脳と発達
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26 巻, 1 号
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  • 桜川 宣男
    1994 年 26 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 橋本 俊顕, 田山 正伸, 宮崎 雅仁, 村川 和義, 黒田 泰弘
    1994 年 26 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    自閉症の脳幹, 小脳の障害について検討した.対象は知能 (発達) 指数正常自閉症児および対照である.自閉症児では対照に比し中脳, 延髄が小さかった.脳橋は自閉症と対照との問に差はなかった.小脳虫部も両者の間に差がみられなかった.後頭蓋窩の断面積に対する脳幹, 小脳の断面積の比にも両者で差はなかった.加齢による脳幹の発達は自閉症と対照の問に差はなかったが, 小脳の発達は前者で遅れがみられた.以上の結果より, 自閉症では中脳, 延髄に形態的変化が存在することが推測された.小脳の発達の遅れは2次的なものと思われた.
  • 小寺澤 敬子, 下垣 佳代子, 宮田 広善, 上谷 良行, 中村 肇
    1994 年 26 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺, 重症心身障害児72人を対象として発症原因について検討した.その結果, 低酸素性虚血性脳症21例 (29%), 脳奇形12例 (17%), その他の先天異常7例 (10%), 胎内ウイルス感染症3例 (4%), 計43例 (60%) で明らかな原因が存在した.発症原因不明の29例中10例 (35%) で障害が発見された時点のCTおよびMRI所見で周産期異常が強く示唆された.
    以上より, 妊娠, 分娩に問題がなくても新生児期に何らかの異常を認めた場合, 積極的な検査を行い, 原因を究明する必要があると思われた.
  • 間歇的投与の試み
    田中 順子, 松崎 香士, 荒井 洋, 永井 利三郎, 松本 義男, 岡田 伸太郎
    1994 年 26 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ステロイド抵抗性または依存性の小児重症筋無力症 (以下MG) 眼筋型3例および全身型3例において, 経ロステロイド剤の継続投与を行わない間歓的メチルプレドニゾロンパルス (以下MP) 療法の治療効果について検討した.全身型2例, 眼筋型2例ではMP療法3クールにて寛解し, 以後再発時あるいは定期的にMP療法を行うことで症状は安定し, うち全身型2例では間歓的MP療法中止後も寛解状態を維持している.他の2例ではMP療法3クールでは完全寛解しなかったが, その後間歓的MP療法を行うことにより症状は次第に改善してきている.副作用はMP療法中に一過性の尿糖および軽度の初期増悪を認めた以外, 特に認められなかった.間激的MP療法は, ステロイド剤長期使用による副作用の出現を防ぐ上でも難治性MGにおいて試みる価値があると考える.
  • 7年間の診療実態
    石川 丹, 福島 直樹, 高瀬 愛子, 我妻 義則
    1994 年 26 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1992年までの7年間に市立札幌病院小児科で診療した大島分類1に属する在宅重症心身障害児73名について臨床的検討を加えた.
    発症年齢は82%が, 初診年齢は52%が1歳未満であった.年毎の患児数は1986年は29名であったのに対して1992年は54名と増加していた.原因疾患は65%が先天異常と新生児期疾患であった.
    状態像は以下の通りである.経鼻チューブ栄養例33名 (45%), 気管切開術施行例10名 (14%), 在宅酸素療法例8名 (11%), 人工呼吸管理経験例21名 (29%), 人工呼吸器使用下1年以上入院例2名であった.てんかん発作合併例は49名 (67%) で, うち29名 (59%) は発作が抑制されていた.
    入院歴を63名 (86%) に認め, 延べ入院回数は343回で, そのうち半数は呼吸を巡る疾病であった.近年, 2カ月以上の長期入院例が増えていた.
    死亡例は10名で, うち肺炎による者は1名のみ, 原因不明の突然の死亡を3名にみた.
  • 発達による変化
    橋本 俊顕, 田山 正伸, 宮崎 雅仁, 藤井 笑子, 原田 雅史, 三好 弘一, 田内 美紀, 黒田 泰弘
    1994 年 26 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳のプロトン核磁気スペクトロスコピー (1H-MRS) を生後1カ月から15歳の小児31例と成人1例の計32例に行った.頭頂部での1H-MRSでは全例N-acetylaspartate (NAA), choline (Cho), creatine (Cr) が見られたが, 乳酸のピークは見られなかった.NAA/Cho比, NAA/Cr比は加齢とともに増加し, Cho/Cr比は加齢とともに低下した.最も急激な変化は生後1~3年の間に見られた.11例において前頭部の1H-MRSも行われた.前頭部のNAA/Cho比は頭頂部のNAA/Cho比に比し低値であった.この結果は前頭部での神経系の成熟が頭頂部に比し遅れていることを示唆すると考えられた.
