当センターで軽度脳低温療法 (34°C前後) を施行した小児6例を対象に, 脳浮腫に対する脳低温療法の効果について後方視的に検討した. 心肺停止後の低酸素性虚血性脳症2例では, 脳低温療法導入後に脳浮腫の進行は認めなかったが, 急性脳炎・脳症, 代謝性脳症の4例中2例において脳浮腫の進行を認めた. これらの脳浮腫進行例は, 脳低温療法導入までの時間, 低温時間, 復温時間, 血清NSEのピーク値に関しては, 非進行例と比較して明らかな差は認めなかった. しかし, 脳浮腫進行例では, 血清NSEのピークに至るまでの時間は, 非進行例 (発症2~6日目) に比べて長い傾向があった (発症各15日目と13日目). 急性脳炎・脳症, 代謝性脳症においては, 中枢神経障害マーカーを指標に特有の病態を評価し, 脳低温療法の方法を確立する必要性が示唆された.
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