脳と発達
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35 巻, 6 号
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  • 加我 牧子
    2003 年 35 巻 6 号 p. 472
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
  • 西村 美緒, 橋本 俊顕, 宮崎 雅仁, 森 健治, 黒田 泰弘
    2003 年 35 巻 6 号 p. 473-477
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    広汎性発達障害児におけるrisperidoneの有用性を検討した.本症患児9名にrisperidoneの経口投与を行い, その有効性の評価は, Rutterの自閉症行動評価基準と小児行動質問表の2種類の行動評価表を用いて行った.前者では, 異常な自閉的行動, 破壊的行動, 発達の問題, 活動レベル, 後者では, 遊び, 場面の適応において有意な改善を認めた.一方, 4名で傾眠, ふらつき, 気分の落ち込み, 食欲増加, 便秘などの副作用を認めたが, 重篤な副作用はなかった.広汎性発達障害児の行動異常においてrisperidoneは有用な薬剤と考えられた.
  • 杉浦 千登勢, 汐田 まどか, 家島 厚, 大野 耕策
    2003 年 35 巻 6 号 p. 478-483
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺患者109名を対象にてんかんの発症と予後に関する検討を行い, 脳性麻痺型による相違を考察した.
    てんかん発症に関しては麻痺部位により合併頻度・発症年齢・初発てんかん類型に差がみられた.四肢麻痺例では, 年齢依存性てんかん脳症との関連が強かった.画像所見では皮質障害例でてんかん合併率が高かった.
    てんかん発作の予後に関しては, 脳性麻痺型による一定の傾向はみられなかった.知能障害の程度に関しては, 痙性麻痺のてんかん合併例で知能障害の程度が重かった.他の麻痺型では, てんかん合併と知能障害の程度に一定した関係はみられなかった.
  • 皆川 公夫, 渡邊 年秀
    2003 年 35 巻 6 号 p. 484-490
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    けいれん重積およびけいれん群発に対してmidazolam静注治療を行った小児のてんかんおよび急性症候性けいれんの計45例82機会の成績を検討した.Midazolam初回静注量は平均0.173mg/kg, 最大持続静注量は0.191mg/kg/hrで, 持続静注時間は132。7時間であった。Midazolam治療の有効率は全体で85.4%, てんかん群と急性症候性けいれん群では86.4%と82.6%, 重積例と群発例では89.7%と75.0%であった.無効例は急性脳症, 特異な脳炎・脳症後てんかんの一群 (AERRPS), 症候性てんかんなどであった.Midazolamに関連した副反応は喘鳴2機会, 軽度の呼吸抑制1機会のみであった.人工呼吸管理例16機会と死亡2例についてはmidazolam治療との関連性は認められなかった.
  • 伊藤 康, 中野 和俊, 宍倉 啓子, 鈴木 陽子, 飯田 典久, 佐々木 伸孝, 木村 正彦, 長谷川 有紀, 山口 清次, 大澤 真木子
    2003 年 35 巻 6 号 p. 491-497
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    我々は乳児期に発症し, 幼児早期に診断しえた筋型 (成人型) 極長鎖アシルCoA脱水素酵素 (VLCAD) 欠損症の女児例を経験したので報告する.症例は発熱および頸部筋緊張持続に伴い頸部有痛性筋硬直と高CK血症を反復し, 2歳3カ月時に精査入院となった.非発作時は軽度の筋緊張低下を認めたが, 他に神経学的異常を認めなかった.頸部筋緊張持続による症状の発現, 飢餓負荷でのジカルボン酸尿出現などから脂肪酸代謝異常を疑った.血液濾紙遊離脂肪酸分析とアシルカルニチン分析および培養皮膚線維芽細胞のアシルCoA脱水素酵素活性測定を行い, VLCAD欠損症と確定診断した.VLCAD欠損症は, 従来, 重症, 軽症小児型, 成人型の3病型に分類されてきたが, 本症例と文献的考察から全身型, 筋型とする分類を提案した.
  • 2003 年 35 巻 6 号 p. 497
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
  • 頭部MRIと剖検所見との関連性
    植田 仁, 鳥邊 泰久, 桑江 優子, 竹内 真, 中山 雅弘, 位田 忍, 岡本 伸彦, 鈴木 保宏
    2003 年 35 巻 6 号 p. 499-504
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    我々は嘔吐, 意識障害で発症し亜急性の経過で死亡したクリプトコッカス髄膜脳炎の11歳女児の剖検例を経験した.入院時髄液検査にて軽度の細胞増多, 糖の低下および蛋白の上昇がみられ, 検鏡では厚い黄膜に包まれた球形の菌体 (Cryptococcus neoformans) を認めた。頭部MRIでは大脳基底核部にT2強調画像で高信号域を示す点状一結節状の多巣性病変と脳表面における点状線状の造影効果を示した.クリプトコッカス髄膜脳炎と診断し抗真菌剤の治療を開始したが, 入院数時間後に死亡した.剖検所見では大脳基底核を中心に集簇した血管周囲腔の拡大像と血流のうっ滞を伴う強い髄膜炎像を認めた。頭部MRI所見はクリプトコッカス髄膜脳炎の病理学的変化をよく反映していた.
