脳と発達
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43 巻 , 1 号
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巻頭言
原著論文
  • 温井 めぐみ, 九鬼 一郎, 木村 志保子, 服部 妙香, 井上 岳司, 岡崎 伸, 川脇 壽, 富和 清隆
    2011 年 43 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Septo-optic-dysplasia (SOD) は視神経低形成, 視床下部性の下垂体機能低下症, 中枢神経系の正中構造異常を3徴とし, 2徴以上を満たす例を本症とする. 今回我々はSOD患児10例について画像的検討を行った.
     両側に視神経低形成を認めたのは6例で, 中枢神経系の正中部構造異常を認めた. 片側に認めたのは4例で, 同側または両側に皮質形成異常を認めた. これはSODの成因として血管破綻説を支持する所見と考えた.
     皮質形成異常を認めた4例中3例に99mTc HM-PAO SPECT, 123I iomazenil SPECTを実施し, 正常皮質と同等の集積を認めた. てんかん原性となりうる皮質形成異常では発作間欠期にはどちらも低集積となることが多く, SODに合併する皮質形成異常でてんかん発症率が低いこととの関連が推測された.
  • 山田 桂太郎, 真野 利之, 稲田 雄, 最上 友紀子, 鳥邊 泰久, 柳原 恵子, 橘 一也, 鈴木 保宏
    2011 年 43 巻 1 号 p. 10-13
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     当センターで軽度脳低温療法 (34°C前後) を施行した小児6例を対象に, 脳浮腫に対する脳低温療法の効果について後方視的に検討した. 心肺停止後の低酸素性虚血性脳症2例では, 脳低温療法導入後に脳浮腫の進行は認めなかったが, 急性脳炎・脳症, 代謝性脳症の4例中2例において脳浮腫の進行を認めた. これらの脳浮腫進行例は, 脳低温療法導入までの時間, 低温時間, 復温時間, 血清NSEのピーク値に関しては, 非進行例と比較して明らかな差は認めなかった. しかし, 脳浮腫進行例では, 血清NSEのピークに至るまでの時間は, 非進行例 (発症2~6日目) に比べて長い傾向があった (発症各15日目と13日目). 急性脳炎・脳症, 代謝性脳症においては, 中枢神経障害マーカーを指標に特有の病態を評価し, 脳低温療法の方法を確立する必要性が示唆された.
  • 池田 浩子, 藤原 建樹, 重松 秀夫, 今井 克美, 久保田 英幹, 久保田 裕子, 高橋 幸利, 井上 有史
    2011 年 43 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     ミオクロニー欠神てんかん (EMA) について, 本邦では多数例のまとまった報告はない. EMA 9例について, その臨床症状および経過を検討した. ミオクロニー欠神発作 (MA) の出現年齢は1歳6カ月~7歳8カ月で, 発症後のIQは全員80未満であった. 十分量のvalproate sodium (VPA) 単剤あるいはVPAとethosuximide (ESM) の併用治療が有効であった. 全般強直間代発作合併の有無と発作予後との間には関係はみられなかった. 1回のMAの持続時間が長く, てんかん重延状態の既往がある症例は治療への反応が悪かった. EMAには治療反応良好群・不良群の2群があると考えた.
  • 儀間 裕貴, 大城 昌平, 烏野 大, 藤原 孝之, 阿部 康次
    2011 年 43 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     乳児の自発運動発達の特性について, 3軸加速度計を用いて検討した. 対象は満期産児7例. 自発運動は生後1~5カ月の間に計5回測定し, 非線形解析した (構成次元の推定, 最大Lyapunov指数の算出). 結果, 生後1カ月時の構成次元および最大Lyapunov指数から, 生後2~3カ月時でその値が低下し, 生後4~5カ月時で再び値が増加する傾向を示す例が多く確認された. 構成次元および最大Lyapunov指数の低下は, 運動の自由度が低下したことを示しており, 生後2~3カ月頃の一時的な自由度の縮小は, 自由度の解放に向けたパターン化であり, その後再度の自由度の開放は, 能動的な随意運動の獲得を意味するものと考えられた.
