HAX1はミトコンドリア内膜での膜電位をコントロールすることでアポトーシス抑制因子として作用するのみならず, 多くのウイルスや細胞質内蛋白質と結合して多彩な機能を有する蛋白質である. 我々は本邦の
HAX1遺伝子変異を有する重症先天性好中球減少症が中枢神経症状を呈することを報告してきた. 今回,
HAX1遺伝子変異症例の自験例5例に, 文献報告例39例の詳細を加えて, 中枢神経症状, 遺伝子変異との関係について検討した. その結果, 自験例5例と文献報告例7例の合計12例が認知機能障害を有しており, 10例がてんかんを発症していた. HAX1はスプライシングにより2つのアイソフォーム (アイソフォームa, b) が形成されるが, 12例全例の変異部位が, アイソフォームa, b両方に影響する変異であり, アイソフォームaのみに影響する変異例では神経症状を呈さないことから, 両方のアイソフォームが影響を受けることによって中枢神経系の機能障害を生じることが示唆された.
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