新生児期より重篤な呼吸障害, 筋力低下, 筋緊張低下を来し, 生後4カ月で死亡した非福山型先天性筋ジストロフィー重症例を報告した. 患児は胎動が弱く, 生下時よりの全身筋力低下, 顔面筋罹患, 高口蓋, 肘関節と膝関節の屈曲拘縮を認めていた. 血清クレアチンキナーゼ値は123IU/
lと正常範囲であった. 筋電図は筋原性変化で, 頭部CTやMRIも正常であった. 筋生検所見では, 筋ジストロフィーの特徴である筋線維の大小不同, 間質の線維化, 再生線維があり, さらに未分化なタイプ2C線維を45%も認めた. ジストロフィン, ジストロフィン結合蛋白 (dystrophin-associated glycoprotein, DAG), メロシン抗体染色は正常であった. 本症は, 比較的良性な経過をとると言われる非福山型先天性筋ジストロフィー (メロシン陽性型) の中に重症例が存在することを示した.
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