  • 安島 英裕, 小松 幹夫, 桜井 隆, 児玉 荘一
    1994 年 26 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    昭和60年から平成4年に至る8年間に姫路赤十字病院小児科を受診したvon Recklinghausen神経線維腫症 (NF1) 患児14例を対象に, 全例にMRIと脳波を施行した.てんかん合併は4例で, West症候群2例, 複雑部分発作1例, 部分発作の二次性全般化1例であった.MRIでは14例中7例 (50%) に異常を認め, てんかん合併例4例中3例 (75%) と, てんかん非合併例10例中4例 (40%) であった.MRI異常はT1強調画像にて低信号域, T2強調画像にて高信号域となる領域が基底核, 脳幹部に限局していた.NF 1ではこのようなMRI異常を高頻度に認めたが, MRI異常とてんかん発症との直接的な関係は不明である.
  • 清水 直樹, 杉田 克生, 石井 光子, 川副 泰隆, 宮本 治子, 新美 仁男
    1994 年 26 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児においては極めてまれな疾患である限局性脳血管炎 (isolated angiitis of the centralnervous system) と臨床診断された8歳女児例を報告した.本例は右上肢不全麻痺, 右顔面神経不全麻痺にて初発し, 以後多彩な神経症状を呈した.頭部磁気共鳴画像 (MRI) において, 各神経巣症状に対応した大脳皮質および皮質下の限局性病変を認めた.血管炎との関連を示唆する検査所見として, トロンビン・アンチトロンビンIII複合体 (TAT) の高値が有用であった.副腎皮質ステロイド剤と免疫抑制剤との併用療法は, 本例の寛解導入に有用であった.
  • 周期性ACTH-ADH放出症候群との異同を中心に
    秋岡 祐子, 粟屋 豊, 池中 晴美, 福山 幸夫
    1994 年 26 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    成長障害, 特異顔貌を主徴とし重度精神遅滞を伴った多発奇形症候群の女児に嘔吐発作を繰り返した1例を報告した.発作時に血漿ACTH, ADH値の上昇, 低浸透圧血症, 低Na血症, 高アミラーゼ血症を示し周期性ACTH-ADH放出症候群に類似していたが, 1) 基礎疾患を有する, 2) 高血圧や欝症状がない, 3) 周期が不定, 4) 感染, 心因が誘因となる点で異なっていた.間激期の水負荷試験でADH分泌抑制障害, 水利尿不全, 潜在性SIADH (syndrome ofinappropriate secretion of antidiuretic hormone) を認めdiazepamの投与によりこれらが改善された. 発作開始時にdiazepamを投与すると発作の軽症化に有効だった.本例の嘔吐発作は, 潜在性SIADHと深い関係を持つものと思われた.
  • 徳田 桐子, 小谷 信行, 荻野 竜也
    1994 年 26 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児難治性てんかん3症例 (0歳5カ月, 0歳9カ月, 5歳10カ月) に持続型ACTH (ACTH-Zn) とバルプロ酸 (VPA) を併用したところ, ACTH-Znを併用しないVPA投与時よりもさらに血中フィブリノーゲン (Fbg) 値の低下を認めた.
    ACTH-ZnとVPA併用時, 3症例の血中Fbg最低値はそれぞれ, 22, 51, 64mg/dlであった.との時, ACTH-Zn投与量は0.03~0.04mg/kg/day (平均0.033mg/kg/day), VPA投与量は12.5~67mg/kg/day (平均31.5mg/kg/day), VPA血中濃度は39.5~88.6μg/ml (平均59.7μg/ml) であった.ACTH-Znを併用しないVPA投与時の血中Fbg最低値はそれぞれ232,108,170mg/dlであり, この時VPA投与量は30~67mg/kg/day (平均51mg/kg/day), VPA血中濃度は80.9~130μg/ml (平均109.0μg/ml) であった.一方, VPAを併用しないACTH-Zn投与例は1例のみであったが, この時の血中Fbg最低値は277mg/d1であった.
    ACTH-ZnとVPA併用時には低Fbg血症に留意すべきと考えられたため報告した.
  • 髄液循環動態異常の検索と外科的治療について
    奥平 洋二郎, 板東 邦秋, 和智 明彦, 佐藤 潔, 大澤 真木子
    1994 年 26 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は, 生後15カ月の男児.4カ月時に福山型先天性筋ジストロフィーと診断され, 10カ月時より急速な頭囲拡大を認めた.CT, MRIにて, DobynsらのlissencephalyIIの所見と脳室およびくも膜下腔の拡大を認めた.髄液循環動態の検索にて基礎頭蓋内圧の亢進と髄液吸収抵抗の上昇が示され, 水頭症の合併が示唆された.脳室腹腔短絡術を施行し, 頭囲拡大, 臨床症状の改善とともに, 脳血流量の改善も認めた.画像診断では水頭症と脳萎縮や外水頭症との鑑別が困難な症例において, 頭蓋内圧測定を含む髄液循環動態の検索と評価が診断に有用であり, 水頭症に対する速やかな治療が付加的な脳機能の障害をある程度回避させうるものと考えられた.
