脳と発達
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37 巻, 2 号
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  • 伊藤 正利
    2005 年 37 巻 2 号 p. 98
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
  • 特にWilson病の診断および最新の治療
    青木 継稔
    2005 年 37 巻 2 号 p. 99-109
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    1993年にMenkes病責任遺伝子およびWilson病責任遺伝子がクローニングされ, これらの遺伝子から誘導される蛋白はATPase familyの一つであり, いずれも細胞内銅輸送膜蛋白であり両者はhomologyが高く, 前者はATP-7A, 後者はATP-7Bと名付けられた.ATP-7AとATP-7Bの発見を契機にWilson病とMenkes病の分子病態が明らかにされた.本稿においては, Wilson病を中心に, 臨床像, 特に神経症状や精神症状, 遺伝子と分子病態および病態生理, 診断方法および最新の治療について私見を交えて解説した.特に, Wilson病の具体的な治療, また神経症状を有する場合の治療計画等について示した.亜鉛薬やテトラチオモリブデート療法についても述べた.
  • 飯沼 一宇
    2005 年 37 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    日本小児神経学会は何をする学会かについて考えてみる.学会会則によると, 研究の推進, 専門医の育成を含む教育研修の充実, 内外関連機関との連絡などがある.これらの成果を地域社会に還元することも大きな役割である.研究の推進については, 研究費の獲得について, とにかく応募を増やして, かつ自分の研究を多くの人に知ってもらう必要がある.そのためには積極的に論文別刷を送りつけたり, 学会懇親会に参加して自分を売り込むことも考えてよい.学会英文誌であるB & DのImpact Factorを上げるために, 論文を書く時に努めてB & Dからの引用を心がけ, その領域の大御所へ別刷を送ることも方法であろう.こどもの神経疾患を診る専門家として, 当該領域に対する社会からの問いかけや, 要望に応えていく必要がある.新設された社会活動・広報委員会が活発に活動しているのは喜ばしいことである.若い人々も積極的に参加, 応援してほしい.
  • 埜中 征哉
    2005 年 37 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    先天性筋ジストロフィー (CMD) の研究は福山型に端を発して大きく進展した.ジストロフィン結合蛋白の一つであるαジストログリカン (αDG) は強い糖鎖修飾を受けていて, 基底膜蛋白であるラミニンα2鎖とジストロフィン分子を結びつけるボルト的な役割を果たしている.このαDGが欠損ないし著明に低下した疾患はαジストログリカノパチーと総称され, その中に福山型, 筋・眼・脳病, Walker-Warburg症候群やFKRP, LARGE遺伝子変異をもつ疾患が属する.それらの疾患の大半は中枢神経症状を伴うCMDである.糖鎖修飾異常がどのような膜の不安定性をきたし筋壊死をみるのか, さらに発生時期にどのようにして脳形成異常を伴うのか解明すべき問題は山積している.
  • 加我 牧子, 諸岡 啓一
    2005 年 37 巻 2 号 p. 122-123
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    Developmental disorders such as mental retardation, language disorders, autistic disorders, learning disorders, attention deficit/hyperactivity syndrome and conduct disorders are an important part of our daily practice in child neurology. Early diagnosis and early or timely intervention in these kinds of developmental disorders were stressed and family support in child-rearing was emphasized in this symposium. In addition to the above, sleep disorders in developmental disorders were discussed.
  • 橋本 俊顕, 西村 美緒, 森 健治, 宮崎 雅仁, 津田 芳見, 伊藤 弘道
    2005 年 37 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    自閉症は社会性の障害, コミュニケーションの障害, 想像性の障害からなる症候群であり, その治療に関しては治療教育が第1選択である.自閉症がいつ頃から発症するのか, 診断可能な時期はいつかということが, 介入時期と絡んで興味がもたれている.質問紙やホームビデオによる後方視的自閉症の研究では18カ月頃までには社会的相互関係の障害, ジョイントアテンションの異常, コミュニケーションの異常などの早期徴候が現れていたと報告されている.一部, 相容れない意見もあるが, 早期の介入は自閉症児の症状を軽減し, 知的レベルの向上も促すことが報告されている.以上, 自閉症の早期診断, 早期介入について述べた.
  • 諸岡 啓一
    2005 年 37 巻 2 号 p. 131-138
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    言語獲得の理論には生得説と経験説がある.言葉の遅れを評価する上で重要なのは, 音声の産出 (発語) と理解 (言語理解) の2つの側面に加えて, 非言語的手がかりとして対人関係を評価することである.遅れありとするには発語の遅れ以外に絵カードや指示の理解など言語理解も含めて遅れがあるか否かを判断すべきである.幼児期に精神・言語発達を評価するには新版K式発達検査法が適しているが, 遠城寺式乳幼児分析的発達検査法は簡便でかつ発達領域の適切な評価ができるので有用である.
