脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
32 巻, 4 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 岡 英次
    2000 年 32 巻 4 号 p. 294
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 瀬戸 俊之, 稲田 浩, 小林 紀男, 多田 博史, 古川 恭子, 林 かおる, 服部 英司, 松岡 收, 一色 玄
    2000 年 32 巻 4 号 p. 295-300
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Theophylline製剤投与中の児にけいれんが生じやすい要因として, 血清vitamin B, 値の低下の関与を検討する目的で, 血清中のpyridoxal (PAL) 値を測定した. Theophylline服用中の児 (n=31) では対照群 (n=21) と比較し, PAL値は有意に低下していた (P<0.05).Theophylline血中濃度とPAL値との間には有意な相関を認めなかった. 一方, theophylline投与児において, けいれん発作をきたし, 発作後24時間以内にPAL値を測定し得た4症例において, 3例で低値を認めた. 以上より, theophylline関連けいれんでは, theophylline投与によるvitamin B6値の低下がけいれんの発症に関与している可能性が示唆された.
  • 療育施設および重症心身障害児 (者) 施設における8例の経験より
    川目 裕, 黒澤 健司, 赤塚 章, 落合 幸勝
    2000 年 32 巻 4 号 p. 301-306
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    全前脳胞症 (holoprosencephaly) の自験例8例 (年齢: 3歳1カ月~10歳2カ月) の自然歴とその日常管理点について検討した. 多くは出生後に始まる成長障害を伴い, 7例でやせ (body mass index, BMI (平均): 13.3) を認め栄養管理の困難さが推測された. 全例に重度の精神運動発達遅滞を認めるも, 中枢神経の解剖学的な重症度と相関はみられなかった.7例に痙性を認め, 染色体異常を伴う1例は筋緊張低下を認めた. 7例にけいれんを認めた. 経過中にさまざまな程度の摂食障害を認め, そのうち6例は専門的な口腔機能評価, 摂食指導を必要とした. 3例に血清Na異常を認め治療を行っていた. すべて孤発例であった.成長障害, 摂食機能障害, 栄養管理, けいれん, 痙性のコントロール, 感染症, 血清Na異常が長期管理上重要と考えられた.
  • 堀口 寿広, 宇野 彰
    2000 年 32 巻 4 号 p. 307-311
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    学習障害 (LD) および周辺児・者の日常生活におけるハンディキャップの実態を家族にアンケート調査した. 各都道府県の「LD親の会」の会員470名に調査票を配布し, 266名 (56.6%) から回答があった. 学習障害児には各年齢, 個々のハンディキャップに応じた援助が求められていた. 現行の各種手帳の取得率は18.0%であったが, 全体の753%の回答者が専用の手帳をつくり福祉制度を活用することに賛成していた. 社会福祉的な援助に加え, 医療, 教育における専門家の配置, 関係各機関の連絡網の整備など, 医療, 教育, 労働, 法律の面からの援助や統合的な対応も必要であると考えた.
  • 非定型欠神発作と夜間の部分けいれん発作の合併
    有田 二郎, 前川 喜平, 松島 宏, 衛藤 義勝, 原田 徹, 羽野 寛, 森川 建基
    2000 年 32 巻 4 号 p. 312-317
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    先天性脱毛症と精神遅滞を伴ったてんかんの1例を経験した. 出生時には全身が無毛で2歳以降になって徐々に薄く生えてきた.幼児期に明らかな遅れは認められなかったが, 小学校入学後 (6歳) に精神遅滞が明らかになった. 4歳時に夜間の部分けいれん発作が出現, 6歳から非定型欠神発作がみられた. 覚醒時発作間欠期脳波では中心・側頭領域に徐波を伴う棘波がみられた. 睡眠時には全般化した棘徐波が著しく増強し, 持続的な出現もみられた. 覚醒時の非定型欠神発作時脳波は全般性棘徐波複合であった.皮膚生検では毛包・皮脂腺が未熟で数が減少していた. このような疾患はectodermal dysplasiaと関連があるのか今後の症例の蓄積が必要である.
