気管腕頭動脈瘻と気管腕頭動脈異常血管の2例を報告した.2例とも重症心身障害児 (者) で, たび重なる下気道感染症を繰り返し気管切開を施行されていた.2例ともに気管カニューレの動脈性拍動があり, 1例は気管カニューレ交換時に大量出血を認めカブ付き気管カニューレにて救急処置を行い, helicalCTを利用した三次元helica1 CT血管造影 (以下3DCT) にて診断し, 外科的に腕頭動脈結紮術にて救命し得た.1例は動脈性拍動があった時点で3DCTを行い, 腕頭動脈の気管への圧迫はなかったが, 腕頭動脈から気管への異常血管が確認され, 喉頭気管分離術を行い, 現在まで出血は認めていない.気管腕頭動脈瘻は気管切開後の合併症の中でも致死的であり, その予防や対処法が課題とされている.その検査の1つとして, 3DCTは気管周囲の位置関係を知る情報手段として優れていることと, 検査が短時間ですみ有用な検査の1つと考えられた.
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