多動性障害および多動性を有する広汎性発達障害 (PDD) 141例に施行したmethylphenidate (MPD) 治療の効果および副作用を検討し, また, 治療開始後1年から5年の経過観察時点の, 治療継続の有無および適応状況を調査した.この結果, MPD治療はIQ>80 (M R (-)) には93%, IQ≦80 (MR (+)) には70%に効果を示し, PDDの有無で有効率に差はなかった.有効例の多くはMPD 0.3mg/kg前後/回朝1回服用であった.副作用は23%に認め少なくなかったが, 重大なものはなかった.内容は興奮, 嘔気・食欲不振, 不眠の順に多く, 2例で痙攣誘発が疑われ, 経過観察の結果, 服薬継続例が多かった.適応状況は治療前より多くが改善したが, 適応良好となった例が多かった状態改善後の治療中止群以外は, 不十分ながらの適応が多く, 指導や環境調整が引き続き必要であった.
抄録全体を表示