脳と発達
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36 巻, 4 号
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  • 石原 傳幸
    2004 年 36 巻 4 号 p. 276
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
  • 飛松 省三
    2004 年 36 巻 4 号 p. 277-283
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    小児の視覚機能の発達に関して臨床神経生理学の立場から概説した. 1) 視覚誘発電位 (VEP) では, 2種類の視覚刺激 (パターン反転, 発光ダイオード点滅) と刺激法 (transient型, steady-state型) で記録すれば, 小児の視機能の補完的な情報が得られることを示した. 2) 光感受性てんかん (PSE) の発症機序では, フリッカーVEPの振幅を指標とした. 健常小児は健常成人より振幅が大きく, 白/黒のコントラスト変化や色の組合せに鋭敏に反応した. この高感受性がPSEの発症に関与している. 3) 表情認知では, 91種類の「チャーノブの顔 (線画)」から感じる「怒り」と「悲しみ」の強度を評価させた.健常小児は健常成人より表情弁別能が高いことがわかった.
  • 斉藤 利雄, 船戸 正久
    2004 年 36 巻 4 号 p. 284-288
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    大阪府下の在宅人工呼吸療法, 在宅酸素療法, 在宅腹膜灌流法, 在宅中心静脈栄養法などをうける慢性疾患患児・家族のこころの問題に関し, 小児科医を対象に調査を行った.在宅医療施行に際し, 多くの医師が患児・家族の心理的支援二を重視項目としてあげていた.一方, 患児・家族の精神的負担, 不安, ストレスなどのこころの問題による在宅医療中断例や, 治療・患児の受け入れに対する家族の拒否的態度による施行困難例が, 人工呼吸療法や酸素療法施行例を中心に少なからず存在した.在宅医療件数は増加することが見込まれるが, 患児はもとより介護する家族に対しても, こころの支援に対する医療者の意識が現状よりもさらに高まることを期待したい.
  • 東田 好広, 森 健治, 橋本 俊顕, 宮崎 雅仁, 黒田 泰弘
    2004 年 36 巻 4 号 p. 289-295
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    自閉症と診断された14例 (4~16歳, 男: 女=10: 4, 中央値9歳) に対してsecretinの静脈内投与の臨床的効果について評価した.また, さらに臨床症状の改善と髄液中homovanillic acidおよび5-hydroxy indole-3-acetic acid濃度の, 投与前後での変動との関連性を検討した.Secretin投与後14例中8例でAutism Diagnostic Interview-Revised (ADI-R) のスコアが改善した [社会性 (対人関係) の障害, コミュニケーション・言語の障害など].しかし14例中3例では増悪した (多動, 常同行動など).髄液中HVA濃度はADI-Rでスコアの改善を認めた例では全て上昇した.髄液中5HIAA濃度も上昇傾向が認められた.これらは, secretinが中枢神経系におけるドーパミン・セロトニン代謝回転を活性化して臨床症状を改善したことを示唆している.
  • 第3報注意欠陥/多動性障害児の視覚性単一波形P300の特徴
    白根 聖子, 稲垣 真澄, 佐田 佳美, 加我 牧子
    2004 年 36 巻 4 号 p. 296-303
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) の視覚認知機能を評価するために, AD/HD児11例, 精神遅滞 (MR) 児12例および健常児14例に対し視覚性オドボール課題による事象関連電位P300検査を行った.また, 検査中の`注意力の変動'を評価するために単一波形でのP300 (ss-P300) も検討した.ADIHD群の加算平均P300は健常群と潜時, 振幅に有意差を認めなかったが, ss-P300出現率は有意に低く, 課題施行中の振幅変動が激しいと考えられた.ss-P300の解析によりAD/HD児は選択的注意力よりもその背景にある一般的注意力に問題がある可能性が示された.
  • 水野 勇司, 高松 美紀, 曳野 晃子
    2004 年 36 巻 4 号 p. 304-310
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児 (者) の呼吸器合併症として, 無気肺はしばしば経験される.非可逆性の無気肺3例の経験を機に, 無気肺治療に軟性気管支鏡を導入した.21例を対象に, 無気肺の発生要因を検討し, 気管支鏡治療の効果について検討した.19例が気管支炎・肺炎に併発, 1例が気管出血, 1例が肺癌に合併した無気肺であった.大島の分類1, 4の寝たきり児 (者) が90%で, 咳噺反射の低下・消失例が81%を占めた.胸椎右凸側彎が多く, 反対側に無気肺が発生しやすい傾向がみられた.診断から2週間以内に気管支鏡治療を導入した18例中16例は, 無気肺が改善した.重症心身障害児 (者) の無気肺治療に, 気管支鏡は有用である.
  • 白根 聖子, 稲垣 真澄, 堀口 寿広, 中村 雅子, 佐々木 匡子, 加我 牧子
    2004 年 36 巻 4 号 p. 311-317
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    副腎白質ジストロフィー (ALD) 10症例に対し, のべ15回の両耳分離聴能検査 (dichotic listening test, DLT) を施行し, 6例に異常所見を認めた.特に, 左右各耳の聴取率のかたよりを評価する側性指数 (laterality index) に脳梁離断患者の “左耳消去” 現象に類似した異常がみられた.小児期発症ALDに多い後頭葉から進行するタイプで, 聴性脳幹反応 (ABR) が正常であった2例においては, 白質病変の広がりが聴覚性交連線維に及んでいることを反映する所見と考えられた.DLTは, ABRと組み合わせて施行することにより, ALDにおける聴覚系高次脳機能障害を比較的簡便に検出しうる可能性があると考えられた.