  • 下村 英毅, 藤井 達哉, 宮嶋 智子, 熊田 知浩, 木村 暢佑, 小田 望, 齊藤 景子
    2011 年 43 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) はX連鎖劣性遺伝形式で進行性の筋力低下を呈する疾患である. 現在, 臨床現場で使用可能な薬剤で, この筋力低下に対する有効性が客観的に評価された薬剤はステロイド剤以外の報告はない. 我々はDMD 29例 (ステロイド剤投与例14例, 非投与例15例) へのステロイド剤の効果について後方視的に検討した. ステロイド剤はprednisoloneを使用し, 0.5mg/kgまたは0.75mg/kgを10日内服し, 20日休薬, 0.5mg/kgまたは0.75mg/kgの隔日投与, 5mg/kgを週に2回投与する方法であった. 結果, 投与例と非投与例で歩行不能月齢に有意差を認めず, 平均10歳6カ月であった. 一方, 投与例14例中13例で日常生活動作が改善した. 歩行可能期間の延長効果を示す投与方法についてはさらに検討が必要である.
  • 粟屋 豊, 久保田 英幹
    2011 年 43 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     小児てんかん患児の生活の質 (QOL) に対する認識について, 患児・家族と主治医とのギャップ調査をし, 診療に役立てることを目的にした. 2006年に実施した日本てんかん協会所属の患者 (5,122名) への大規模アンケート調査で, 回答の得られた患者1,701名, 医師502名のうち, 16歳未満の患児 (家族が回答) とその主治医が対になった107組の解析を行った. その結果, 薬剤に期待する内容や発作時および発作後の症状, 病気への心配などについて, 主治医が十分把握できていないことが判明した. 今後限られた日常診療時間内で, 医師は患児家族から必要な情報を効率的に入手するとともに, それに基づいた治療方針を患児家族に提案し, 両者の考え方ができるだけ一致するように努めるべきと思われる.
症例報告
  • 最上 友紀子, 山田 桂太郎, 鳥邊 泰久, 柳原 恵子, 真野 利之, 鈴木 保宏
    2011 年 43 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     血漿交換療法を要した多発性硬化症の女児例を経験した. 8歳時に意識障害で発症し, ステロイド大量点滴療法 (1クール=methylprednisolone 30mg/kg/日×3日間) にて症状は寛解していた. 約2年半後に左片麻痺で再発した. ステロイド大量点滴療法, 免疫グロブリン療法を試みたが, 神経症状は急激に進行し, 眼球運動障害, 球麻痺症状 (嚥下障害と構音障害) が出現した. 再発17日目から血漿交換療法 (隔日で7回) を開始したところ, 血漿交換2回目より球麻痺症状の改善がみられた. Interferonβ-1b療法 (商品名 : betaferon, 560万単位, 隔日皮下注射) を開始し, その後約3年間, 副作用, 再発はなく経過している. 小児多発性硬化症の急性期神経症状に対して治療が難渋した場合でも, 血漿交換療法が有効である可能性が示唆された.
  • 臼井 大介, 満田 直美, 細川 卓利, 藤枝 幹也, 高橋 幸利, 脇口 宏
    2011 年 43 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     麻疹・風疹混合ワクチン接種1カ月後に, 遷延する小脳症状を呈し, 転換性障害との鑑別に苦慮した13歳女子例を経験した. 重度の体幹失調で発症し, 客観的な検査所見を欠き, 奇妙な日内変動を認めるようになったことから, 小脳症状の原因は転換性障害が疑われた. その後, 髄液中抗グルタミン酸受容体 (GluR) δ2抗体陽性, リンパ球刺激試験でGluRδ2抗原に対する反応陽性および慢性期のSPECTで小脳血流低下を認めたため, 自己免疫機序による遷延性小脳失調症と, 続発した転換性障害による小脳症状の修飾と診断した. 髄液中抗GluRδ2抗体が転換性障害と自己免疫機序による小脳失調症の鑑別に有用である可能性が示唆された.
  • 石井 雅宏, 下野 昌幸, 千手 絢子, 楠原 浩一, 塩田 直樹
    2011 年 43 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     ケトン食療法が発作抑制に有効であった大田原症候群の1例を経験した. 患児は生後1カ月からシリーズ形成する発作を認め, 脳波はsuppression burst patternを示した. Vitamin B6大量療法, 様々な抗てんかん薬, 合成ACTH療法, TRH療法, 免疫グロブリン療法に抵抗性で発作の改善を認めなかった. ケトン食療法を開始したところ, 発作は著明に改善した. ケトン食療法は大田原症候群において早期に試みるべき治療法であると考えた.