  • 高野 知行, 松居 えり子, 山野 恒一, 島田 司巳, 奥村 啓子
    1994 年 26 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Reye症候群の疑われた急性脳症の1例において, 頭部X線CT上両側橋および視床に対称性低吸収域が認められた.病巣の一部はMRI-CT上T1およびT2強調画像でメトヘモグロビンによると思われる高信号域を呈し, 何らかの機序による血管障害の存在が推察された.異常信号域は発症から4カ月後にはほぼ消失し, 神経学的にも後遺症なく軽快した.
    本症例は病初期において最重度の急性脳症像を呈したにもかかわらず, CT上および神経学的にほぼ完全に回復した点において, 特異的と考えられた.
  • 田中 佳子, 中西 洋子, 浜野 晋一郎, 奈良 隆寛, 相原 敏則
    1994 年 26 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    左半身の間代性痙攣で発症した急性小児片麻痺の児において, 急性期から経時的な脳血流の変化を脳血流シンチグラフィーを用いて検討した.第3病日の左側の間代性痙攣重積時には, 右大脳半球の脳血流は増加していた.痙攣消失後4日目 (第7病日) には身体所見は意識障害と左片麻痺を認め, 同領域の血流増加が持続していた.第10病日から右側の脳血流は低下し, その後低下が持続していた.これまでに急性小児片麻痺の急性期の脳血流をとらえることができた報告はなく, 亜急性期および慢性期の血流低下の報告がなされているのみである.急性小児片麻痺の原因と病態を考える上で, 痙攣発作時からの脳血流の経時的変化の検討が重要であると考え報告する.
  • 小林 綾女, 伊藤 正利, 岡田 理子, 吉岡 久美子
    1994 年 26 巻 1 号 p. 74-77
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    点頭てんかんと発達遅滞を示し, 染色体分析の結果15番染色体部分テトラソミー [47, XY, +invdup (15) (pter→q13:: q13→pter)] が確定した症例を報告した.1歳頃よりシリーズを形成する点頭発作を認め点頭てんかんと診断した.皮膚色が浅黒い以外は特に小奇形や内臓奇形は認めなかった.両親の染色体分析では母親にモザイク型で患児のもつ過剰染色体と同様の過剰染色体を認めた.点頭てんかんに対してはvitaminB6大量療法やACTH療法などを施行し, 発作は軽減しやがて消失した.7歳の現在, 重度精神遅滞があるが, てんかん発作は消失したままである.
  • 塚本 東子, 中野 千鶴子
    1994 年 26 巻 1 号 p. 78-80
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    けいれん発作で発症し, MRI所見から多発性海綿状血管腫 (cavernousangioma, CA) が考えられた12歳男子例を報告した.頭部MRIT2強調画像で, 大脳全体から小脳を含む広範な領域に小円形の均一な低信号域および低信号の輪に囲まれた不均一な病変が多数認められ, CAに特徴的であった.123I-IMP SPECT, early imageでは, 60%程度に血流の低下している部分が多発していた.これは, CAが発達した栄養血管などをもたず, 内部の血流が遅延しているという所見を反映するものと考えられた.
  • 宮本 晶恵, 須貝 理香, 柳川 淳一, 沖 潤一
    1994 年 26 巻 1 号 p. 80-82
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児交互性片麻痺の2歳女児に123I-IMP single photon emission computed tomography (SPECT) およびacetazolamide (AZA) 負荷前後の99mTc-HMPAO SPECTを施行した.左片麻痺発作の前日に行ったIMP SPECTでは, 脳底動脈領域に集積低下があったが, 発作4日後に行ったAZA負荷前のHMP AO SPECTでは局所的な集積低下はなく, 経過とともに脳血流動態の変動が見られた.しかし, AZA負荷後には右内頸動脈領域で脳血管拡張能の低下があり, 左片麻痺発作の責任病巣と一致する所見が得られた.
  • 死亡例についての検討
    長尾 秀夫
    1994 年 26 巻 1 号 p. 82-84
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    てんかん小児の事故を予防する目的で, てんかん小児の急性死の実態を調査した.対象は著者らが診療しているてんかん小児573例のうち急性死を来した7例, 死亡時年齢は平均12歳7カ月であった.これらの症例は全例が強直発作または強直間代発作をもち, 発作頻度は1日に数回の発作が集積する特徴があった.したがって, このような特徴をもった症例では発作の集積に対して効果的な予防策が必要である.
  • 繁友 律子, 玉川 公子, 小宮 和彦, 柳下 章, 舟橋 満寿子, 小林 孝彰
    1994 年 26 巻 1 号 p. 84-86
    発行日: 1994/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    乳児期よりSjögren-Larsson症候群との診断のもと, 経過観察されてきた姉妹例の頭部画像所見を中心に報告した.CT上, 脳室周囲白質に低吸収域を認め, 特に姉では瀰漫性脳萎縮の進行があった.MRIでは, T2強調画像にて深部白質に瀰漫性広汎に高信号域を認め, 姉の方がその程度が強かった.基底核に異常は認められなかった.中枢神経系に特異的に, 進行性に髄鞘が障害される病態が示唆された.
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