脳と発達
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43 巻 , 6 号
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巻頭言
総論
  • 井上 健, 岩城 明子, 黒澤 健司, 高梨 潤一, 出口 貴美子, 山本 俊至, 小坂 仁
    2011 年 43 巻 6 号 p. 435-442
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     先天性大脳白質形成不全症は, Pelizaeus-Merzbacher病 (PMD) を代表とする主に遺伝性の原因により大脳白質の髄鞘形成不全を特徴とする疾患群の総称である. これまでPMD以外の疾患については, 臨床および分子遺伝学的な分類が困難であった. しかし, ここ数年で新たな疾患概念の確立や疾患遺伝子の同定が進み, PMD以外の先天性大脳白質形成不全症に関する多くの知見が明らかになった. これらを加味した先天性大脳白質形成不全症の診断基準や疾患分類は, 臨床上有用と思われる. 本稿では, 先天性大脳白質形成不全症に関する研究班による成果による新たな診断基準や, この疾患群に含まれる11疾患の鑑別診断のためのフローチャートを含む疾患分類を中心に, 先天性大脳白質形成不全症に関する最新の知見をまとめた.
原著論文
  • 藤田 光江, 藤原 順子
    2011 年 43 巻 6 号 p. 443-447
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     小児の一次性頭痛においてグラフ式頭痛ダイアリー (以下ダイアリー) がタイプ診断および生活環境の把握に有用であるかを検討した. 対象は3週間以上ダイアリーを記載した一次性頭痛の小児109例 (男40例) で, 初診時の診断は, 片頭痛84例, 緊張型頭痛15例, 片頭痛と緊張型頭痛の共存10例であった. ダイアリー記載により, 初診時に片頭痛と診断された84例中20例 (24%) に, 慢性緊張型頭痛の共存が明らかになり, 20例全例に心理社会的問題が認められた. 本ダイアリーは, 特に慢性緊張型頭痛を含む慢性連日性頭痛の診断に有用であり, 患児のおかれた生活環境を知るための問診の手掛かりとなった.
  • 安積 陽子, 高田 哲
    2011 年 43 巻 6 号 p. 448-452
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     早期産児の睡眠発達を正期産児との比較から明らかにすることが本研究の目的である. 解析対象は早期産群18名, 正期産群23名であった. 早期産群は, 在胎週数26.5±2.3週, 出生体重879±188g, 修正月齢12.9±1.1カ月であった. 対照群の正期産群は在胎週数39.1±1.3週, 出生体重2,940±352g, 修正月齢13.1カ月±1.7カ月であった. アクチグラフ (マイクロ・ミニRC型) による1週間のデータ収集を実施し, 得られた睡眠データを早期産群, 正期産群で比較した. 修正月齢12カ月以下群では早期産群の夜間睡眠時間は, 正期産群に比して有意に短かったが, 13カ月以上群で正期産群との差は消失した. ACTX (身体活動が0以上の時間の割合) は両時点とも早期産群が正期産群より有意に高かった.
  • 渡邊 聖子, 小林 勝弘, 遠藤 文香, 吉永 治美, 大塚 頌子
    2011 年 43 巻 6 号 p. 453-458
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     週1回以上の発作を示す小児期発症の難治てんかん50例 (局在関連性てんかん15例, 全般てんかん33例, 未決定てんかん2例) にlamotrigineを追加投与し, 効果と副作用を検討した. 43例が16歳未満であった.
     開始6カ月時には, 発作抑制2例 (4%), 50%以上の発作減少を14例 (28%) に認めた. 発作型別では, 抑制を含め50%以上の減少例はepileptic spasmsで29%, 強直発作で32%, 部分発作で29%であった. 開始3カ月時と比較すると, 効果は77%で同等または増強, 23%で減弱していた. 抑制を含め50%以上発作が減少した症例の大半は, 3カ月時点までに, 維持用量以下で最大の効果を示していた. 中止例は4例, うち2例で軽症の薬疹を認めた. Quality of lifeの改善が高率で, 発作減少の乏しい患者にも認められた.
  • 中川 拓, 藤田 杏子, 佐治 洋介, 丸山 あずさ, 永瀬 裕朗
    2011 年 43 巻 6 号 p. 459-463
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     小児の発熱に伴う難治性てんかん重積状態 (febrile refractory status epilepticus, 以下fRSE) に対する抗けいれん薬持続投与下での脳低温/平温療法 (以下, 脳低温/平温療法) が神経学的後遺症に与える影響について検討することを目的とし, 2002年10月~2009年8月の間に当院PICUに入院したfRSE症例28例を発症後24時間以内に脳低温/平温療法を行った12例とその他の治療法を行った16例にわけ, 両群間での比較を行った. 脳低温/平温療法を行った群では, 予後不良例はなく, その他の治療法では, 16例中6例 (37.5%) が予後不良であった (p=0.024). 予後不良例の6例中5例がけいれん重積型脳症と診断された. 小児のfRSEに対する発症後24時間以内の脳低温/平温療法は, けいれん重積型脳症への進展を阻止し得ると考えられた.