  • 渡邊 嘉章, 渡邊 聖子, 大塚 頌子
    2011 年 43 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Valproate sodium (VPA) により発作と脳波の悪化を認めた潜因性局在関連性てんかんの3歳女児を経験した. 入院時には複雑部分発作とミオクロニー発作の直後に複雑部分発作が続く複合発作の存在が発作時脳波で確認された. ミオクロニー発作には左右差はなかったが, 発作時脳波では左半球優位に多棘徐波を認めた. 発作間欠期脳波では焦点性棘波と睡眠時に広汎性棘徐波が頻回に認められた. VPAを開始, 増量すると, 脳波の広汎性発射が著増し, 従来の発作の増加だけでなく単独のミオクロニー発作が新たに出現した. VPAを減量・中止し, carbamazepineに置換したところすべての発作は消失し, 脳波の広汎性発射は消失した. この間VPA脳症, 中毒症状, 代謝異常を示唆する所見は認められなかった. VPAによる逆説的効果と考えられた.
短報
  • 安西 有紀, 林 雅晴, 松岡 正樹, 高橋 宏行, 宮田 理英, 田沼 直之, 大矢 達男
    2011 年 43 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は11歳男児. パンデミック (H1N1) 2009インフルエンザ流行期に意識障害で発症し, びまん性脳浮腫, 脳波での全般性高振幅徐波を認め, 急性脳症と診断し, 直ちに脳低温療法を含めた集中治療を行った. 経過中頭部MRI所見では, 橋底部から延髄および小脳へT2強調およびFLAIR画像で高信号域を認めた. 臨床徴候では, 脳幹部の画像所見に一致した右輻輳麻痺と左不全片麻痺を一過性に認めたが, 後遺症なく治癒した. この病態は, 脳浮腫による脳幹圧迫による病変か, パンデミック (H1N1) 2009インフルエンザそのものによる病変かを考察した. また, 髄液マーカーでは, 発症時より総タウ蛋白は高値を示し, ミエリン塩基性蛋白 (MBP) は遅れて上昇し, その後低下した. さらに髄液サイトカインマーカーは季節性インフルエンザ脳症と類似の傾向を示した.
  • 五十嵐 加弥乃, 梶野 真弓, 白井 勝, 沖 潤一, 関 公平
    2011 年 43 巻 1 号 p. 59-61
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Epstein-Barr virus (EBV) 感染による伝染性単核球症に伴発した急性散在性脳脊髄炎の5歳女児例を経験した. 第1病日に発熱・咽頭痛が出現, 第4病日以降意識障害や歩行障害などの神経症状が急激に進行し, 第5病日のMRIではFLAIRやT2WIで中脳下丘や大脳白質・基底核などに多発性の高信号域を認めた. 治療ではステロイドパルス療法が有効であった. 髄液のEBV-DNAは陰性であったが, 抗体価の上昇からEBV感染に併発した急性散在性脳脊髄炎と診断した. 発熱後期間をあけずに強い意識障害が出現したため急性脳炎との鑑別が困難であった症例を報告する.
  • 大塚 頌子
    2011 年 43 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     日本におけるvigabatrin (VGB) の使用実態調査を行い, VGB服薬患者連絡会の19名と個人輸入の19名の実態を明らかにした. 内服開始時のてんかん分類は点頭てんかん9例, Lennox-Gastaut症候群3例, 症候性全般てんかん8例, 症候性部分てんかん11例, 潜因性部分てんかん5例, 乳児重症ミオクロニーてんかん2例であった. 現在も発作が抑制されている10例を含め, 38例中35例 (92.1%) に発作に対する有効性が継続していた. 開始年齢は個人輸入では19例中16例が6歳未満であった. 内服継続期間は2カ月の1例を除き15カ月から20年であった. 視野狭窄を1例に認めたが, 発作に対する効果が良好なため継続していた. 適切な使用法と副作用の管理体制の整備を条件に早期の導入が望まれる.
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