脳と発達
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34 巻, 4 号
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  • 早川 克己
    2002 年 34 巻 4 号 p. 294
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 前頭部導出P22とN30の頭頂部誘発波からの独立性
    福田 千佐子, 冨田 豊, 前垣 義弘
    2002 年 34 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児において短潜時体性感覚誘発電位が, 前頭葉機能の一部として測定可能かどうかを3歳から成人までの計49名 (のべ検査回数87回) を年齢を追いながら, また年齢に応じてグループ分けして検討した.安静覚醒, 一部睡眠下 (stage I, II) にて正申神経を手関節で刺激した.前頭部のP22は頭頂葉のN20との関係を, また前頭部のN30は頭頂葉の誘発波形からどれほど相違しているかを検討した.P22とN20のピーク潜時差は-1.5~1.5msecに分布し, 幼児前期と成人期, および学齢期と成人期で統計的有意差が認められた.N30は3~4歳では頭頂葉の陰性波とかなり類似しているが, 5歳以降独立し始め, 6歳以降は波形上の類似性が消失した.従って少なくともN30は5歳以降では前頭葉の要素波として検討に値する.
  • 第1報刺激別視覚性事象関連電位P300の発達変化
    佐田 佳美, 稲垣 真澄, 白根 聖子, 加我 牧子
    2002 年 34 巻 4 号 p. 300-306
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    7~37歳までの健常34例に対して小学2年生で習う漢字ペア, 未知漢字ペアと無意味複雑平面図形ペアを用いたオドボール課題を行い, P300を指標とした漢字・図形情報処理過程の発達変化を検討した.標的刺激に対するP300は全例Pz優位に出現し, 課題間にピーク潜時の差がみられた.キー押し反応時間は両漢字課題より平面図形課題で遅延していた.平均P300潜時は発達に伴って短縮する二次曲線を示し, 最短縮年齢はそれぞれ25.8歳26.9歳29.4歳であった. 9歳時点での潜時短縮化の程度は未知漢字課題で最も大きかった.P300に基づく視覚認知機能の発達評価には課題複雑性や刺激内容の特異性が関わると考えられた.
  • 飯山 道郎, 宮島 祐, 星加 明徳
    2002 年 34 巻 4 号 p. 307-312
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ビデオ式3次元動作解析システム (ToMoCo-VM:(有) 東総システム製) を用いて新生児期から3カ月までのMoro反射の誘発刺激から反応するまでの発達変化について検討した.
    月齢によるMoro反射の反応時間は1カ月群が最短で, 新生児群, 2カ月群, 3カ月群の順に延長した.
    McGrawによって定義されたMoro反射の相は月齢がすすむにつれ, 1相から2相, 3相と変化していくことを確認した.
    相が同じであってもMoro反射の反応時間は月齢により変化を認め, 同じ月齢であれば相が異なっても反応時間は同じであることを証明した.
  • 第2報発達障害の診断に用いられる遺伝子検査の現状調査
    堀口 寿広, 加我 牧子, 稲垣 真澄
    2002 年 34 巻 4 号 p. 313-317
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    精神遅滞および発達障害の医学的診断と療育連携の組織化に資する目的で, 本邦小児神経学領域における遺伝子診断検査の現状を調査した.郵送したアンケートにより, 遺伝子診断について,(1) 利用している疾患の種類,(2) 診断結果は役立っているか,(3) 家族からの相談への対応や苦労, などの自由記述を求めた.76人の専門医師の回答では, 遺伝子診断を筋ジストロフィーについて用いた医師が最も多く, その診断結果が役に立っているとの回答が多かった.医師の年齢, 勤務先地域の人口規模, 専門外来における経験など複数の要因が遺伝子診断の利用経験と関係していた.今後は厚生労働, 文部科学, 経済産業の三省倫理指針にしたがって研究を行い, 検査が可能な施設との連携を図り, データの集積や専門スタッフの育成によって遺伝子診断が発達障害の臨床に活用されるべきと考える.
  • 山中 岳, 後藤 加奈子, 林 由起子, 宮島 祐, 星加 明徳, 荒畑 喜一
    2002 年 34 巻 4 号 p. 318-324
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD) は常染色体優性の遺伝形式をとり, 多くは4q35-qterに遺伝子の欠失が認められる (4q35-FSHD).今回, 我々は日本人早期発症のFSHD (early-onset FSHD) に注目し, 臨床的並びに分子遺伝学的に検討した.4q35-FSHD 145家系231例において, early-onset FSHDは29家系 (20%) 31例 (13.4%;男: 女=12: 19) であり, 孤発例は16例であった.Early-onset FSHD群は遺伝子欠失が大きい傾向を認めた.また, 歩行障害を早期に発症し, 臨床的重症度が高い傾向を示した.さらに, FSHDの除外診断項目である舌筋障害・嚥下障害を認める場合があり, 臨床的に多様性を示すと考えられた.
  • 斉藤 利雄, 山本 裕子, 神野 進
    2002 年 34 巻 4 号 p. 326-329
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) 25例, Becker型筋ジストロフィー7例, 福山型筋ジストロフィー7例, 筋強直性ジストロフィー (MyD) 6例, 脊髄性筋萎縮症2型 (SMA type 2) 5例, 対照群9例の血清soluble vascular cell adhesion molecule-1 (sVCAM-1), soluble intercellular adhesion molecule-1 (sICAM-1), soluble (s) E-selectinを測定した.DMDのsVCAM-1は367.0~852.0ng/ml (552.8±23.1) で, MyD, SMA type2, 対照群より有意に高値であった.筋ジストロフィー群のsICAM-1は0.2~376.0ng/ml, sE-selectinは17.9~119.0ng/mlで, SMA type 2, 対照群より高値傾向であった.可溶性接着分子は筋ジストロフィーの筋崩壊・血管内皮細胞活性化を反映する可能性がある.
