脳と発達
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42 巻 , 4 号
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巻頭言
総説
  • 高嶋 幸男
    2010 年 42 巻 4 号 p. 255-261
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     脳の画像診断の手技の進歩は早く, 脳機能画像もさらに進む一方, 脳病理も蛋白レベル, RNAレベルで着実に進歩している. 最近の進歩を振り返りつつ, 脳の発生と発達に沿って, 頭部画像と脳病理の対比を述べた. 脳病変の形成過程には可塑性や再生がある. 画像で経過をみて, 病理解剖で確認する慣例は常に重要である. 脳病理所見の中には, pontosubicular necrosisのように, 臨床診断も画像診断もできないものがあり, さらなる研究の進歩が期待される. 各施設の画像と組織バンクは時代を超えて病態解明に有益である.
原著論文
  • 小国 弘量, 平野 嘉子, 加藤 郁子
    2010 年 42 巻 4 号 p. 262-266
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     小児てんかんにおける各種抗てんかん薬 (AED) の選択順位に関して日米欧の差異を明らかにする目的で, 米欧において施行されたExpert Consensus (EC) 研究を参考としたアンケート調査を行った. 対象はてんかん専門医資格を取得して5年以上たつ小児科医師41名である. 方法は各種てんかん症候群の治療に使用するAEDを9点評価 (適切さの評価) し, その結果を統計処理して最適薬, 第1~3選択薬まで求めた. 結果として, carbamazepine, valproate sodium以外のAEDの選択順位は米欧で日本と大きく異なりbenzodiazepine系のAEDの使用が少なくoxcarbamazepine, lamotrigine, topiramate, levetiracetamなどの新規AEDが早期に導入されていた. 米欧のEC研究の結果は, 今後, 日本において新規AEDの使用の参考となろう.
  • 稲葉 雄二, 新美 妙美, 石田 修一
    2010 年 42 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     軽度発達障害児の支援を目的として, 不適応や行動, 学習面で問題となっている児童の学校での指導・支援について教師から相談を受けるoutreach clinicを実践した. 2年間で13校を訪問し, 36事例について相談した. 医療機関をすでに受診中の児童は44%で, 28%は相談の後に受診した. 20名で広汎性発達障害が疑われた. 教師へのアンケート調査では学習面で気がかりな児童は全体の4.4%, 対人関係や行動面では2.6%であった. さらに, 教職員の研修会で軽度発達障害の理解を促し, 支援体制や連携について意見交換した. 医療と教育の双方向性の連携により, より適切な支援と二次障害の予防につながることが期待される.
  • 高橋 宏佳, 高橋 幸利, 美根 潤, 向田 壮一, 池上 真理子, 池田 浩子, 大谷 英之, 下村 次郎, 久保田 裕子, 藤原 建樹
    2010 年 42 巻 4 号 p. 273-276
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     Dravet症候群に対するtopiramate (TPM) の治療効果を検討した. Dravet症候群と診断された11症例 (7.1±6.2歳) を対象とし, 投与前2カ月と投与後2カ月, 投与後6カ月目を含む2カ月間の発作回数を比較した. けいれん発作に対する投与後2カ月での評価は, 発作消失が1例, 50%以上発作減少が6例, 50%未満~無効が3例, 悪化が1例であった. 服用を6カ月間続けたのは10例で, 発作消失が1例, 50%以上発作減少が7例, 50%未満~無効が2例, 悪化が0例であった. TPMはDravet症候群のけいれん発作抑制に有効と思われた.
  • 岡 牧郎, 竹内 章人, 諸岡 輝子, 荻野 竜也, 大塚 頌子
    2010 年 42 巻 4 号 p. 277-282
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     視空間ワーキングメモリの系列記憶課題であるVisuospatial Span Task (VST) と二重課題であるMatrix Visuospatial Working Memory Test (VSWMT) を作成して, これらの得点の発達的変化を検討した. 対象は6~14歳 (平均10.4歳) の定型発達児60名 (男児43名, 女児17名). VSTとVSWMTいずれにおいても, 6~7歳児である程度のレベルまで課題を達成することが出来た. さらに, 両課題のspan scoreとtotal passed trials得点は, 年齢が上がるとともに上昇したが, VSWMTはその変化がより明瞭で, 思春期まで得点が上昇し続けた. 視空間ワーキングメモリの働きが少なくとも6~7歳には存在し, 学童期を通じて徐々に成熟していくことが示された.
