脳と発達
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42 巻 , 1 号
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巻頭言
総説
  • 岩田 欧介, 岩田 幸子, 高嶋 幸男, 松石 豊次郎
    2010 年 42 巻 1 号 p. 5-14
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     外傷や感染, 低酸素虚血に端を発する傷害カスケードから脳を守ることは, 神経科学の最優先課題の一つである. しかしながら, その治療法としては, 脳低温療法の効果が一部の病態で認められたのを除いて, ほとんど確立されていない. 受傷・再灌流を起点に複雑さを増す病態は, 実験的・理論的に有効な多くの治療法を臨床現場で無用な処置に変えてしまっているが, 近年エネルギー代謝や遅発性細胞死誘導のメカニズムが詳細にわたって明らかになるにつれて, 受傷様式と段階に応じた治療を適切な時期に行えば, 脳保護は実現可能なファンタジーであると考えられるようになってきている. 本稿では, これまで別々の時間軸でしか論じられることのなかった臨床徴候・電気生理学的所見・エネルギー代謝・画像変化・病理学的変化をリンクし, 今後テイラーメイド治療を可能にするために必要なステップを提案したい.
原著論文
  • 小林 朋佳, 稲垣 真澄, 軍司 敦子, 矢田部 清美, 加我 牧子, 後藤 隆章, 小池 敏英, 若宮 英司, 小枝 達也
    2010 年 42 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     読みの能力の発達を明らかにするため, ひらがな読みに特化した仮名表記の単音, 非単語, 単語, 単文4種類の音読課題を作成し, 通常学級在籍中の児童528名の音読に要した時間, 誤読数を解析した. 時間は全課題とも1年生が有意に長く, 学童期の前半に短縮し, 単音と非単語課題では5年生以降の, 単語と単文課題では4年生以降の変化が少なかった. 単語と単文課題の音読所要時間には強い相関がみられた. 一方, 誤読は全課題で少なく, 最初に読み誤るもののすぐに自己修正されるものや語頭音を繰り返して読むパターンは対象の半数にみられた. 今後は読みのつまずきを有する児童の所見と比較し, 簡便な音読検査としての活用法を検討していきたい.
  • 丸山 あずさ, 永瀬 裕朗
    2010 年 42 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     けいれん重積および意識障害のために当院小児集中治療室に入院した小児に対して, 急性期に連続脳波モニタリングを行い, 非けいれん性発作の頻度, 脳波所見と予後の関連について検討を行った. 非けいれん性発作は約30%の症例で認められ, 成人領域での報告と類似する結果であった. また, 開始時脳波所見が低電位であった症例は全例で神経学的後遺症を残し, 低電位でなかった症例においては非けいれん性発作出現群で神経学的後遺症を残した割合が高い傾向があった. 小児神経集中治療領域での連続脳波モニタリングは, 神経学的予後不良の予測に有用である可能性が示唆された.
  • 津島 靖子, 眞田 敏, 柳原 正文, 平澤 利美
    2010 年 42 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     Kiddie Continuous Performance Test (K-CPT) の臨床応用のための基礎的知見を得ることとその適用年齢の検討を行うことを目的とし, 4~18歳の健常児 (者) 327名を対象に同検査を実施した. その結果, K-CPTの全評価指標に有意な発達的変化を認めた. 見逃しエラー数と反応スタイルは10歳頃からフロア効果を示し, 反応時間や弁別精度などの評価指標は思春期頃まで発達的変化が持続した. 男児は女児よりお手つきエラー数が多く, 弁別精度に性差が認められた. 本検査は学童期まで適用でき, 所要時間が短くてすむことから発達障害などへの臨床応用が期待される.
  • 九鬼 一郎, 川脇 壽, 井上 岳司, 温井 めぐみ, 木村 志保子, 岡崎 伸, 富和 清隆, 石川 順一, 外川 正生, 塩見 正司
    2010 年 42 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     小児てんかんのけいれん重積に対するmidazolam (MDL) 点鼻投与の有効性と薬物動態を検討した. けいれん重積発作の既往があり, diazepam投与 (静脈もしくは坐薬投与) が無効であった症例を対象とした. MDL点鼻投与は有効性が高く (完全止痙 : 65%), 速効性 (平均5.7分) があり, 今回の投与量 (平均0.26mg/kg) では呼吸抑制は認めず安全性が確認できた. 経時的な濃度測定が可能であった症例では, 10分以内に急速な血中濃度の上昇が認められた. 投与方法が簡単で安全に使用できるため, 小児救急現場において有用な手段と考えられた.
  • 藤井 靖史, 天方 かおり, 荻田 佳織, 疋田 敏之, 金子 衣野, 仲本 なつ恵, 柳川 幸重
    2010 年 42 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     帝京大学NICU退院後に発達外来を受診した修正月齢6カ月から12カ月の180名のべ297名 (男児181名, 女児116名) を対象に, 共同注意の獲得状況を検討した. 方法は, 新たに考案したもので, 保護者の膝の上に抱かれ, 検者と向き合った乳児が, 検者の視線の移動に合わせて視野内に位置する対象物に視線を移すか否か, また, 対象物に移した視線を再び検者に戻すか否かで判断した. 共同注意は6カ月児でも60%に見られ, 9カ月児では91%と高率に見られた. 6カ月児では男児に有意に多く認めた. 本法は, 簡便で時間も要さないため, 共同注意を評価する健診手技として乳児健診においても利用出来ると思われた.
症例報告
短報
  • 小野 浩明, 高橋 幸利
    2010 年 42 巻 1 号 p. 58-60
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     インフルエンザ脳症では情動異常や行動異常などの側頭葉辺縁系症状が前駆症状として出現することがある. しかし, インフルエンザ罹患に伴う辺縁系脳炎自体の報告例は稀である. 今回, インフルエンザ感染を契機に情動障害, 異常行動を呈した12歳女児例を経験した. 症状が遷延したためステロイドパルス療法を施行し, 以後軽快した. 頭部MRIでは異常を認めなかったが, 脳血流検査において側頭葉辺縁系の血流増加と髄液中抗グルタミン酸受容体抗体陽性を示したことから本例を辺縁系脳炎と診断した. インフルエンザで異常行動が遷延する場合は辺縁系脳炎の可能性も考慮し, 自己抗体の検索, ステロイドを含めた治療法の選択を検討するべきかと思われた.
  • 白井 謙太朗, 中島 啓介, 渡辺 章充, 川野 豊, 林 雅晴
    2010 年 42 巻 1 号 p. 60-62
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     症例は生来健康な6歳女児. ブランコをこいでいた時に頭痛, 嘔吐を来し, 傾眠傾向となり救急搬送された. 頭部CT検査で脳幹周囲に限局したくも膜下出血を認めた. 頭部外傷の既往はなく, 出血性素因もなかった. 脳血管造影で動脈瘤や異常血管を認めず, 中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血 (perimesencephalic nonaneurysmal subarachnoid hemorrhage; PNSH) と診断した. 対症療法にて, 神経学的後遺症なく, 発症19病日に退院した. これまでに報告されたPNSH小児6例の中, 本症例を含む2例は運動中, あるいは運動直後の発症であった. 成人では運動との関連を指摘する報告が多いが, 小児においても運動が発症に関与する可能性が示唆された.
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