症例は3歳1カ月男児.「はっ」と発声後に頸部後屈を伴い倒れる発作と, 強直間代発作で発症した.脳波では, 背景に6~7Hzの全般性徐波が目立ち, 1~2Hzの高振幅全般性棘徐波群発が頻発していた.頭部MRI, SPECT, 血液一般生化学検査では異常はなかったが, 髄液中の抗グルタミン酸受容体ε2 (GluRε2) 抗体が陽性であった.臨床症状からミオクロニー失立発作てんかん (MAE) と診断し, 種々の抗てんかん薬, ステロイドパルス療法, 免疫γ-globulin療法を試みたが無効であった.発症8カ月時に, ACTH療法を行ったところ, 発作はほぼ消失し, 脳波異常も改善した.これまで抗GluRε2抗体が陽性を示したMAEの報告は見当たらない.本症例は, MAEの病態に免疫学的機序の関与を示唆するものである.
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