脳と発達
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43 巻 , 5 号
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巻頭言
総説
  • 友田 明美
    2011 年 43 巻 5 号 p. 345-351
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     児童虐待は, 日本の少子化社会の中でも近年増加の一途をたどっている. 小児期に様々な虐待経験のある被虐待者脳MRI形態の検討により, 虐待や育児放棄による幼少期母子関係の破綻 (愛着形成の障害) が社会性の発達障害を引き起こすこと, さらにその障害が脳の構造機能の変容に起因することが示唆された. 「性的虐待」では, 最初に目に映った情報を処理する脳の視覚野で脳の容積が減ったり, 「暴言虐待」では, コミュニケーション能力に重要な役割を持つ聴覚野で大脳白質髄鞘化が異常をきたしたりすることが明らかになった. 被虐待児に認められる “社会性発達障害” という観点から, こころに負った傷は容易には癒やされないことが予想される. 被虐待児たちの精神発達を慎重に見守ることの重要性を強調したい. しかしながら, 被虐待児たちの脳変成も多様な治療で改善される可能性があると考えられる.
  • 瀬川 昌也
    2011 年 43 巻 5 号 p. 352-358
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     小児期発症アミン系神経系伝達物質異常症にはプテリジン代謝異常症, チロシン水酸化酵素 (TH) 異常症がある. 前者に属す瀬川病では, ドパミン (DA) ニューロン終末部TH, すなわちDAが低下, 10歳以前に発症, 終末部THの経年齢減衰性変化に従い症状が進行するが, 20歳台で定常状態となる. 形態異常は伴わず, l-Dopaによく反応する. これらの疾患にみるセロトニン (5-HT), ノルアドレナリン (NA) 神経系の活性低下にも同様の病態が推定される. 一方, 乳児期早期発症例では, 5-HT, NA活性の著明低下に起因した脚橋被蓋核の活性低下が黒質と腹側被蓋野DA活性低下をもたらし, 中枢神経系発達障害, 高次機能障害をもたらす.
原著論文
  • 福與 なおみ, 高橋 利幸, 萩野谷 和裕, 植松 貢, 土屋 滋, 藤原 一男
    2011 年 43 巻 5 号 p. 359-365
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     視神経脊髄炎 (NMO) の自己抗体である抗アクアポリン4 (AQP4) 抗体陽性の小児期発症18例の臨床像をまとめた. 発症年齢は3~15 (中央値13) 歳, 男女比は1 : 3.5であった. 抗AQP4抗体検査時の診断名がNMOであったのは7例 (39%) で, 残る11例のうち8例は多発性硬化症 (MS) であった. 初発症状は8例 (44%) が視神経炎のみで, 初発時MRI所見は, 脊髄や脳幹, 大脳白質病変など様々であった. 全例1年以内に再発があった. 最終観察年には14例に頭部MRI異常を認め, 9例が両眼または片眼失明, 9例は独歩不能な状態であった. 本抗体陽性の多くは重症であり, MSと治療法は異なるため, 小児例でも早期診断治療には抗体検査が重要と考えられた.
  • 津島 靖子, 眞田 敏, 柳原 正文, 大野 繁, 平澤 利美, 岡 牧郎, 荻野 竜也, 大塚 頌子
    2011 年 43 巻 5 号 p. 367-371
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     7~12歳の注意欠陥/多動性障害 (attention deficit/hyperactivity disorder ; AD/HD) 男児22名および広汎性発達障害 (pervasive developmental disorder ; PDD) 男児19名と定型発達男児41名を対照群としてKiddie Continuous Performance Testを実施した. AD/HD群は対照群に比して, 見逃しエラーおよび反応時間の標準誤差が有意に高値で弁別精度が有意に低値であったが, PDD群は, いずれの指標においても有意差を認めなかった. さらに, AD/HD症状を伴うPDD群は, PDD群よりお手つきエラーが有意に高値で弁別精度が有意に低値であった. これらの成績はAD/HDの反応抑制不全に基づく特性を反映したものと推測された.
  • 塩田 睦記, 小国 弘量, 伊藤 康, 落合 卓, 堀 智勝, 武藤 順子, 高橋 悟, 宮本 晶恵, 小坂 仁, 大澤 真木子
    2011 年 43 巻 5 号 p. 373-377
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     機能的右半球切除術を施行したRasmussen脳炎 (Rasmussen encephalitis ; RE) 3小児例の発作, 精神・神経学的および運動機能の回復過程について検討した. 手術直前には抗てんかん薬, 免疫療法に抵抗性の持続性部分てんかん発作 (epilepsia partialis continua ; EPC) と進行性片麻痺により坐位保持も困難であった. 術後EPCは消失し, 片麻痺は残存したが, 理学療法により1.5から5カ月で補助具での歩行が可能になり, 日常生活活動 (activities of daily living ; ADL) は回復した. 健側半球の覚醒時脳波では後頭部α波を認め, 知能検査では退行の阻止を確認した. REでは発作, 片麻痺が進行し, ADLが低下してきた場合, 早期に機能的半球切除術を考慮すべきと考えた.
  • 柏木 充, 田辺 卓也, 島川 修一, 若宮 英司, 玉井 浩
    2011 年 43 巻 5 号 p. 378-383
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     潜因性局在関連てんかん (CLRE) 発症早期の神経心理学的特徴を検討した. 対象は初回発作から8カ月以内にWISCやWPPSI検査をした16例で, 特発性局在関連てんかん (ILRE) 14例と比較した. CLREの全IQは, ILREと差はなかったが, 言語性IQと動作性IQの差の絶対値 (discrepancy) は有意差を認め (p=0.031), 発症年齢が早いほど大きかった (相関係数r=-0.615, p=0.011). また, CLREでは, 発作間欠時脳波のてんかん性放電の側方性と言語性や動作性の認知機能の偏りとの関連性を11例中9例に認めた. 早期発症のCLREでは, 認知機能の偏りにも注目し, 支援することが重要だと考えられる.
症例報告
学会見聞記
報告
地方会
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