脳と発達
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42 巻, 6 号
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巻頭言
原著論文
  • 平澤 利美, 眞田 敏, 柳原 正文, 三宅 馨, 津島 靖子, 加戸 陽子, 荻野 竜也, 中野 広輔, 渡邊 聖子, 大塚 頌子
    2010 年 42 巻 6 号 p. 421-426
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     6~14歳のIQを統制した無投薬の注意欠陥/多動性障害児23名と, 年齢および性を一致させた健常児69名を対象に改訂版Stroopテストを行った. 全注意欠陥/多動性障害群は, 干渉効果を評価するIncongruent Color Naming (ICN) およびICN-Color Naming (CN) の課題達成所要時間において対照群との間に有意差を認めた. さらに, サブタイプ別の検討でも, 学習障害併存症例を除外した15名での分析の結果, 不注意優勢型群と多動性-衝動性優勢型および混合型合併群ともに, ICN-CNの課題達成所要時間において対照群との間に有意差を認め, 不注意に関わる要因の干渉課題成績への影響が示唆された.
  • 平安 京美, 大城 聡, 仲田 行克
    2010 年 42 巻 6 号 p. 427-431
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     1977年から2005年までに沖縄県で発生した亜急性硬化性全脳炎 (SSPE) は22例 (男性16例, 女性6例) であった. 1999年時調査より6例増加していた. 2000年から2005年までの発生頻度は, 人口100万人当たり年平均0.75人であった. 本県では予防接種率が低く (40~71%), 2001年まで麻疹の流行を繰り返していた. その際, 低年齢での罹患が多いことが未だにSSPEが発生している要因の一つだと思われた. また, 1990年から1991年までの麻疹罹患者から10例のSSPEが発生していた. 流行するウイルスの神経病原性にも関連があると思われた.
  • 小一原 玲子, 浜野 晋一郎
    2010 年 42 巻 6 号 p. 432-436
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     International Pediatric MS Study Groupにより提案された定義案に基づき, 当センターにて従来, 急性散在性脳脊髄炎 (ADEM) または多発性硬化症 (MS) と診断された20症例の再分類を行い, それぞれの臨床的特徴や相違点を検討した. 症例の半数がclinically isolated demyelinating syndrome (CIS) に分類された. ADEMとCISの比較検討では, けいれん, 散在性パターンがADEMで有意に多かった. しかし, これらの特徴や脳症症状は年齢因子が関与する可能性があると思われた. CISでは, MRI病変が残存する傾向を認めたが, 初発時からMSの発症を予測できるものはなかった.
  • —発達性読み書き障害診断における症状チェックリストの有用性—
    北 洋輔, 小林 朋佳, 小池 敏英, 小枝 達也, 若宮 英司, 細川 徹, 加我 牧子, 稲垣 真澄
    2010 年 42 巻 6 号 p. 437-442
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     全般的知能正常で読み書きにつまずきを持つ小中学生98名 (発達性読み書き障害, すなわちdevelopmental dyslexia (DD) 群24名と非DD群74名) に対して, 読字・書字各15項目からなる臨床症状チェックリスト (以下CL) を適用し, ひらがな音読能力を検討した. 信頼性分析の結果, CL各13項目の妥当性が示され, 音読4課題成績との関連性が認められた. DD群は非DD群より多くの臨床症状を有しており, 音読課題の成績低下も顕著であった. 臨床症状が7つ該当し, 音読課題2つに異常がみられる場合, DD群は感度 (79.7%) と特異度 (79.2%) がバランス良く, 非DD群と弁別された. 以上より, DDの医学的診断における本CLの臨床的有用性が示された.
