京都市の周産期医療の変遷と脳性麻痺 (CP) の実態との関連について検討する目的で, 京都市の公立民営の肢体不自由児施設聖ヨゼフ整肢園を1977~1991年に受診した177名の京都市出生 (1977年1月~1985年12月出生) CP児を対象に経年的に分析を行った.9年間の京都市の出生千人に対するCP児の比率は1.12であった.全CPの約41%が低出生体重児であり, 出生時期別に3群 (1977~1979年: 47名, 1980~1982年: 62名, 1983~1985年: 68名) に区分して出生体重を比較すると, 近年2,000g未満児のCPの比率が増加していた.周産期医療の地域差による影響を考慮し, 里帰り分娩の15名を除く162名を出生時期別に3群 (1977~1979年: 44名, 1980~1982年: 56名, 1982~1985年: 62名) に区分し, 出生体重別および在胎期間別にハイリスク要因の頻度・予後 (CPの病型・4歳時および現在の運動発達・精神発達遅滞とてんかんの合併)・ハイリスク要因別にみた予後・予後相互の関連を3群間で比較した.全対象および37週以上児のけいれん・32週未満児と1,000~2, 0009児の呼吸障害・酸素の使用は近年減少していたが, 1,000~2,000g児の4歳時運動予後は軽症と重症に二極化する傾向を示し, 同出生体重児の生存率の改善が示唆された.また, 精神発達遅滞を合併しないCP児の4歳時運動予後にも改善がみられた.本調査により, 地域で中心的な役割をもつ一療育施設からみた地域のCP児の経年的分析が, その地域の周産期医療の変遷の考察に有益であることが示唆された.
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