脳と発達
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43 巻 , 3 号
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巻頭言
座談会
総説
  • 平 孝臣
    2011 年 43 巻 3 号 p. 183-188
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     ジストニアの外科治療は近年脳深部刺激の出現により長足の進歩をとげた. しかし, ジストニアは単一の疾患ではなく, 局所から全身まで広い症候を呈し, 発症年齢も小児から老年期まで様々であるので, ジストニアの外科治療として脳深部刺激だけを扱うのでは, この難問の解決にはいたらない. 書痙や痙性斜頸などの局所ジストニアから, 全身性までの多様な症状, 二次性の病因など多くの要素を考慮しながら, どのように外科治療を選択するのかという姿勢が重要である. ここで紹介するジストニアの様々な外科治療の効果を考えた場合, 多くのジストニアは少なくとも治療に関しては脳神経外科的疾患であるとも言える時代に入っている.
特集 第52回日本小児神経学会総会
シンポジウム1:周産期脳障害と向き合うために―分野を超えた専門知識の相互リンクがもたらすもの
  • 早川 昌弘, 奥村 彰久
    2011 年 43 巻 3 号 p. 189-190
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
  • 安井 正人
    2011 年 43 巻 3 号 p. 191-194
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     体内水分バランスは, 生体の恒常性維持機能の最も重要な調節機構である. 水分バランスの不均衡は, 様々な病態に伴って認められ, その補正が治療上有効となることが多い. 水チャネル, アクアポリン (AQP) の発見は, 体内水分バランスや分泌・吸収に対する我々の理解を分子レベルまで深めることとなった. 哺乳類の脳では, 主にAQP4が発現している. AQP4は, 神経細胞にはその発現を認めず, 毛細血管周囲のアストロサイトの足突起に特に限局して発現している. 脳浮腫の病態生理におけるAQP4の役割も解明されつつある. 高次脳機能のさらなる理解, 脳浮腫に対する創薬へ向けて, AQP4に対するより深い理解が必須である.
  • 岩田 欧介, 岩田 幸子
    2011 年 43 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     高磁場MRIの普及により, 今や “仮想病理空間” と見まがうほどの解像度を持った中枢神経画像が日常的に提供され, 出血病変に代表される既知の病態診断の質を高めただけでなく, 早期産児の広汎性白質傷害のように, 以前は重要視されていなかった質的変化を客観的に描出することに貢献している. しかしながら, 画像上の “異常所見を治療” するには, 実病理空間での組織損傷との正確な関係を熟知する必要がある. 本稿では, 組織中の水分子の分布と移動から, 拡散強調画像における画像変化出現のメカニズムを明らかにすることで, 急性脳損傷における画像所見にどのような臨床的意義があるのかを概説する. 先進MRIの長所と限界を明確にする努力により, 従来方式のMRIから得られる情報もより有用なものになると期待される.
  • 佐藤 義朗, 中西 圭子, 服部 哲夫, 一ノ橋 祐子, Klas Blomgren, 大平 敦彦, 早川 昌弘
    2011 年 43 巻 3 号 p. 201-205
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     近年, 幹細胞を用いた細胞療法, 再生医療は, 様々な臓器や疾患に対して研究が行われ, 臨床への応用も行われつつある. 幹細胞源に関しても, 様々なものが研究されている. 周産期脳障害に対する幹細胞療法の研究報告も近年増加してきている. 我々も, 胎仔脳から培養した神経幹/前駆細胞とコンドロイチン硫酸分解酵素を同時に脳内に投与することにより治療効果が得られることをモデルラットを用いて証明した. 倫理的な問題, 採取, 投与の問題がより生じにくい骨髄幹細胞や臍帯血幹細胞を使った研究もされ始め, 周産期脳障害に対しての幹細胞療法の確立も遠くないと思われる.
  • 池田 智明
    2011 年 43 巻 3 号 p. 206-210
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     脳性麻痺の中で, 分娩時に低酸素症が原因で発生する例は, 全体の約20%であることを臨床研究で明らかにした. それ以外の原因と考えられる脳性麻痺の約75%が, 分娩時に正常でない胎児心拍数 (FHR) パターンが認められたことは, 感染症や先天異常といった低酸素以外の異常を妊娠および分娩中に診断することが, 予防や原因分析の観点からも重要である. 動物実験から, asphyxia中は血圧のみが脳障害の予測因子であり, asphyxia後の様々なパラメータを観察することが予後予測のために重要であることが示された. 分娩時asphyxiaの場合, 新生児の観察, 記録が重要であることを示した.