  • 安藤 直樹, 藤本 伸治, 石川 達也, 小林 悟, 服部 文子, 伊藤 哲哉, 戸苅 創
    2010 年 42 巻 6 号 p. 444-448
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     結節性硬化症に伴うWest症候群7症例に対して, vigabatrin (VGB) を投与し, 有効性・副作用につき検討した. VGB開始月齢は平均22.7カ月であった. VGB初期投与量は平均36.2mg/kg/日, 維持量は平均38.4mg/kg/日であった. 6例でスパズムは消失し, うち3例はVGB投与翌日に発作が消失した. 脳波上hypsarrhythmiaを呈した3例は2カ月以内に焦点性棘波のみに改善した. 現時点で視野狭窄例は認められない. しかし, 興奮, 不眠が6例に見られ, 3例で投与量の減量を必要とした. 結節性硬化症に伴うWest症候群に対してVGBは極めて有効な薬剤であると考えられた.
症例報告
  • 森岡 茂己, 小田部 修, 上原 久輝, 横井 健太郎, 近江園 善一, 石丸 庸介, 森本 昌史, 細井 創
    2010 年 42 巻 6 号 p. 449-453
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     軽症胃腸炎に伴う良性乳児けいれん (CwG) を1シーズンに2回繰り返した2歳女児例を経験した. 初回はノロウイルス, 2回目はロタウイルスによるもので, 数分程度の全身性強直間代発作を群発したが, 発作間欠期の意識は清明であった. いずれのエピソードでも発作群発当日の頭部MRIにおいて, 脳梁膨大部に拡散強調画像で高信号, みかけの拡散係数が低下する病変を認めたが, それぞれ3日後の再検査で病変は消失した. 2回とも後遺症を残さなかった. 一過性脳梁膨大部病変を繰り返した例の報告は他になく, 一過性脳梁膨大部病変の病態およびCwGとの関連性を考える上で貴重な症例と考えた.
  • 服部 文子, 佐々木 征行, 佐久間 啓, 斎藤 義朗, 小牧 宏文, 中川 栄二, 須貝 研司
    2010 年 42 巻 6 号 p. 454-457
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     症例は16歳男性で, 軽度精神発達遅滞と徐々に進行する歩行障害を主訴に来院した. 6歳より転倒しやすく, 12歳よりジャンプ不能となった. 13歳より走るのが困難となり, 尖足凹足を認めるようになった. 先天性白内障, 深部腱反射亢進, 構音障害, 軽度脳梁低形成と末梢神経障害を認め, 他疾患が否定的であったため複合型痙性対麻痺と診断した. 先天性白内障, 知的障害と末梢神経障害を認める複合型痙性対麻痺はまれであり, 報告が日本人に限られていることから, 本邦に分布する疾患と考えられた.
  • 樋口 司, 福山 哲広, 本林 光雄, 三澤 由佳, 荒井 史, 稲葉 雄二
    2010 年 42 巻 6 号 p. 458-462
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     重症RSウイルス (RSV) 感染症を合併した症候性West症候群の2例を経験した. 9カ月男児はショック状態で, 1歳3カ月男児はプレショック状態で緊急入院した. 両者とも2週間前後の人工換気療法を必要とした. 原疾患によるけいれんは悪化し, 入院期間も長く患児と家族のquality of lifeは低下した. 長野県のRSV感染症疫学調査では入院患者238例中7例が神経・筋疾患児であり, 他の基礎疾患に比して人工換気療法施行率・罹患年齢が高く, 入院期間は長かった. 故に神経・筋疾患はRSV感染症重症化のリスク因子でありpalivizumabによる予防が必要であるが, 保険適応外であることや高価であることなどの問題を抱えている.
短報
  • —座圧分布測定装置を用いて—
    舟橋 吉美, 今枝 正行, 石川 道子
    2010 年 42 巻 6 号 p. 463-465
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     座位姿勢の保持に困難を呈する自閉症スペクトラム児2名に対し, 通常の椅子と, 座面にトータルコンタクト形状のクッションを設置した椅子 (以下, クッション椅子) を用いて座圧測定を実施した. 2事例ともにクッション椅子の使用時に, 座面と臀部・大腿部との最高接触面積と課題遂行時の重心幅が増加し, 坐骨結節部の最高圧力が減少した. クッション椅子使用による接触面積および重心幅の増加は, 椅子座位での姿勢の調整能力が向上し, 視写等の机上課題を促進させることに繋がると推測する.
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