脳と発達
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28 巻, 5 号
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  • 三池 輝久
    1996 年 28 巻 5 号 p. 378
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 古城 昌展, 小川 昭之, 福島 直喜, 佐藤 圭右, 園田 浩富
    1996 年 28 巻 5 号 p. 379-384
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    乳幼児突然死症候群 (SIDS) の危険因子である無呼吸における中枢性呼吸循環調節機構を知るために, 多次元自己回帰モデルを用いてOndine's curse, 乳児睡眠時無呼吸症候群および早期産児において心拍呼吸間インパルス応答とノイズ寄与率を求めた. Ondine's curseでは睡眠時ノイズ寄与率の低下, 乳児睡眠時無呼吸症候群では無呼吸前後のノイズ寄与率の低下, 早期産児では受胎後週数とノイズ寄与率に有意な正の相関をそれぞれ認めた. 以上からOndine'scurse, 乳児睡眠時無呼吸症候群および早期産児の無呼吸において, 中枢性心拍呼吸調節機構の障害という共通の所見が認められた. 多次元自己回帰モデルによる心拍呼吸間インパルス応答の解析は乳幼児突然死症候群の危険因子である無呼吸の予測に有用であることが示された.
  • 芳村 勝城, 遠山 潤, 前垣 義弘, 前岡 幸憲, 小枝 達也, 大谷 恭一, 安藤 幸典
    1996 年 28 巻 5 号 p. 385-390
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    9例の先天性風疹症候群について, 臨床症状と頭部CTおよびMRI所見の関係を検討した. 全例に聴力障害を認めた他, 3例に精神遅滞, 脳性麻痺, 小頭症などの中枢神経症状を認めた. 頭部CTでは4例に側脳室の軽度の拡大を, 4例に脳室周囲や後頭葉皮質下の白質内の低吸収域を認め, 1例にレンズ核内の石灰化巣を認めた. 頭部MRIでは施行した全例に白質内のT1, T2緩和時間の延長領域が認められた.これらのうち脳室拡大が精神運動発達遅滞, 脳性麻痺といった中枢神経系の後遺症の発現とよく相関していた. これらの異常は主に血管障害に起因する二次的な白質障害を反映していると考えられた.
  • 清水 教一, 鈴木 真理子, 山口 之利, 青木 継稔, 松田 一郎, 有馬 正高
    1996 年 28 巻 5 号 p. 391-397
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1990~1991年に行ったWilson病患者全国実態調査によって集計された成績のうち, 特に神経型・肝神経型Wilson病患者のデータを中心に検討を行った. 発症年齢は, 11歳以降に多く認められたが, 6~10歳にても全症例の約20%を占めていた. 初発症状は, 構音障害が最も高率に認められ, 歩行障害, 羽ばたき振戦, Kayser-Fleischer角膜輪も高頻度にみられた. 6歳以降に構音障害や錐体外路症状を認めた場合には, 本症を疑い精査を行うことが必要であると考えられた. また, ともに生命予後は良好なものの, 療養所, 病院等にて加療中のものが高率に認められた. これは進行した神経障害の不可逆性によると思われ, 本症に対する早期診断・早期治療開始の重要性が認識された.
  • 鈴木 保宏, 北 知子, 真野 利之, 荒井 洋, 松岡 太郎, 小高 隆平, 今井 克美, 永井 利三郎, 岡田 伸太郎
    1996 年 28 巻 5 号 p. 398-402
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々はWest症候群に対して, vitaminB6大量療法と抗てんかん薬療法 (valproate sodium, clonazepam) をACTH療法前に試みてきた. 本研究では初発のWest症候群25例を対象にvitamin B6大量療法あるいは抗てんかん薬療法にて発作が消失した有効例 (潜因性5例, 症候性4例) と発作が消失しなかった無効例 (潜因性4例, 症候性12例) に分けて臨床像と予後を後方視的に比較検討した.発作の消失に有効であった薬剤はvitaminB62例, valproate sodium2例, clonazepam5例であった. 潜因性では性, 発症年齢, 発作型, 初診時脳波所見, 発症から治療開始までの期間は有効例と無効例との間には差がなく, 臨床像から有効性は予測できなかった. 一方, 症候性では先行発作のある症例 (4例), 重度新生児仮死のある症例 (4例) は全例無効例であったのに対し, 神経皮膚症候群 (結節性硬化症, 神経線維腫症1型) の3例はすべて有効例であった。追跡調査時 (平均年齢5歳8カ月) には, 有効例では全例発作が消失しており, 精神運動発達正常あるいは軽度遅滞の症例 (DQ>70) も半数に認め, 予後は良好であった. West症候群におけるvitaminB6大量療法, 抗てんかん薬療法の適応について述べた.
