Positron emission tomography (PET) では, 個々の神経伝達系の機能レベルをin vivoで評価できる.我々は, ドーパミン, アセチルコリン, ヒスタミン系をターゲットとしてポジトロン放出核種である
18F,
11Cを用いて標識し, その臨床利用を行っている.本手技がドーパミン系の節前, 節後線維の双方を評価できることに注目し痴呆疾患でのその変貌を検討したところ, 痴呆の進行と対応するドーパミン生合成の低下, 更には, D
2受容体のup regulationの存在を確認した.ヒスタミン受容体に関しては,
11C-doxepinを開発し, てんかん病巣でのヒスタミン受容体の増加が示唆される知見を得ている.その他, 我々の経験を中心に, PETによる脳神経伝達機能研究の現況を紹介する.
抄録全体を表示