周産期の低酸素性虚血性脳症の後遺症として, 大脳基底核, 視床に大理石紋様状態と呼ばれる病変がみられる. 我々は, 乳児期早期の低酸素性脳症の後遺症で, 基底核, 視床, 大脳皮質の一部に大理石紋様状態を呈した1剖検例を経験し, 免疫組織化学的検討を加え, その病態について考察した. 形態学的には, 本症例に認められた病変は周産期の低酸素性虚血性脳症後遺症と同様で, 乳児期早期の低酸素性脳症による脳障害においては, 新生児仮死と同様な病態生理が関与する可能性が示唆された. 一方, 免疫染色の結果からは, 大理石紋様状態の病変部位では神経細胞の高度の脱落を認め, さらに, 大理石紋様状態内の異常な有髄線維は電顕所見から推定されるアストロサイトの突起における異常な有髄化とは異なるものと考えられた.
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