脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
29 巻, 6 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 伊藤 昌弘, 笛木 昇, 倉田 清子, 林 雅晴, 森松 義雄, 佐藤 順一
    1997 年 29 巻 6 号 p. 449-454
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    病歴上, 新生児期に重度仮死がみられず, 頭部MRI上, 淡蒼球・視床下核・海馬に限局する病変が認められた25歳から34歳の計8例の重症心身障害者において, 病因・臨床像・生理学的検査結果を解析した.剖検できた1例では, MRIと神経病理所見の三致をみた.脳性麻痺の型は, 全例, アテトーゼ型だが'ジストニアや痙直を認める例も多かった.眼球運動障害や嚥下障害などの脳幹症状が多くの症例で認められ, また, 意志表示が可能な例もみられたが, 重度の知能障害を示す例も多かった.8例中7例で施行した聴性脳幹反応で全例異常が認められ, 6例で施行した終夜睡眠脳波では全例REM睡眠が減少していた.周産期の病歴が十分得られない症例においては, 核黄疸の診断にMRIが有用であり, 淡蒼球, 視床下核, 海馬病変に関して冠状断のT2強調画像やプロトン強調画像が適していることが示された.
  • 鈴木 文晴, 秋山 千枝子
    1997 年 29 巻 6 号 p. 455-459
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    後天性脳障害 (生後4週以降に発症した脳障害) による現在の年齢が6~18歳の重症心身障害児45例につき, その病因を中心に検討した.45例は2医療機関ならびに近隣の2養護学校で把握した.45例中24例 (53%) の基礎疾患が中枢神経系感染症 (細菌性9例, ウイルス性6例, 脳症9例) であった.医療関連由来の脳障害が9例 (20%) であり, そのうち心疾患の術中・術後の低酸素性脳症が6例であった.不慮の事故によるものは8例 (18%) であり, そのうちベッド柵での首はさみが2例, 溺水が2例, 交通事故が2例であった.脳血管障害は4例であった.中枢神経系感染症の早期診断法の確立, 事故の予防の普及などにより, 今回の症例のうち相当部分は予防可能であると考えた.
  • 小沢 浩, 稲垣 真澄, 加我 牧子, 花岡 繁, 須貝 研司
    1997 年 29 巻 6 号 p. 460-465
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    水無脳症の2例について, 聴覚弁別能力を評価するため, 受動的刺激条件による事象関連電位を記録した.症例1は, 画像上後頭葉, 側頭葉の一部と視床を認めるのみであったが, 純音および言語音3パターンに対してmismatch negativity (MMN) を認めた.症例2では左前頭葉, 側頭葉, 右後頭葉, 視床, 基底核の一部を認め, 言語音3パターンにMMNを認めた.2例とも中間潜時反応 (middle latency response, MLR) のNa成分も陽性であった点から, 大脳が広範に障害されている例でも聴覚情報処理の初期過程の存在が示され, 本2例のMMNの出現には聴覚系の皮質下構造の関与が考えられた.
  • 市山 高志, 西河 美希, 林 隆, 古川 漸
    1997 年 29 巻 6 号 p. 466-470
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    急性脳炎において, 局所の免疫・炎症病態を検討するため, 急性期の髄液中のinter-Ieukin-1β (IL-1β), IL-6, tumor necrosis factor-α (TNF-α), soluble TNF receptor1 (sTNF-R1) をsandwich enzyme-linked immunoassay法で測定した.対象は急性脳炎の24名で, 神経学的後遺症の有無により予後不良群9名, 予後良好群15名に分けて検討した.IL-1β, IL-6, TNF-α, sTNF-R1とも対照群 (23名) に比して予後不良群, 予後良好群とも有意に高値を示した.またsTNF-R1は予後不良群が予後良好群より有意に高値を示した.以上からIL-1β, IL-6, TNF-αは急性脳炎の炎症・免疫病態に関与しており, また急性期の髄液中sTNF-R1値は神経学的予後を推測しうる指標になると考えた.
  • 細谷 まち子
    1997 年 29 巻 6 号 p. 471-475
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児のもやもや病は, 運動障害などの一過性脳虚血症状で発症することが多く, 知能低下で発症することは稀でかつ気付かれないことがある.幼児期に知能低下で発症したが精査を受けず, 9歳時に左上肢と下肢の舞踏様運動が出現したため受診し, もやもや病と診断された症例を報告する.受診時IQは64であった.MRIで多発性の脳梗塞を認め, SPECTでは同部位の血流低下と右基底核の血流低下を認めた.浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術を施行後舞踏様運動は消失したが, 知能低下は改善しなかった.術後のSPECT検査では, 梗塞部位を除いて脳血流は改善した.
    乳幼児で知能低下が出現した場合には, もやもや病を鑑別診断に入れる必要がある.
  • 高野 信彦, 本家 一也, 蓮井 正樹, 大野 一郎, 竹村 博文
    1997 年 29 巻 6 号 p. 476-480
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) において洞性調律異常や心房および心室性期外収縮はよく合併するが, 房室ブロックをきたすことは少なく, さらにペースメーカー植え込み術を施行した例はまれである.今回, 30歳のDMDに合併した完全房室ブロックに対してペースメーカー植え込み術を行い, 良好に経過している1例を経験した.DMDはこれまで20歳前後までしか生存できないとされてきたが, 近年の人工呼吸器による呼吸管理で長期生存例もみられるようになった.今後, DMDの長期生存例では心不全や不整脈が生命予後を左右する要因となり, ペースメーカー植え込み術を施行される症例が増加していくと予測された.
