脳と発達
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36 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 杉山 延喜, 浜野 晋一郎, 望月 美佳, 田中 学, 衛藤 義勝
    2004 年 36 巻 6 号 p. 451-454
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    Lidocaineのけいれんに対する有効性を検討した.Lidocaineが投与された症例は29例 (男12例, 女17例) で, 投与機会は38機会であった.平均投与時年齢は41.4カ月で, 全体の有効率は53%であった.静注での有効機会では全機会で5分以内にけいれんの消失を認めた.原因疾患別に有効率を検討したところ, てんかんは36%, 中枢神経感染症によるけいれんは72%, 機会関連発作は80%の有効率だった.発作型別では, 全般けいれんは42%, 部分けいれんは63%であった.軽症下痢に伴う機会関連発作と部分けいれんで有効率が高かったが統計学的には有意差はなかった.副作用は1例で, 酸素飽和度の低下を認めるのみであった.けいれんに対するlidocaineの投与は効果判定が早期に可能なことと副作用も少ないことから, けいれん時の使用薬剤として投与選択順を早期に考慮してよいと思われた.
  • 田中 肇, 福田 郁江, 宮本 晶恵, 岡 隆治, 長 和彦, 藤枝 憲二
    2004 年 36 巻 6 号 p. 455-460
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    重度痙直型四肢麻痺児の難治性睡眠障害に対して中枢性抗痙縮薬であるtizanidine (TZD) を用い, その有効性について検討した.
    睡眠障害を有する痙直型四肢麻痺児21名 (10カ月~21歳) を対象とし, TZD1日体重1kgあたり0.1~0.2mgを分2~分3投与した.この結果, 21名中13名 (61.9%) で少なからず睡眠障害の改善を認め, 一方で顔色不良となる副作用を2名 (9.5%) に認めた.
    TZDは抗痙縮薬として広く使用されているが, 副作用として眠気があることも知られている.一方, 筋緊張の亢進は痛みや苦痛を伴い, 強い覚醒刺激となる.今回認めたTZDの睡眠障害に対する効果はTZDそのものの持つ睡眠誘発効果と, 睡眠の阻害要因となる異常筋緊張の緩和の両者によるものと推測され, 痙直型四肢麻痺児の難治性睡眠障害に対してTZDは期待の高い治療法である.
  • 田中 学, 望月 美佳, 杉山 延喜, 浜野 晋一郎
    2004 年 36 巻 6 号 p. 461-465
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    小児期発症の特発性顔面神経麻痺 (Bell麻痺) について自験例38例をまとめた.40点法の顔面麻痺スコアの全項目が適用可能であったのはすべて5歳以上であり, この17例を麻痺症状持続3カ月未満の群と3カ月以上の群に分類した.全例が発症6カ月以内に臨床症状スコアで90%以上の改善が認められた.初診時の麻痺スコアは両群で差がなく, 予後は反映しなかった.予後に影響したのは顔面神経の病変部位がどの程度中枢に近いかであった.治療として副腎皮質ステロイドを両群ともそれぞれ半数以上が投与開始されており, 全例で障害固定を防止できた.投与する対象と適用条件については今後も検討を要するものと考えられた.
  • 荒牧 要右, 宇野 宏幸
    2004 年 36 巻 6 号 p. 467-472
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    衝動性評価尺度を作成して, 注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) 男児をもつ親への調査を行った.探索的因子分析の結果, 情動の表出, 社会的ルール, 会話のルールと不注意と命名された4つの一次因子が同定された.さらに, 共分散構造分析を実施して, モデルの適合度を吟味した.最終的に採用されたモデルでは, 4つの一次因子が衝動性と認知的問題と命名された独立な高次因子によって説明された.衝動性は一次因子すべてに影響していたが, 認知的問題は不注意へのみ有意に影響を及ぼしていた.一次因子の得点をAD/HDの3つのサブタイプと通常学級群問で比較した結果, サブタイプごとに衝動的行動特徴が異なることが示された.
  • 加戸 陽子, 眞田 敏, 柳原 正文, 荻野 竜也, 阿比留 聖子, 中野 広輔
    2004 年 36 巻 6 号 p. 475-480
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    Keio版Wisconsin Card Sorting Test (KWCST) における各評価指標の発達的および加齢変化を検討し, 併せて各年齢群別標準値を得ることを目的とし, 5~82歳の健常児・者335名を対象に検査を行った.単回帰分析の結果, 達成カテゴリー数, Nelson型保続性誤反応, セットの維持困難, 第1カテゴリー達成までに使用された反応カード数, 全誤反応数の各評価指標において年齢による変化を認め, また成績の最良点はいずれも30歳代半ば~40歳代半ばに示された.KWCSTは従来のWCSTより短時間で施行でき, 注意欠陥/多動性障害や広汎性発達障害などの小児への臨床応用にも適していると考えられた.
  • 平野 恵子, 愛波 秀男, 小黒 克彦
    2004 年 36 巻 6 号 p. 481-486
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    脳神経疾患を有する小児30人に99mTC-ECDを用いた脳血流SPECT定量解析を行い, 脳血流分布, 平均脳血流量と発達遅滞の関連を検討した.発達正常児の大脳皮質の血流は, 生後1カ月では中心溝周囲, 生後2~3カ月で頭頂部と後頭部, 生後6カ月で側頭部, 生後11カ月で前頭部が増加し, 1~2歳で大脳皮質全体の血流量がほぼ均一になった.平均脳血流量は5歳頃まで増加し, 以後は減少傾向を示した.発達遅滞児は, 同年齢の発達正常児に比べて脳血流分布の加齢に伴う変化が遅延する傾向がみられた.脳血流SPECT定量検査は脳の成熟度や発達評価の指標になると考えられた.
  • 岡本 健太郎, 福田 光成, 重見 律子, 高岡 知彦
    2004 年 36 巻 6 号 p. 487-491
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    アデノウイルス3型はアデノウイルス感染症の中で最も分離率が高く, 上気道炎や咽頭結膜熱の原因としてよく知られているが, アデノウイルス3型による脳炎・脳症の報告はいまだ少ない.自験例である髄液からアデノウイルス3型が分離された脳炎の1例とアデノウイルス3型感染に伴い一過性幻覚や興奮といった精神神経症状がみられた脳症の1例, および本邦での報告例の検討により, アデノウイルス3型による中枢神経障害は多彩であり, その病態は幅広いスペクトラムを持つことが示唆された.
  • 関東地方会 , 東海地方会
    2004 年 36 巻 6 号 p. 496-501
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
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