  • 藤井 幸晴, 福水 道郎, 須貝 研司, 神林 崇, 大山 和成, 亀井 淳
    2003 年 35 巻 6 号 p. 505-510
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    歳のナルコレプシー患者を報告した.臨床症状 (日中の過度の眠気, 情動性脱力発作), 終夜睡眠ポリグラフィ (PSG), 反復睡眠潜時測定検査 (MSLT), 髄液中オレキシン濃度, humanlukocyte antigen (HLA) により診断した.PSGでは頻回の覚醒によりStage1と2の睡眠量の増加を認めた.MSLTは入眠時REM睡眠期を5回中すべてに認めた.HLAはDRB11501, DQB10602であった.早期発症例であったが, 臨床症状, 検査所見とも従来の成人報告例のそれと矛盾しなかった.髄液中オレキシン (orexin) 濃度はコントロール群と比べて有意に低く, 髄液中オレキシン濃度の測定が今後は本症の補助診断に有用になると考えられた.
  • 大戸 達之, 岩崎 信明, 高橋 実穂, 田中 竜太, 浜野 建三, 松井 陽
    2003 年 35 巻 6 号 p. 511-514
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    完全型脳梁欠損, 大脳皮質・小脳低形成, 精神運動発達遅滞を伴った生後2カ月の女児が無呼吸発作を発症した。ビデオ脳波同時記録による発作時脳波では, 左後側頭部を焦点とする左半球優位の約20秒の2Hz律動性δ波に続き, δ 波の振幅低下を伴った約30秒間の無呼吸発作が出現した.Valproate開始後, 無呼吸発作は速やかに消失した.脳形成障害を伴ったてんかん性無呼吸の報告は少なく, 発作波の抑制後に無呼吸発作が発症したことは, 本症の発症機序を考える上で興味深いと考えられた.
  • 齋藤 真理, 山形 崇倫, 水口 雅, 桃井 真里子
    2003 年 35 巻 6 号 p. 515-520
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    全身皮膚の水庖性発疹の出現に伴い両側線条体壊死を来した症例について報告する.症例は13歳男子.数日間の発熱があり, 抗生物質, 抗炎症薬等を内服したところ, 全身に水庖性発疹が生じ, さらに両下肢の筋強剛と痙性麻痺, 構音障害が出現した.数日内に両上肢の筋強剛, 痙性麻痺と嚥下障害も出現した.頭部MRIでT1, T2強調像ともに高信号を示す両側線条体病変を認めた.副腎皮質ステロイドやL-Dopaは無効であったが, 約1カ月後に自然軽快し, 軽度の筋力低下を残すのみとなった.発疹の病理組織所見から薬疹が疑われたが, 病因は確定されなかった.本症例では発症に薬剤アレルギーが関与し, 線条体病変に点状出血と壊死の生じた可能性が考えられた.
  • 熊田 知浩, 伊藤 正利, 宮嶋 智子, 藤井 達哉, 奥野 武彦, 熊倉 啓
    2003 年 35 巻 6 号 p. 521-526
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    難治てんかん (無呼吸;自律神経発作) を合併した18q-症候群の1男児例を報告した.症例は典型的な外表奇形を認め, 高精度分染法で18番染色体長腕の腕内欠失 (q12.3-q22.3) のモザイクと判明した.また著明な大脳白質髄鞘化不全を認め, 本症候群の責任部位としてmyelinbasicprotein (MBP) 遺伝子が存在する18q22.3部位が考えられた.また本症例は3カ月時より無呼吸発作を発症し, 治療抵抗性であった.無呼吸発作は発作時脳波およびPET所見より右頭頂側頭部に焦点を持つ複雑部分発作と思われた.18q-症候群におけるてんかんの詳細な報告は少ないが, 18q-症候群の複雑部分発作 (自律神経発作) にq21.3-q22.3の欠失が関連している可能性が示唆された.
  • 下野 九理子, 今井 克美, 井戸口 理恵, 神尾 範子, 沖永 剛志, 大薗 恵一
    2003 年 35 巻 6 号 p. 527-531
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    小児の難治性全般てんかん6例に対し, リポステロイド療法を施行した.発作消失1例, 一過性の発作軽減を1例で認めたが, 発作消失例では3カ月後に再発した.副作用として不機嫌, 興奮を2例に, 食欲低下を1例に認め, 1例で強直発作が増悪した.治療の中止を要したのは1例であった.感染, 心不全, 浮腫, 硬膜下血腫, 脳退縮などは認めなかった.リポステロイド療法はACTH療法にかわる, 外来でも行える簡便な治療法として報告されてきたが, 副作用を少なからず認め, 難治のてんかん性スパスムには有効性は低かった.
  • 広島県でのアンケート調査の結果から
    伊予田 邦昭, 岡崎 富男, 石田 喬士, 早川 武敏, 捻橋 芳久
    2003 年 35 巻 6 号 p. 532-534
    発行日: 2003/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    「熱性けいれんをもつ小児への予防接種基準 (最終案)」(厚労省) および「熱性けいれん後の観察期間」(広島県地対協) の妥当性を検証するために前方視的にアンケート調査を行った. (1) ワクチン後の前方視的発熱 (≧37.5℃) 頻度は18%であったが, 当該ワクチンと関連がある発熱は5.2%と少なく, 麻疹も13%と低率だった. (2) 接種後の発作再発例も5/461件 (1.1%) と少なく, 全例麻疹ワクチン以外の例であった.以上より, 本指針はワクチン後の発熱時対策を適切に行えば安全に施行でき, 麻疹ワクチンにおける複雑型熱性けいれん後の観察期間も厚労省案 (2~3カ月) が実際的であると考えられた.
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