感染に伴う急性脳症で, Japan Coma Scale (JCS) 200以上の例の画像, 検査, 治療, 予後について述べた.
1. 画像所見では1群 (正常), 2群 (急性期は正常で週~ 月で萎縮が進行), 3群 (初期は正常で発症後の4~5日前後で大脳皮質主体の浮腫~ 壊死が出現), 4群 (発症の48時間以内に脳全体の浮腫), 5群 (対称性視床病変), 6群 (脳浮腫消失後の対称性淡蒼球病変), 7群 (急性期は萎縮様で, その後は正常化), に分けられた.生命予後は4群で最も悪く, 次いで5群, 3群で悪かった.
2. 血液検査所見ではASTが急性脳症の約半数で上昇し, AST上昇例の約60%に血管内凝固症候群 (DIC) が合併し, DIC合併例の予後は悪かった.髄液neopterin, interleukin (IL)-6を8例で測定し, 全例でいずれかが上昇し, 血清値よりも高値の例が存在した.また, hemorrhagicshock and encephalopathy (HSE) に類似した症例の血清IL-6は著高を示した.
3. 治療では軽度低体温とmethylprednisolone pulseの併用は急性脳症に有効であり, 初診時に大後頭孔ヘルニアを示した1例は走れるまでに回復した.
4. Reye症候群とHSEの鑑別, および急性脳症の発症機序に関しての考察も加えた.
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