縮が認められた.筋肉の解糖系酵素活性はglyceraldehyde-3-phosphate-dehydrogenase (G3PD) がcontrolの約10%に著減していた. また, in vitroの嫌気性解糖での乳酸産生はG3PDの解糖段階において, 生理学的にもブロックされている事が確認できた. ミトコンドリア呼吸鎖の酵素には変化を認めなかった。組織化学では筋変性がみられた. このモデルはG3PD欠損筋型糖原病のモデル動物として, その病態を検討するうえで有用であると思われた.
  • 伊藤 雅之, 小枝 達也, 稲垣 真澄, 杉谷 晃俊
    1992 年 24 巻 4 号 p. 347-352
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    アテトーゼ型脳性麻痺の環軸椎亜脱臼による頸髄症の一例を報告した.本例の病巣はMRIで確認された.短潜時体性感覚誘発電位 (sSEP) で, P3-N1間隔の著明な潜時の延長が術後正常化していた.神経生理学的な評価としてsSEPは有効であり, 術後の経過判定にも重要な検査であると思われた.
    障害児医療に関わる小児科医の役割が増大しつつあり環椎や軸椎, 環軸椎関節の異常やそれによる脊髄症は念頭におかねばならない重要な病態の一つである.
  • 七五三 秀昭, 荒木 隆助, 小出 博義, 宮路 太, 塩田 敬
    1992 年 24 巻 4 号 p. 353-357
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    皮膚血管腫, 四肢の片側肥大, リンパ管腫を有するKlippel-Trenaunay-Weber症候群と思われる1例を報告した. 加えて本例はslowprogressiveな先天性水頭症と両側ほぼ対称性の厚脳回様小多脳回を呈していた.Ommaya's reservoirを設置したが, その後, 水頭症は静止状態となった. 6カ月頃より全身性強直間代性痙攣が発現し, バルプロ酸を投与したが, このときの脳波は, hypsarrhythmiaを呈した.
    本症候群に先天性水頭症を合併することは稀であり, 更に, 脳回形成異常についての報告は見いだせない.
  • 松井 潔, 山田 美智子, 小林 拓也, 三宅 捷太, 岩本 弘子, 原 正道, 佐々木 佳郎
    1992 年 24 巻 4 号 p. 358-363
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Fahr病の一女児例について剖検所見を含め報省した. 患児は生後3カ月に点頭てんかんとなり, 以後最重度の重症心身障害児の状態であった. 13歳時, 頭部CTにて, 大脳基底核, 側脳室周囲白質, 小脳歯状核に石灰化を認めた. 病理所見は被殻, 淡蒼球, 側脳室周囲白質, 小脳歯状核および白質の小血管周囲に, ヘマトキシリン好性, 鉄染色, Kossa染色およびPAS染色で陽性を示す顆粒状物質を認めたが, 中脳より上のレベルでのみ認め特徴的であった。本症例は現在までの報告例と類似しており乳児型Fahr病と診断した.また高アンモニア血症を認め剖検肝にてomitine transcarbamylaseの部分欠損を認めた。
  • 岩崎 信明, 浜野 建三, 川嶋 浩一郎, 竹谷 俊樹, 堀米 ゆみ, 滝田 齊
    1992 年 24 巻 4 号 p. 364-369
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Childhood epilepsy with occipital paroxysms (CEOP) の8歳男児例について, 断続的光刺激 (intermittent photic stimulation, 以下IPS) の周波数および光刺激の方向による脳波学的反応を検討し, 以下の結果を得た.
    1) 覚醒時には後頭部を中心に1-2c/sの規則的な棘徐波複合が持続的に認められたが, 軽睡眠期には後頭部の棘徐波複合は消失し, 代わって左側優位に広汎性棘徐波複合が出現した.
    2) IPS6-13flashes/sec (f/s) で後頭部発作波が抑制され, 6-8f/sでは刺激開始の2秒後に, 10-13f/sでは刺激開始の直後に抑制が認められた.
    3) 正面からの白色光による刺激で開眼時に後頭部の棘徐波が抑制されたが, 側方30度, 60度からの刺激では抑制されなかった.
    これらの結果から, CEOPにおける発作波の抑制は, 中心脳系を介する機序が関与している可能性が考えられた.しかし, IPSの周波数や光刺激の方向による抑制の機序については不明であった.
  • 井合 瑞江, 田辺 雄三, 後藤 実千代
    1992 年 24 巻 4 号 p. 370-374
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    発熱, 嘔吐, 下痢, 痙攣, 意識障害を主訴とし, 第2病日にCT上視床に対称性低吸収域を認めた急性脳症の5歳女児例を経験した.MRI所見の経過を追跡したところ, 以下のことが明らかとなった. 1) 第5病日では海馬, 内包, 被殻の一部, 脳室周囲白質にT1T2延長像を認め, 視床には浮腫像の中に出血像を認めた.2) 第57病日までに上記の変化は退縮していき, 視床, 脳室周囲白質, 被殻の一部にわずかなT1T2延長像を残すのみとなった.以上よりCT上の低吸収域の発生機序として単純な梗塞ではなく何らかの機序による血管系の破綻があることが推測された.
