精神遅滞および発達障害の医学的診断と療育連携の組織化に資する目的で, 本邦小児神経学領域における遺伝子診断検査の現状を調査した.郵送したアンケートにより, 遺伝子診断について,(1) 利用している疾患の種類,(2) 診断結果は役立っているか,(3) 家族からの相談への対応や苦労, などの自由記述を求めた.76人の専門医師の回答では, 遺伝子診断を筋ジストロフィーについて用いた医師が最も多く, その診断結果が役に立っているとの回答が多かった.医師の年齢, 勤務先地域の人口規模, 専門外来における経験など複数の要因が遺伝子診断の利用経験と関係していた.今後は厚生労働, 文部科学, 経済産業の三省倫理指針にしたがって研究を行い, 検査が可能な施設との連携を図り, データの集積や専門スタッフの育成によって遺伝子診断が発達障害の臨床に活用されるべきと考える.
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