  • 石川 順一, 山室 美穂, 外川 正生, 塩見 正司
    2010 年 42 巻 4 号 p. 283-286
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     けいれん重積型急性脳症 (AEFCSE) は最初のけいれん重積直後に発症を予測することは困難である. HHV6感染に伴うAEFCSE例と熱性けいれん重積例 (FCSE) を比較し, 早期鑑別因子を後方視的に検討した. 2004年4月~2008年1月で当院に入院したHHV6感染に伴うFCSE 6例とAEFCSE 5例を対象とした. 臨床症状ではAEFCSE群全例, FCSE群2例で止痙後24時間以上の意識障害が続いた. 画像診断では止痙後24時間以内で両群を区別することはできなかった. 血液生化学では, けいれん重積直後の血清クレアチニン値のみがAEFCSE群で有意に高かった. HHV6感染による発熱時のけいれん重積において血清クレアチニン値はAEFCSEとFCSEとの早期鑑別に有用であると考えられた.
  • 塩谷 裕香, 松澤 重行, 池田 浩子, 澤田 晃子, 岡田 眞子, 久津木 文, 富和 清隆
    2010 年 42 巻 4 号 p. 287-290
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     直接観察により4カ月および9カ月の乳児の偏側性を評価し, 乳幼児期の偏側性成立過程を明らかにすることが本研究の目的である. 対象は202名乳児 (男児97名, 女児105名) である. 吊り輪, ボール, 自動車, ボーロを用いて上肢の運動にみられる偏側性を観察した. その結果, 手伸ばしは, 4カ月 (40%) に比べて9カ月 (98%) で有意に増えた (p<0.001). 左右差は4カ月では同程度 (右10%, 左8%) であったが, 9カ月 (右50%, 左19%) では右側を示す児が有意に増えた (p<0.01). これにより上肢偏側性は9カ月までに出現するものと考えられた.
  • 福田 邦明, 桐野 友子, 藤原 由美, 永井 盛博, 遠藤 彰一
    2010 年 42 巻 4 号 p. 291-295
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     在胎34週未満の早期産児のうち, 5年以上経過観察した両側性の脳室周囲白質軟化症 (PVL) に基づく脳性麻痺 (63名) に認めたてんかんの特徴について検討した. 19名 (30%) がてんかんを発症した. 症候性局在関連てんかん (SLRE) が11名, West症候群 (WS) が8名であった. 発症時期はSLREが19~96カ月で, WSは4~18カ月であった. SLRE群の発作型は1種類が5名, 2種類が3名, 3種類が3名で, 複雑部分発作 (CPS) を8名に認めた. WS群でも1名にCPSを認めた. 脳波異常はWS群は全例が頭頂・後頭部に局在を認めたが, SLRE群では11名中8名が中心部に局在を認めた. SLRE群の2名, WS群の1名が難治であった. てんかん合併群は非合併群に比べ四肢麻痺が多く, 幼児期の発達指数が低かった. PVLでは乳児期にWS (13%), 幼児期以降にSLRE (17%) が発症し, 発作型ではCPSが47%と最も多かった.
症例報告
  • 野口 佐綾香, 加賀 佳美, 高橋 幸利, 青柳 閣郎, 中村 幸介, 神谷 裕子, 中根 貴弥, 金村 英秋, 杉田 完爾, 相原 正男
    2010 年 42 巻 4 号 p. 297-301
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/21
    ジャーナル オープンアクセス
     急性小脳失調症は自然軽快を認める予後良好な疾患として知られているが, 小脳失調を反復し, 神経節神経腫による傍腫瘍症候群と考えられた症例を経験した. 1歳8カ月時, 上気道炎後に失調性歩行, 企図振戦, 眼振が出現. 急性小脳失調症の診断で経過観察し, 症状は改善傾向を認めた. 2歳6カ月時に小脳症状が再燃し, 後腹膜に神経節神経腫を認め, 髄液から抗GluRε2抗体が検出された. 摘出術後, 抗GluRε2抗体は陰性化し, 再燃はなく症状も改善している. しかし, 発症後, 認知・言語発達の停滞が認められている. 小脳は認知や学習などの高次脳機能への関与が明らかとなっており, 今後高次脳機能の評価と教育的配慮が必要である.
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