  • 須永 康夫, 藤永 隆, 大塚 隆幸
    1992 年 24 巻 4 号 p. 375-379
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児モヤモヤ病2症例のMRI所見について検討した.2症例はいずれもTIA症状を主訴に外来受診した. 確定診断は, 脳血管造影により行った.2症例ともMRI所見では, T2強調画像により, 鮮明に梗塞像を認めた.また, 基底核部, 側脳室周囲皮質下を中心に多発性に, 小円形または楕円形の低信号域を認めた.これらは, 脳血管造影にて描出されるモヤモヤ血管に一致した. MRIにて描出されるモヤモヤ血管は, 従来報告されているT1強調画像に比較して, プロトン密度強調画像にてより鮮明に描出された.また, 脳血管造影に比較し, MRIはモヤモヤ血管の形態変化を, 非侵襲的に繰返し再検し経過観察できる点で, 非常に優れた検査法であると考えられる.
  • 市山 高志, 木本 淳子, 林 隆, 田中 晴美
    1992 年 24 巻 4 号 p. 380-383
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    発症から約1年半にわたり, 経時的に眼輪筋誘発筋電図を行った小児眼筋型重症筋無力症の1歳女児を報告した. (1) 誘発筋電図は臨床症状の変化とよく相関した. (2) post tetanic cyclestudyがHarvey-Masland法, M波回復曲線より鋭敏に易疲労現象を反映した. (3) ステロイドパルス療法後, 投薬なしで臨床症状が消失していた間も誘発筋電図ではwaning現象を認め, 潜在的な病態を評価しえた. (4) ステロイドパルス療法直後の初期増悪を誘発筋電図で評価しえた. 以上から本症において眼輪筋誘発筋電図は眼筋型重症筋無力症の病状の把握や治療効果の判定に有用と考えた.
  • 栗原 まな, 今井 祐之, 熊谷 公明, 柳下 三郎, 前川 喜平
    1992 年 24 巻 4 号 p. 384-390
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生後10カ月時急性脳症に罹患し, 痙性四肢麻痺, 精神遅滞, 難治性てんかんの障害を残した最重度心身障害児の女児の臨床経過と剖検所見について報告した. 本例は経過中経管栄養を施行されていたが, 麻疹罹患後経管栄養剤に銅が含まれていなかったため銅欠乏症による硬膜下出血をおこし, また股関節の著明な拘縮除去のため手術を受けるなど特異な経過をとった. 剖検所見では側脳室周囲の白質軟化が著明で, 小脳分子層でカクタス形成がみられるなど発達途上で受けた脳障害という意味から興味深い所見が認められた.
  • 安友 康二, 橋本 俊顕, 宮崎 雅仁, 村川 和義, 田山 正伸, 黒田 泰弘
    1992 年 24 巻 4 号 p. 391-392
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    周期的に斜頸を呈したモヤモヤ病の3歳女児例を経験した.患児は生後8カ月時より周期的に上気道炎症状に引き続いて一過性の斜頸を呈した.3歳時には右側への斜頸と共に右不全片麻痺が出現した.MRIで左前頭葉, 左側内包前脚, 右側前頭葉の脳梗塞像および両側大脳基底核部の異常血管網を認め, 脳血管造影を施行し, モヤモヤ病と診断した。今までに斜頸を呈したモヤモヤ病の報告例はなく, 今後, 斜頸の鑑別疾患の一つにモヤモヤ病が加えられるべきと考えられた.
  • 今井 正, 近藤 昌敏, 伊藤 進, 大西 鐘壽, 磯部 健一, 外山 芳弘
    1992 年 24 巻 4 号 p. 393-395
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Pearson症候群は, ミトコンドリアDNAの欠失がその病因であると考えられているまれな疾患である. 我々は, ミトコンドリアDNAの欠失を証明したPearson症候群の一例を経験し, 頭部MRIおよび31P-MRSの測定を行った.
    本症例の頭部MRI像はLeigh脳症等の病変の好発部位に同様の画像を示すこと, 31P-MRSでは, 脳内のエネルギー状態を反映すると言われているPCr/Piは, エネルギー摂取の低下や消費の亢進がない状態では, 正常であることが判明した.
  • 綾 直文, 吉岡 加寿夫
    1992 年 24 巻 4 号 p. 395-397
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    眼筋型の重症筋無力症 (MG) の3歳男児が経過中に麻疹に罹患した.患児は, 当初, pyridostigmine bromide (メスチノン) を投与されており, 明らかな効果は見られていなかったが, 麻疹に罹患したのち急速に完全寛解に達し, 同薬剤を減量, 中止したにもかかわらず, その後, 4年間にわたって再発を見ていない.また, 陽性であった血中の抗アセチルコリンレセプター抗体は減少, 消失した.患児のMGは麻疹ウイルスの感染により寛解したと考えられる.
  • 梅本 正和, 地頭所 保, 池澤 誠, 横山 里佳, 武 弘道
    1992 年 24 巻 4 号 p. 397-399
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1歳より左眼瞼周囲の萎縮が始まった進行性顔面片側萎縮症 (Parry-Romberg syndrome) の12歳女児例を報告した. 頭部CTで左頭頂部および左後頭部に石灰化を認めた. 4歳時には右上下肢の不全麻痺が田現し, 脳波では棘波が見られた. 剣状強皮症との鑑別が弔要と思われた.
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