  • 小沢 浩
    2011 年 43 巻 3 号 p. 212-216
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     重症心身障害児 (者) の在宅医療の実態, 問題点, 取り組みについて報告した. 多摩地区における, 超重症児 (者) ・準超重症児 (者) 264名のアンケートから, 家族に多大な負担を強いていることがわかった.
     連携の方法として, 大学病院との連携, 多摩療育ネットワークの取り組みを紹介する. 在宅生活を送る障害児 (者) とその家族にとって, 「安心感」を持てるシステムの構築が必要であり, 地域の状況に応じて, 連携してシステムを創造していくことが求められている.
ワークショップ1
ワークショップ2
原著論文
  • 渡邊 年秀, 大柳 玲嬉, 皆川 公夫
    2011 年 43 巻 3 号 p. 223-227
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     25例の小児難治性全般てんかん患者にtopiramate (TPM) を追加投与し, TPM投与開始2カ月後の短期効果と1年後の長期効果を比較検討した. TPMの有効率は短期56%, 長期45%と比較的高かったが, Lennox-Gastaut症候群では有効率が低かった. 短期効果で著効を認めた症例は長期でも著効を維持し, 短期が有効でもその後長期で著効になる症例がみられた. しかし, 短期が有効とならなかった症例は長期も有効以上には至らなかった. 無効または悪化のためTPMを途中で中止した症例が5例みられたが, TPMは重大な副作用を認めず, 短期のみならず長期有効率も比較的高いため, 小児の難治性全般てんかんに試みる価値のある薬剤と思われた.
症例報告
  • 武市 知己, 臼井 大介, 福井 真澄, 小倉 英郎
    2011 年 43 巻 3 号 p. 228-232
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     重症心身障害児 (者) では, 下行大動脈との穿通をはじめとする致死的食道出血がしばしば報告される. 我々は, 食道内のカテーテル留置を契機に発症した高度側彎2例を経験し, 重症心身障害病棟入院中の38例と胸部CT画像を比較した. その結果, 椎体が胸郭内で右に凸で, 縦隔が左に偏位するタイプの側彎において, 食道が下行大動脈の左側まで回り込んで走行する場合があり, 食道内のカテーテル留置に伴いその刺激で食道出血をきたす危険性が高いことが示唆された. このような症例では, 留置するカテーテルには細径で柔らかい材質のものを用いたり, 胃瘻造設を考慮したりする必要がある.
  • 井上 建, 田中 百合子, 大谷 良子, 板橋 尚, 村上 信行, 永井 敏郎, 作田 亮一
    2011 年 43 巻 3 号 p. 233-237
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Valproate sodium (VPA) の副作用として尿細管機能障害を呈した症例の報告が散見される. 今回我々はVPAによる尿細管機能障害を呈した3例を経験したので報告する. いずれも, 重症心身障害児, 経管栄養かつ抗てんかん薬多剤併用の児で, VPA内服中に生じた感染を契機にFanconi症候群を発症した. 3例とも発症以前から低尿酸血症を認めており, 発症以前から尿中β2ミクログロブリン (β2MG) を測定していた1例では, β2MG上昇を認めた. 発症以前に低リン血症を認めた症例はなかった. VPAを含む抗てんかん薬を多剤併用する経管栄養の重症心身障害児では, 尿中β2MG, 血中および尿中尿酸値を含んだ定期的な検査が必要と考えられた. 特に細菌感染にさらされた際には, Fanconi症候群の発症に注意する必要があると考えられた.
短報
  • 宮地 泰士
    2011 年 43 巻 3 号 p. 239-240
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     知的障害を伴わない高機能広汎性発達障害 (以下HFPDD) 児を持つ母親を対象に, 自己記入式の質問紙を用いて, 子どもの発達の問題をいつ頃からどのようなことで気づいたのかを調査した. 親が最初に気づいた時期としては, 1歳から2歳未満の時期が最も多く, 1歳未満の時期を回答した親が22.8%いた. また, 具体的にどのようなことが気になったのかについては, 広汎性発達障害の診断基準にある3主徴の他に, 特に低年齢児において筋トーヌスの弱さや協調運動の問題, 活動意欲の低さといった内容が多く寄せられた. 今後HFPDDの早期徴候研究を進める上で, 運動機能の問題についても注目していくことが重要になるのではないかと思われた.
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