急性小脳失調症は自然軽快を認める予後良好な疾患として知られているが, 小脳失調を反復し, 神経節神経腫による傍腫瘍症候群と考えられた症例を経験した. 1歳8カ月時, 上気道炎後に失調性歩行, 企図振戦, 眼振が出現. 急性小脳失調症の診断で経過観察し, 症状は改善傾向を認めた. 2歳6カ月時に小脳症状が再燃し, 後腹膜に神経節神経腫を認め, 髄液から抗GluRε2抗体が検出された. 摘出術後, 抗GluRε2抗体は陰性化し, 再燃はなく症状も改善している. しかし, 発症後, 認知・言語発達の停滞が認められている. 小脳は認知や学習などの高次脳機能への関与が明らかとなっており, 今後高次脳機能の評価と教育的配慮が必要である.
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