  • 小林 朋佳, 稲垣 真澄, 軍司 敦子, 矢田部清美, 北 洋輔, 加我 牧子, 後藤 隆章, 小池 敏英
    2011 年 43 巻 6 号 p. 465-470
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     数字や線画を単独あるいは交互に呼称する課題を通常級在籍中の小学1~6年生207名に行い, ひらがな音読能力との関連を検討した. 数字呼称時間は小学3~4年生まで短縮し続け, 単音音読時間と相関していた. 一方, 線画呼称は学童期の前半で特に短縮変化が目立ち, 以降はゆるやかに変化した. 交互課題はいずれの年齢においても単独呼称より時間がかかったが, エラーがほとんどなく施行できた. 呼称能力はひらがな音読能力と関連性がみられ, 交互課題は単語音読とより強く相関していた. 日本語話者の発達性読み書き障害の病態解明の一助として, 音読異常を持つ小児の数字・線画呼称スピードを今後検討する必要があると思われる.
症例報告
  • 奥村 恵子, 相崎 貢一, 津留 智彦
    2011 年 43 巻 6 号 p. 471-475
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     マイコプラズマ感染後に全身倦怠感で発症した急性両側線条体壊死 (acute encephalopathy with bilateral striatal necrosis ; EBSN) の10歳男児例を経験した. 急性期の頭部MRIでは両側線条体と黒質に病変を認めた. 経過中, 錐体外路症状, 錐体路症状に加え, 黒質病変に伴うと思われる尿意切迫・頻尿がみられた. 遠隔期には頭部MRI上, 両側基底核の軽度の萎縮を認め, 臨床的には軽度のチックを残した. EBSNで脳幹病変の合併例の報告は少ない. 尿意切迫・頻尿の報告は調べた限りではなく, 本症例が初めてである. L-dopa補充療法で症状の改善がみられた. ステロイド投与は急性期の症状改善に対しての効果が明らかでなかった.
  • 野村 昇平, 島川 修一, 田辺 卓也, 福井 美保, 柏木 充, 玉井 浩
    2011 年 43 巻 6 号 p. 476-481
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     海外ではtopiramate (TPM) のてんかん性スパズム (ES) に対する有効性が報告されているが, 本邦ではまだ使用経験の報告は少ない. 今回結節性硬化症に伴うES再発例に対する著効例3例を報告した. TPM開始時年齢は, 症例1 : 17カ月, 症例2 : 14カ月, 症例3 : 16歳でいずれもhypsarrhythmiaを伴わないES (症例3は部分発作が先行) であった. TPMは0.5mg/kg/dayあるいは25mg/dayより開始し, ESはそれぞれ2カ月 (2mg/kg/day), 5カ月 (6mg/kg/day), 1週間 (25mg/day) で消失した. いずれも5カ月以上副作用なく継続できており, 症例2はTPM単剤治療が可能であった. ES発症時の治療としては, 効果発現までの期間を考慮するとACTH療法が優先されるが, このような再発例には試みる価値のある薬剤と思われた.
  • 沼田 有里佳, 植松 貢, 福與 なおみ, 柿坂 庸介, 小林 朋子, 廣瀬 三恵子, 萩野谷 和裕, 土屋 滋
    2011 年 43 巻 6 号 p. 482-485
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は3歳男児で, 明らかな先行感染なく急性に頸部, 四肢の筋力低下を認め, 発症後約20日間の経過で頸部, 肩, 上肢近位優位の筋力低下を呈し, 下肢の筋力低下は不明瞭になった. また, 経過中に咽頭筋麻痺は認めなかった. 症状の経過, 四肢の深部腱反射消失や末梢神経伝導速度検査で脱髄所見を認めたことから, Guillain-Barré症候群と診断した. ガンマグロブリンやステロイドパルスによる治療を行い, 約4カ月後には臨床症状はほぼ消失した. 本症例はGuillain-Barré症候群の亜型の中で, 咽頭頸部上腕型Guillain-Barré症候群に近い症状を呈していたが, 咽頭筋麻痺は認めず, 咽頭頸部上腕型に多くみられる抗GT1a抗体も陰性であり, 既知の報告にない貴重な症例と考えられた.
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