  • 田辺 卓也, 粟屋 豊, 松石 豊次郎, 永井 利三郎, 山本 克哉, 栗原 まな, 伊予田 邦昭, 前川 喜平
    2004 年 36 巻 4 号 p. 318-323
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    てんかん症例への予防接種基準案作成の一環として, てんかんの中では接種の際に最も注意を払う必要があると考えられる乳児重症ミオクロニーてんかん (severe myoclonic epilepsy in infancy;SMEI) 症例の予防接種実施状況と自然罹患時の状況とを比較検討した.対象は調査時2~25歳のSMEI症例58例で, のべ359回接種されていた.接種率はBCG, ポリオ1回目が71%と最も高率であった.ポリオの2回目, DPT初回接種の2, 3回目はより低率であり, 接種時期も遅れる傾向にあった.一方, 麻疹は55%と比較的高率に接種されており, 1~2歳代の接種率が高かった.自然罹患した際はけいれん発作の増悪や意識障害, 脳症などの重篤な合併症が高率 (63%) にみられたのに比し, ワクチン接種後の発熱やけいれんは有意 (P<0.0001) に低率 (7.2%;けいれんのみでは5.0%) であった.ワクチンの中では, 麻疹ワクチンによる発熱およびけいれん誘発率が有意に高率であった (P=0.012).SMEI症例に対しては, 十分な発熱, けいれん対策の指導のもと, 特に麻疹を中心に積極的にワクチン接種を推奨し, 自然罹患による合併症のリスクを低減する必要があると考えられた.
  • 伊藤 弘道, 森 健治, 伊藤 道徳, 内藤 悦雄, 横田 一郎, 黒田 泰弘
    2004 年 36 巻 4 号 p. 324-329
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    臨床的にLeigh脳症と考えられる左右対称性の大脳基底核病変を認め, vitamin B1投与により画像所見, 臨床症状の著明な改善が認められたメチルマロン酸血症の1例を経験した.本症例においてvitamin B1が著効したことから, メチルマロニルCoA蓄積によるピルビン酸カルボキシラーゼ活性の阻害に加えて急性増悪時の治療におけるvitamin B1欠乏によるエネルギー産生障害, 特にピルビン酸脱水素酵素複合体活性の阻害が生じたことが臨床的Leigh脳症の原因と考えられる.このことから, メチルマロン酸血症の治療においては, vitamin B1の欠乏に対して十分に注意し, 急性増悪時の輸液療法では, vitamin B1を加えることが必要であると考えられた.
  • 滝澤 昇, 京谷 征三
    2004 年 36 巻 4 号 p. 330-333
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    生後10週から発作性眼球下方運動を認めた乳児例を経験した.異常眼球運動はprimary positionからの垂直下方運動で, 急速相は最初が下方で下方偏位のまま魚釣りの浮きのように上下し最後に上方の急速相がありprimarypositionへ戻る.運動に要する時間, 出現間隔は不規則である.唯一の誘発刺激として自分の手が眼前に現れる時に突然出現する.無意識のうちに偶然挙上しつつある自分の指にサッケードし, それがovershootを起こしたサッケードの抑制の障害と考えられる.生後12週齢まで頻発した後に減少し, 生後35週齢には自然消失した.乳児サッケードに関与する神経系のうち, 前頭連合野から大脳基底核直接路を介する上丘へのサッケード抑制性入力の未熟性による現象であると思われた.
  • 四津 有人, 諏訪 清隆, 森 雅人, 山形 崇倫, 水口 雅, 桃井 真里子
    2004 年 36 巻 4 号 p. 334-338
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    歳女児の左急性中耳炎の経過中, 左耳前部・頬部の痺痛と左外転神経麻痺が出現し, Gradenigo症候群と診断された.頭部MRIでは両側中耳, 乳突蜂巣, 蝶形骨洞, 飾骨洞の粘膜肥厚, 左錐体尖部のT2高信号と異常増強効果, 海綿静脈洞と上咽頭の異常増強効果および同レベルでの左内頸動脈の狭小化が認められた.本症例では中耳炎以外に副鼻腔炎から波及した可能性も考えられた.抗生物質静注による保存的治療により軽快したが, 錐体尖部の増強効果は長期間持続した.Gradenigo症候群の診断と病態の把握, 治療方針の決定にMRIが有用であった.
  • 南 良二, 石川 悠加, 石川 幸辰
    2004 年 36 巻 4 号 p. 339-341
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    肝機能の評価は, 一般的には血清トランスアミナーゼ値が用いられている.しかし, トランスアミナーゼは肝臓だけでなく骨格筋, 心筋などにも存在するので, 肝臓以外の臓器の障害により血中に逸脱する.Duchenne型筋ジストロフィー患者では筋肉の病変のために異常値を示し, 変動する.今回, 血清イソクエン酸脱水素酵素 (ICDH) 値を測定し, 血清トランスアミナーゼ値と比較検討した.Duchenne型筋ジストロフィー患者の肝機能評価には血清トランスアミナーゼ値よりICDH値の方が特異性の点で優れている結果を得た.
  • 森沢 猛, 八木 麻理子, 吉井 勝彦, 竹島 泰弘, 松尾 雅文
    2004 年 36 巻 4 号 p. 342-343
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) はジストロフィン遺伝子の異常により起きる致死的な遺伝性筋萎縮症である. DMDでは筋酵素のクレアチンキナーゼ (CK) の血清中での著明な高値が特徴的所見で, この血清CK値の高値は出生時から存在すると考えられている. 今回, 我々は在胎24週で出生した超低出生体重児で出生時から在胎35週までに測定した血清CK値に異常をきたさなかった症例を経験した.DMDでの血清CK値上昇時期に関する重要な知見であるので報告する.
  • 北海道地方会
    2004 年 36 巻 4 号 p. 350-351
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
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