  • 佐藤 圭右, 石川 悠加, 石川 幸辰, 泉 達郎, 岡部 稔, 南 良二
    2002 年 34 巻 4 号 p. 330-335
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    7例の福山型先天性筋ジストロフィー (FCMD) 年長患者の長期臨床経過について検討した.最高到達運動機能は不完全な頸定からつかまり立ちまでであった.6例がてんかんを併発したが, 全例で発作が抗痙攣薬にて抑制された.5例が15~20歳の間に長期人工呼吸を開始し, 3 例が気管切開による間欠的陽圧式人工呼吸を, 1994年以降の2例は鼻マスクによる間欠的陽圧式人工呼吸 (NIPPV) を行った.4例でmechanical in-exsufflation (MI-E) を併用し, 呼吸機能の改善, 下気道感染の軽減を得た.FCMD年長患者における運動, 知能, 呼吸, 栄養, 循環, 喉咽頭機能を経時的に評価し, NIPPVやMI-Eを含めたマネジメントを行う臨床的意義について検討した.
  • 地域自閉症児親の会アンケート調査から
    二木 康之, 山本 由紀
    2002 年 34 巻 4 号 p. 336-342
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    地域自閉症児親の会の会員を対象に障害の告知と受容に関するアンケート調査を行い, 14例 (男児10例, 女児4例) から回答を得た.子どもの調査時平均年齢は8.6歳, また子どもの障害の告知時平均年齢, 受容時平均年齢はそれぞれ4.0歳, 5.2歳であった.告知時年齢と受容時年齢の間には有意な正の相関が認められ, 早期の告知が早期の受容に結びついていた.また, 我が子の行動特性が理解出来るようになって, 障害の受容が行えたという回答が多く寄せられ, 自閉症に関する両親の学習の重要性が示された.さらに, このような障害の学習や受容という観点からも,「親の会」などのセルフケアグループが果たす役割の重要性が示唆された.
  • 木村 清次, 斎藤 義朗, 金子 かおり, 根津 敦夫
    2002 年 34 巻 4 号 p. 343-346
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    幼児期から発症し, 緩徐進行性の運動失調, 下肢優位の深部感覚障害, 腓腹神経の大径有髄線維の減少などを示し, 臨床的にはFriedreich's ataxia (FA) といえる25歳女子を報告した.なお, 全経過での画像所見で小脳萎縮はみられず, 血液中のビタミンE, アルブミン, CK, γグロブリンなどに異常を認めない.今回の症例は, 軽度の知的障害の存在を除けば, 欧米型FAに極めて類似しているが遺伝子異常は確認できなかった.また, 本例は発症後約20年の経過にもかかわらず心筋障害は認められない.欧米型FAでも心筋障害のない例ではFA遺伝子異常がみられない型の報告があり, 本例もこの型に属する可能性が示唆された.
  • 亀井 淳, 佐々木 真理, 赤坂 真奈美, 千田 勝一
    2002 年 34 巻 4 号 p. 348-352
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Epstein-Barr (EB) ウイルス脳症に起因する不思議の国のアリス症候群において, これまで頭部画像検査による特異的な異常は記載されていない.今回, EBウイルス脳症に罹患して本症候群に特徴的な身体像の奇妙な変形, 幻視, 離人症状を呈し, 頭部CTで異常がなく, MRIの T2強調像で大脳灰白質に広範かつ散在性の高信号と腫脹を認めた10歳の女児を経験した.このM RI所見は1週間後に改善した.EBウイルス脳炎・脳症で視覚性錯覚や精神症状を示した症例の中には, 本症候群が診断名としては用いられていないが, MRIの異常を一過性に認めたとする報告がある。したがって, 本症候群を形成する症状がみられた場合は, タイミングを逃さずにMRI検査を行う必要があると考えられた.
  • 望月 美佳, 浜野 晋一郎, 大島 早希子, 奈良 隆寛, 田中 学, 杉山 延喜, 衛藤 義勝
    2002 年 34 巻 4 号 p. 353-356
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    感染症を機に突発性の上方への異常眼球運動をきたした乳児例を経験した.覚醒後から眼球が1~2秒かけて上転し, その後急速に下転する動きが出現し, 2~3時間反復した.約 10カ月の経過で眼症状は消失した.1歳6カ月で独歩が可能となり, 独歩開始後は体幹失調が明らかとなったが, それも徐々に消失し, 2歳6カ月での発達は正常である.本症例はOuvrierらによって報告されたparoxysmal tonic upgaze of childhoodと考えられた.本邦での報告はまれであり, 疾患概念も十分に認知されているとは言い難い.乳児において垂直方向の異常眼球運動を認めた場合は本疾患も考慮することが必要と考えられた.
  • 宇杉 朋子, 斎藤 義朗, 柳垣 繁, 大津 真優, 矢崎 枝里子, 道津 裕季, 勝盛 宏, 林 北見, 大澤 真木子
    2002 年 34 巻 4 号 p. 357-359
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    急性脳症後遺症として視覚性過敏反応・口唇傾向などを特徴とするKluver-Bucy (K-B) 症候群に対する有効な治療法は確立していない.今回我々はK-B症候群に対して選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI) の投与を試みた.自然経過例において口唇傾向が発症1年の経過で, ほとんど改善されなかったと報告されているのに対し, 本例では投与1カ月より症状が改善し, 3カ月後に消失し, 投与を中止した.中止6カ月後も症状の再燃は認められていない.K-B症候群に対してSSRIの投与は有効であると考えられた.
  • 関東地方会 , 東海地方会
    2002 年 34 巻 4 号 p. 366-372
    発行日: 2002/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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