  • 大槻 則行, 木村 清次, 根津 敦夫, 相原 雄幸
    2000 年 32 巻 4 号 p. 318-322
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インフルエンザウイルス感染に伴う急性脳症は一般的に予後が不良な例が多く, 従来の治療法では重篤な神経学的後遺症を残すことが多い. 今回, インフルエンザウイルス感染に伴って発症した急性脳症の2例に軽度低体温療法とステロイドパルスの併用療法を行った. 1例は中枢神経症状出現後の7日目に入院し, 顕著な脳浮腫および脳波の低電位化を認めたが死亡には至らず, 経口摂取可能の状態で退院できた. 他の1例は入院時に両側前頭部優位の皮質浮腫を認めたが治療の結果, 中等度の知能障害にとどまった. 上記の治療法は新たな一つの手段になると考えられた.
  • 後藤 一也, 前田 知己, 泉 達郎
    2000 年 32 巻 4 号 p. 323-327
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胎内にて半球間裂嚢胞を指摘され, 5歳までの経過観察で, 嚢胞サイズが乳児期に一時的に増大し, その後自然縮小を認めた1例を報告する. 生後の画像検査で, 多発性の半球間裂嚢胞とともに, 脳梁欠損および厚脳回や異所性灰白質などの皮質形成障害も確認された. 本症例では, 乳児期前半に嚢胞は増大したが, 一過性の筋緊張亢進所見以外, 明らかな頭蓋内圧亢進症状は認められなかった. 本症例のように自然縮小を示した半球間裂嚢胞はこれまで報告されていない. 本症例における, 嚢胞サイズの年齢変化を定量的に示すとともに, その縮小機序について考察した.
  • 良性乳児けいれんおよび乳児良性部分てんかんとの鑑別上の問題点
    中澤 千冬, 田中 総一郎, 横山 浩之, 飯沼 一宇
    2000 年 32 巻 4 号 p. 328-333
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    右の上下肢の間代性けいれんで発症した急性硬膜下血腫の40日齢の女児例を報告した. 発作時脳波では, 左側頭一頭頂部にかけて棘徐波群発を認めた. 抗てんかん剤の投与でけいれんは容易にコントロールされ, 乳児良性けいれんまたは乳児良性部分てんかんを疑診し, 経過観察していた。第10病日に施行した頭部MRI検査で, 左前頭から側頭部にかけて広範な硬膜下血腫を認め, 右後頭部から大脳縦裂にかけても出血を認めた. 後方視的にみれば, 入院時CTでも疑診をおくことはできたが, 第10病日のMRIの所見を想定することは困難であった. 乳児期には軽微な外傷でも頭蓋内出血を来しやすく, 外傷歴も明確でないことも多いため, 乳児良性けいれんあるいは乳児良性部分てんかんと診断されている症例の中に, 軽微な頭蓋内出血によるものも含まれている可能性があり, 綿密な神経放射線学的な経過観察が重要であると考えられた.
  • 笹川 睦男, 福多 真史, 亀山 茂樹, 竹内 茂和
    2000 年 32 巻 4 号 p. 334-340
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    モヤモヤ病 (ウィリス動脈輪閉塞症) の脳波は診断的価値が乏しいと考えられている. しかし過呼吸賦活後のre-build upは本症を特徴づける所見の一つである. 今回, 多彩な臨床症状のため心身症と診断されていた年長女児で, 過呼吸中の脳波では徐波化所見を認めなかったものの過呼吸終了後にのみ片側性徐波化所見が認められた. 脳血管撮影でモヤモヤ病と確定診断し血行再建術が実施され臨床症状は改善した.臨床症状と脳波所見が診断の最初の手掛かりであった. 虚血型小児モヤモヤ病で過呼吸後の徐波化を非特異的異常とせず, 積極的に確定診断へ結び付けることが必要である.
