喉頭摘出術が, 呼吸管理上有用であった重症心身障害児3例を経験した. 患児は手術順に現在13歳, 10歳, 9歳で, 新生児仮死など新生児期に異常を認め, 脳性麻痺, 精神遅滞, てんかんを続発した. 幼少時に誤嚥による下気道感染を頻回に繰り返し, 生命予後も危惧されたため, おのおの9歳1カ月, 7歳6カ月, 6歳11カ月時に喉頭摘出術を施行した. 術後2年から4年を経過しているが, 術後気道感染は著減している.
喉頭摘出術は, 気管と食道が分離され, 誤嚥防止には最も確実な方法である. 胃食道逆流現象による誤嚥性肺炎の頻発, 発声・発語が将来にわたって期待できないこと, また発声機能の永久的な喪失を家族が同意するなど, 適応を慎重に検討する必要があるが, 喉頭摘出術は, 重症心身障害児の呼吸管理上, 有用な一方法として認識すべきである.
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