  • 田川 哲三, 今井 克美, 大谷 和正, 板垣 裕輔, 田邊 裕司, 藤井 史敏, 二木 康之, 隅 清臣
    1996 年 28 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    滑脳症の2例においてsingle photon emission computed tomography (SPECT) を施行し, 臨床症状, 脳波, MRIとの関連を検討した. 症例1は生後7カ月時に発熱時全身けいれんが出現し, 脳波ではびまん性の高振幅速波が持続的に出現していた. 症例2では生後2カ月半に点頭てんかんが発症し, 脳波では低振幅の背景活動に偽律動的に高振幅不規則徐波が棘波を伴って出現していた. 両例とも, MRIでは脳回・脳溝の高度の形成不良を認め, SPECTでは小脳, 大脳基底核に比べ, 大脳皮質での高集積像を呈した. 症例1と2ではてんかん分類, てんかん発作型は異なっていたが, SPECTでは同様の所見を呈した. このSPECT所見はてんかん原性に関与するというより, 基礎に存在する大脳の構築異常を反映する可能性が示唆された.
  • 永田 貴美子, 四宮 滋子, 高橋 系一, 増村 年章
    1996 年 28 巻 5 号 p. 409-417
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    3~25歳の被験者56名を対象に, 睡眠第2段階に出現する睡眠紡錘波の周波数分析を行い, 中心・頭頂部と前頭部紡錘波に分けて, ピーク周波数とそのパワーの年齢による変化について検討した. 中心・頭頂部紡錘波の周波数はα波同様年齢とともに増加し, 10代後半にはほぼ14Hzに至るが, パワーには大きな変化はみられなかった. 前頭部紡錘波は年少時に最大であったパワーが10代までに急減し, 思春期には周波数が著明に増加し12Hz台となる. こうした変化はGABA系ニューロンを含む皮質および視床皮質路の各々の紡錘波の発現機構の発達を反映するものと思われる. 睡眠紡錘波は以前より乳幼児期の中枢神経系発達の指標に用いられてきたが, 異なる発達過程を示す上記二種類の紡錘波を分けて取り扱うことで, 特に思春期前後の中枢神経系の変化を知る上でも重要な指標になると考えた.
  • 認知神経心理学的および電気生理学的分析
    宇野 彰, 加我 牧子, 稲垣 真澄, 金子 真人, 春原 則子, 松田 博史
    1996 年 28 巻 5 号 p. 418-423
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    漢字書字に特異的な障害を示す学習障害児としては2例目の報告である. 本男児は13歳でWISC-RにてVIQ 1o1, PIQ84と全般的な知能は正常であったが漢字書字は小学校1, 2年生レベルの単語の約20%しか書けなかった. 認知心理学的には既報告例とは異なり視覚的認知機能の異常を認めた. 電気生理学的には視覚性事象関連電位の異常も伴った.本症例は漢字や図形の弁別は可能で再生が困難であったことや漢字音読が可能であったことから, 視覚的認知障害に形態想起障害が加わった可能性が高いと思われた.
  • 奥村 彰久, 早川 文雄, 久野 邦義, 早川 清順, 橋詰 良夫, 渡辺 一功
    1996 年 28 巻 5 号 p. 424-429
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    難治けいれんと重度の精神運動発達遅滞を認め, 頭部CT・MRIにより両側の厚脳回症・脳梁欠損とともに, 脳室周囲白質およびレンズ核に嚢胞様変化を示し, 生後5カ月で死亡した男児の臨床病理学的所見を報告した.剖検では, I型滑脳症/厚脳回症, 痕跡的な脳梁, leptomeningealglioneural heterotopia, 錐体路の低形成などの一次性の病変に加えて, 脳室周囲白質・レンズ核の嚢胞形成とその周囲の強いグリオーシスおよびCD68陽性マクロファージの出現を認めた. このような白質の多発性の嚢胞形成には頻発したけいれんによる脳障害の関与が考えられた.
  • 西村 正明
    1996 年 28 巻 5 号 p. 430-433
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    例の重症心身障害者において頻発する強直発作にphenytoinを使用したところ, 気道炎症に伴い, phenytoinの血中濃度の上昇をきたし, 難治性の吃逆がみられた2症例を経験したので報告した.
    Phenytoinは吃逆の治療にも使われることのある薬剤であるが, 吃逆を誘発した報告はなく, 2症例の気道炎症およびphenytoin血中濃度の上昇による脳幹障害が相まって誘因となった可能性が大きいと考えられた.
    重症心身障害児 (者) で難治性の吃逆を来した場合, 原疾患, 気道炎症の影響とともに抗痙攣剤の影響に注意する必要があると考えられた.