  • 服部 旬里, 吉永 治美, 村上 暢子, 岡 英次, 河内 正光, 大本 堯史
    2000 年 32 巻 4 号 p. 341-345
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は生後7カ月の女児。先天性水頭症で生後7日目に脳室腹腔短絡術が施行された。生後6カ月のときにWest症候群が発症し, vitamin B6でスパズムは抑制されたが, 脳波ではヒプスアリスミアの状態が続いていた。シャント局所感染と, それによる髄膜炎をきたしたためシャント抜去術を行ったところ, 脳波は著明に改善した。本例は水頭症という粗大な器質性障害を伴うWest症候群において, vitaminB6が有効であり, さらにヒプスアリスミアの発生についても重要な示唆を与える症例であった。
  • 経口的セレン投与の治療効果
    栗原 まな, 熊谷 公明, 中江 陽一郎, 西野 一三, 埜中 征哉
    2000 年 32 巻 4 号 p. 346-351
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    知的発達障害を伴う非福山型先天性筋ジストロフィーとして幼児期より経過観察していた姉・弟例に筋生検を行い, セレン欠乏症と類似の筋所見が認められた. 血中セレンの低値を確認し, セレンの経口投与を開始し, 歩行の改善が得られたので, 歩行分析を加えて報告した. 本症例におけるセレン欠乏と原疾患との関連性は不明であるが, セレン代謝と何らかの関係をもつことが示唆された. セレン投与開始後の症状の改善が薬剤の中枢に対する効果なのか, 筋原性なのかも現在のところ不明である.
  • 須藤 章, 福水 道郎, 須貝 研司, 松本 浩, 長澤 哲郎, 小牧 宏文, 花岡 繁, 佐々木 征行, 高嶋 幸男, 林田 哲郎
    2000 年 32 巻 4 号 p. 352-357
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    睡眠時閉塞性無呼吸 (OSA) を認めるDuchenne型筋ジストロフィー (DMD) の10歳男児に, 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術と扁桃摘出術を施行した. 患児は乳幼児期より睡眠時のいびきがあったが, 8歳で車椅子生活となり, その1年半後にOSAが出現した。術前のX線写真およびMRIで長い口蓋垂と中等度の扁桃肥大を認め, 上気道狭窄の原因と考えられた。終夜ポリグラフで無呼吸指数は術前の32.8/時間から, 術後0.8/時間に著明に改善した.肺活量は予測値の77-78%で不変であったが, 1秒率は75%から86%にまで改善した。DMDで早期にOSAが出現し, 1秒率の低下がある場合には耳鼻咽喉科的手術を検討する余地がある。
  • 木村 義治, 村中 秀樹, 児島 雅, 長利 伸一, 藤田 浩史, 後藤 章, 安田 すみ江
    2000 年 32 巻 4 号 p. 358-362
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Hypnic myocloniaに伴い, 舌咬傷を繰り返した1幼児例を報告した. 患児は, 生後9カ月から, 入眠期に強いmyoclonusとそれに伴う舌咬傷と激しい蹄泣を繰り返した。発作時ビデオ脳波では, 入眠期のmyoclon US, 一瞬の口を閉じる動き, そして激しい啼泣を確認したが, てんかん性異常波は認めなかった. 同症状は1歳10カ月時に消失した.
    舌咬傷を伴うhypnic myocloniaは, 乳幼児期に一過性に出現し消失することより, 脳および口腔機能の成熟過程に関連する年齢依存的現象と考えられた.
  • 寺本 知史, 浜野 晋一郎, 伊東 建, 千葉 博胤, 衛藤 義勝
    2000 年 32 巻 4 号 p. 363-365
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    遷延性意識障害を来したインフルエンザ脳症患者に対して酒石酸プロチレリン (TRH-T) 治療を行い, 著明な意識障害の改善を認め, 評価に際してはSPECTが有用であった. 頭部CT, MRI上は正常で, 意識障害が遷延した亜急性期 (TRH-T治療前) のECD-SPECTでは左大脳半球全体に広範囲の血流低下がみられた. TRH-T治療後は血流低下領域が縮小し, 治療の有効性が客観的に確認された. TRH-Tは様々な病因による遷延性意識障害の治療に有効であり, ウイルス性脳症亜急性期の遷延性意識障害に対しても積極的に使用してみる価値のある治療法であると思われた.
  • 九州地方会
    2000 年 32 巻 4 号 p. 370-371
    発行日: 2000/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top