  • 特異な脳炎・脳症後てんかんの一群 (粟屋・福山) との比較
    柴田 優, 今中 康文, 嶋 緑倫, 吉岡 章
    1997 年 29 巻 6 号 p. 481-487
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    日間の発熱の後, 右側優位の全身性強直間代性痙攣の重積発作を発症した5歳男児例を経験した.第11病日のMRIでは左側頭葉, 頭頂葉, 後頭葉の皮質が腫脹し, T2強調画像で高信号域を示した.第17病日のCTでは左側頭葉, 頭頂葉および後頭葉にかけて広範囲に連続する低吸収域を認めた.その後, 全身痙攣は消失し, 皮質の腫脹も徐々に改善した.しかし失語症を残し, 複雑部分発作を反復した.その後MRIでは左側頭葉と海馬の萎縮が進行した.現在'難治性てんかんとして経過観察中であるが, 限局性脳炎の存在が示唆され, 栗屋らの提唱した「特異な脳炎・脳症後てんかんの一群」に関連した症例と考えられた.
  • 臨床所見と頭部画像所見の変化
    田中 学, 田中 佳子, 浜野 晋一郎, 奈良 隆寛, 今井 祐之
    1997 年 29 巻 6 号 p. 488-493
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    PEHO症候群 (progressive encephalopathy with edema, hypsarrhythmia and optic atrophy syndrome) の1例を経験した.本例は周産期異常はなかったが, 生後からの筋緊張低下と発達遅滞を認めた.3カ月時にtonic spasmsを発症し, その後後弓反張が明瞭になってきた.頭部画像所見では小脳と脳幹の進行性の萎縮が明らかになった.眼底では視神経の萎縮が認められた.本症における頭部画像所見と臨床症状の変化は脳幹の機能低下がWest症候群の発症に関与している可能性を示唆するものと考えられた.
  • 今井 祐之, 浜野 晋一郎, 野田 洋子, 奈良 隆寛, 小川 恵弘, 前川 喜平
    1997 年 29 巻 6 号 p. 494-499
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    劇症型亜急性硬化性全脳炎の3歳男児例を報告した.本児は, 9カ月時に麻疹肺炎に罹患し, 2歳4カ月時にMMRワクチンを接種している.
    3歳4カ月時に傾眠と左片麻痺で発症し, 第10病日には昏睡状態となり, 1カ月半で除皮質硬直位となった.髄液の麻疹抗体価の異常高値からSSPEを考え, inosine pranobexの投与を行ったが効果はなく, 発症3カ月目に多発性脳出血をきたし, 全経過4カ月で死亡した.
    剖検では, 乏突起膠細胞内に抗麻疹抗体陽性の封入体を認め, 血管周囲の白血球浸潤, グリア結節や白質のグリオーシスなどの典型的病理所見のほかに小血管の内膜の肥厚, 閉塞像・再疎通像など血管炎の関与を示唆する所見がみられたのが特徴的であった.
  • 下野 昌幸, 松永 薫, 石塚 丈広, 白幡 聡, 原口 宏之
    1997 年 29 巻 6 号 p. 502-506
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    血液, 髄液, CT・MRIなどの画像検査を施行したが原因を特定できなかった左核下性動眼神経麻痺の1例を報告した.症例はビタミンB630mgとプレドニン30mgを内服し, 眼球運動は1週間後から回復し始め6週間後に正常化した.瞳孔反射は6週間後から改善し始め9カ月後の現在も改善中である.小児の特発性動眼神経麻痺はまれな病態であり, 臨床像や治療法を確立するために今後の症例の蓄積が必要である.
  • 清水 由紀夫, 塩田 敬, 高田 邦安, 皆川 正男, 一色 俊行
    1997 年 29 巻 6 号 p. 507-513
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    先天型Pelizaeus-Merzbacher病の本邦第2例目の剖検例を報告した.19年の長い経過で, 髄鞘の欠損は視神経を含む大脳から脊髄にいたる全中枢神経系に及ぶが, 末梢性髄鞘は保たれる.小脳ではトルペード形成を認めるが, 軸索は保たれている.髄鞘欠損部に高度のisomorphic gliosisを示していた.女性であること, 動眼神経の髄鞘が保たれていたこと以外は第1例目の報告例と基本的に同一の所見であった.本疾患はX染色体上にあるミエリンのproteolipid蛋白合成遺伝子の欠陥が原因で, 伴性劣性遺伝形式と考えられている.しかし本例は近親婚のない家系に孤発した女性例であることから, 本疾患には別の遺伝子の関与する可能性も考慮すべきと考えられた.
  • 栗原 まな, 熊谷 公明, 野田 洋子, 中江 陽一郎
    1997 年 29 巻 6 号 p. 514-515
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 文晴, 近藤 喜代太郎, 高柳 勝
    1997 年 29 巻 6 号 p. 516
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • その2
    福山 幸夫
    1997 年 29 巻 6 号 p. 517-520
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 中国・四国小児神経学研究会 , 東海地方会
    1997 年 29 巻 6 号 p. 523-527
    発行日: 1997/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top