  • 赤星 進二郎, 宮下 晶子
    1996 年 28 巻 5 号 p. 434-437
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    自動車内放置による熱射病の10カ月男児例を報告した. 入院時の高体温, 昏睡, 痙攣発作より熱射病と診断した. 肝機能障害, 血液凝固系異常が出現したが, 数日で改善した. 意識障害は徐々に回復がみられたが最終的に神経学的後遺症がみられた. 頭部CTでは, 第7病日まで前頭葉の浮腫が認められた.第40病日の頭部MRIでは, vascular boundary zoneにcortical laminar necrosisがみられた.このことは, 熱射病の中枢神経障害に脳虚血が関与することを示唆した.
  • 清水 正樹, 浜野 晋一郎, 奈良 隆寛, 衛藤 義勝, 前川 喜平
    1996 年 28 巻 5 号 p. 438-442
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児期発症の前脊髄動脈症候群の診断および予後判定に脊髄MRIが有用だったので報告する. 症例1は突然の頸部痛で発症し, 四肢麻痺・解離性知覚障害・膀胱直腸障害を呈した. 脊髄MRI検査を施行したところT2強調画像で頸髄C4-C6レベルで, 頸髄の前方を中心とした高信号領域が認められた. T1強調画像では頸髄同レベルの腫脹が認められた. 脊髄MRI所見より前脊髄動脈灌流領域の虚血性障害が考えられ, 神経学的所見と合わせ前脊髄動脈症候群と診断した. 症例2も同様に脊髄MRI所見および神経学的所見より前脊髄動脈症候群と診断した.
  • 和田 博子, 西尾 久英, 永木 聖子, 梁川 裕司, 今村 淳子, 横山 純好, 佐野 正, 禹 満, 松尾 雅文, 伊東 宏, 中村 肇
    1996 年 28 巻 5 号 p. 443-447
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々は, 2度の筋生検で乳児良性型cytochrome coxidase (以下CCOと略す) 欠損症と診断した女児を経験した. 生来全身の筋緊張は著しく低く, 生後2カ月時には人工呼吸管理が必要であった. 高乳酸・高ピルビン酸血症ならびに低カルニチン血症を認め, 同時期の筋生検の結果でCCO欠損症と診断した. L-カルニチンとcoenzyme Q10の併用療法にて速やかに血中乳酸・ピルビン酸値は正常化し, 筋緊張低下も漸次改善した. 生後6カ月には人工呼吸管理を中止でき, 1歳3カ月で歩行可能となった. 3歳8カ月現在, 精神運動発達に異常はなく, 筋生検でCOX活性の著明な改善を認めた.
  • 渋井 展子, 立麻 典子, 金子 清志, 前田 美穂, 山本 正生
    1996 年 28 巻 5 号 p. 448-450
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    47, XXY, del (5) (p13 p15) 核型を示した1歳の男児を報告する. 発達遅滞, 小頭症, 眼間解離, 内眼角贅皮, 太い鼻根部, 高口蓋, 小顎症, 筋緊張低下, 猫なきなどの5番染色体短腕の部分欠失に由来するcrl-du-chat症候群の諸症状を呈していた.
    出生時より比較的細長い体型を示したが, XXY核型によるものと推定した. 外性器は男性で, 両側の鼠径睾丸を伴っていた.
    文献検索により, Palevskyら (1979) の報告した男児例を抽出した.
    この症例は47, XXY, del (5) (p14p15) の核型を示しcri-du-chat症候群の諸症状を呈したが, 猫なきはなく外性器は中間型で停留睾丸を認めた.
  • 石川 幸辰, 石川 悠加, 南 良二
    1996 年 28 巻 5 号 p. 450-453
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1995年に, 小児期発症脊髄性筋萎縮症 (childhood spinal muscular atrophy, SMA) の候補遺伝子として報告されたsurvival motor neuron (SMN), neuronal apoptosis inhibitory protein (NAIP) 遺伝子のエクソン欠失について検索した.自験SMA11例 (type1;2例, type2;8例, type3: 1例) のうち9例でSMN遺伝子エクソン7, 8がホモ接合性に欠失していた. Type 2 SMA1例ではエクソン7のみ欠失していた. 全体の91%で遺伝子変異を認めた. 臨床的重症度がtype1とtype2の中間に位置する症例では, セントロメア側のSMNコピー遺伝子のエクソン8も欠失していた. 一方, NAIP遺伝子では遺伝子欠失は全例で認められなかった. SMN遺伝子のエクソンの欠失検索は本邦においてもSMAの確定診断に有用な方法であると思われた.
  • 関東地方会
    1996 年 28 巻 5 号 p. 460-465
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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