各種抗てんかん薬に抵抗性のてんかん性脳症にzonisamideを投与し, 臨床症状と脳波の改善を認めた症例を経験した.
症例は出生後41日の女児で, 頻回の痙攣を主訴に来院した.来院時の髄液検査, 頭部MRIでは明らかな異常を認めず, 代謝異常も認めなかった.多焦点性間代発作の重積のため経口摂取は不能となり呼吸管理を必要としたが, ミオクロニー発作やspasmsは認めなかった.発作時脳波では左前頭部に発作波焦点を持つ部分発作を確認し, 発作間歇時には両側半球に多焦点性棘徐波を認めた.睡眠時にsuppression-burst様の非連続性脳波を認めたが, ほとんどは連続性脳波で睡眠と覚醒の区別は保たれていた.発作はdiazepam, phenytoin, phenobarbital, valproate sodium, lidocaineに抵抗性であったが, zonisamide投与により発作は消失し経口摂取も可能となった.脳波では紡錘波様の律動波形が出現し, 生理的に近い背景活動が認められるようになった.3歳の時点でてんかん発作の再発はないが, 低緊張でDQは32である.
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