    テレビ視聴の時間が長いと言語遅滞や精神発達障害を来すという意見もあるが, 明らかな精神発達障害を呈するとは考えにくい.東京都大田区での筆者らの調査では, 言語遅滞で頻度が最も高いものは発達性言語障害で, 1歳6カ月児健診では4.3%であった.ことばの遅れを来す疾患には発達性言語障害, 精神遅滞, 自閉症などがある.自閉症を的確に診断するにはチェックリストが有用である.発達性言語障害の診断基準はいくつかあり, 混乱している.この診断基準を提示した.
  • 加我 牧子, 稲垣 真澄, 田中 恭子, 堀口 寿広
    2005 年 37 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    精神遅滞 (MR) については,(1) 専門医であっても初診時の印象だけではMRの正確な診断が行えない場合がある,(2) 検査しなければわからない疾患を有していることがありうる,(3) 自閉症が含まれている可能性があることが調査より判明した.診断の場を受診することで, 早期療育の手がかりが得られることも分かり, 早期診断の意義は大きい.しかし軽度~ 中等度MRでは「早期」に診断されるとは限らないため, 適切な時期に持続的・断続的に行う支援の重要性を意識している必要もある.
    小児神経科専門医の関わるMRは重度に偏ることが多く, 医学モデルとして考えることは当然であるが, 社会モデル・生活モデルとしての視点も重要であると考えられる.
  • 鳥取県における5歳児健診の取り組みと提案
    小枝 達也
    2005 年 37 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) や学習障害 (LD) を含めた知的な遅れが明らかではない発達障害児を適正に発見する方法の一つとして, 鳥取県で実施されている5歳児健診と5歳児発達相談の概要について記した.AD/HDやLDおよび識語発達のよい広汎性発達障害児は3歳児健診までの乳幼児健診では, 発達上の問題を指摘されていないことが多く, 指摘されている場合であってもほとんどが識葉の遅れであった.落ち着きのなさや特異的な認知障害, 対人関係の障害などは3歳児健診までの乳幼児健診では気づきにくい問題であり, 5歳を過ぎてから行う新たな健診ないしは発達相談の設置が必要であると考えられた.
    また, 健診と事後相談を一つのパッケージとして, 保護者の子育て不安や育てにくさなどの訴えに寄り添う形で継続的に見ていく体制が, 知的な遅れが明らかではない発達障害児の適正な発見と学校教育へのつなぎの役割を果たすことができると考えており, そのモデルを示した.
  • 神山 潤
    2005 年 37 巻 2 号 p. 150-156
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    発達障害児の睡眠関連病態の原因は不明で, 特化した治療法も残念ながら現時点では明確でない.しかし, 睡眠覚醒機構に関しては基礎的知見が集積しつつある.日常診療でも背景の神経活動を常に念頭においてその病態把握に努めたい.本稿では睡眠覚醒機構に関するHip-flop回路仮説と, 脳内環境を臨床的に推察する手段として「ノンレム期に筋緊張が消失する割合」を紹介した.また, いわゆる睡眠衛生 (光, 覚醒の質 (運動), 規則的な食事, 睡眠環境) の背景にも睡眠覚醒に関わる中枢の神経活動が密接に関与していることを述べた.介入に際してもこれら基礎的事項を確認することの重要性を強調した.
  • 早期診断と早期介入について
    中村 道子
    2005 年 37 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    行為障害 (conduct disorder; CD) は厳密には病気の診断名ではない.それはDiagnostic andStatistical Manual for Mental Disorders (DSM) が操作的に作り出した診断名である.CDの適切な診断と早期の介入が可能となるためには, CDの関連要因である生物学的・心理学的・社会学的要因を充分に把握し, それらの要因を連関的に評価し, 理解することが必要である.また, 関係者は共通認識を持つ必要がある.そこでCDの具体的なリスク要因と保護要因を示し, 保護要因は介入の際の要点になることを示し, 症例を提示した.CDの生物学的リスク要因として注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) の存在があるが, そのリスク要因と保護要因についても検討し, 包括的・多次元的なCDの早期診断と早期介入について検討した.
  • 長澤 哲郎, 阿部 裕一, 本田 真美, 岡 明, 師田 信人, 二瓶 健次
    2005 年 37 巻 2 号 p. 164-165
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    重度の四肢痙性を呈する12歳女児に対.して, baclofen髄腔内持続投与を行った, 投与一開始後, 下肢の痙縮は低下し目常生活の質や介護の負担がたきく改善した.Baclofen髄腔内持続投与は下肢全体に広く作用し調節も可能なため, 機能的脊.髄後根切断術, ボツリヌス毒素療法とうまく組み合わせることによって運動能力や生活の質を改善できると考えられた.
  • 東北地方会
    2005 年 37 巻 2 号 p. 176-177
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
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