肢体不自由養護学校の現状と問題点を, 筆者が出務する養護学校を例に提示し, それによって校医の役割と小児神経科専門医のアイデンティティを考察した.
肢体不自由養護学校の現状は, 障害原因の多様化と重度化に集約され, この傾向は年々顕著になると予想される. これに対して, 看護師導入などの対策がなされているが, 看護師の役割と立場は学校間で格差がある. 障害の重度化と医療的ケアの質・量の増加は進む一方, 全ての主治医が小児神経科専門医ではなく, 学校側に対する指示の出し方も統一されていない. このことが, 養護教諭, 一般教師や看護師の肉体的・精神的負担を増加させている. そのため, 校医の役割は非常に重要となる.
校医として日本小児神経学会に求めることは,(1) 通学支援対策の提言,(2) 障害児療育に関する卒後研修・校医研修のさらなる充実,(3) 指示書, 報告書の書式の標準化,(4) 学校における看護師の役割と責務に関する学会としての統一見解を示すことである.
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