脳と発達
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44 巻 , 6 号
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巻頭言
原著論文
  • 足立 昌夫, 河崎 洋子
    2012 年 44 巻 6 号 p. 445-449
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】重症心身障害児 (者) (重症児 (者) ) の難治てんかんに対するlamotrigine (LTG) の有効性と忍容性を検討した.
     【方法】対象は, 横地分類A1~A3の重症児 (者) 40例で, 全例が症候性てんかんで, 全般てんかん6例, 局在関連性てんかん33例, 未決定てんかん1例. 発作頻度減少率により有効性を, 有害事象や患者の生活に与える影響により忍容性を評価した.
     【結果】50%以上の発作頻度減少率 (≥50% responder rate : RR) は, 全般てんかん83%, 局在関連性てんかん42%であった. 発作型別では, 強直間代発作54%, 複雑部分発作33%, ミオクロニー発作25%であった. 有害事象は, 睡眠障害9例, 興奮 (夜間) 6例, 不随意運動 (増悪), 眠気が各4例であった. 一方で, 効果の乏しい症例 (<50%RR) でも, 覚醒度 (6例), 活動性 (4例), 食欲 (3例) の改善を認めた.
     【結論】重症児 (者) へのLTG投与は生活の質を向上させる効果があり, 試みるべき有用な治療である.
  • 苛原 香, 小牧 宏文, 本田 涼子, 奥村 彰久, 白石 一浩, 小林 悠, 東 慶輝, 中田 智彦, 大矢 寧, 佐々木 征行
    2012 年 44 巻 6 号 p. 450-454
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】先天性筋無力症候群 (congenital myasthenic syndrome ; CMS) の特徴を明らかにする.
     【方法】CMSと診断した5例の臨床経過, 診察所見, 電気生理学的所見などを後方視的に検討した.
     【結果】4例が乳児早期に筋力低下と運動発達遅滞, 1例は3歳時に運動不耐で発症した. 幼児期以降に1日単位で変動または数日間持続する筋力低下を全例で認めたのが特徴的で, 日内変動を示したのは1例のみであった. 反復神経刺激では, 遠位の運動神経では減衰を認めない例があった. 塩酸エドロフォニウム試験では, 眼瞼下垂を示した3例全例で改善を認めなかった. 全例で薬物治療による改善を示した.
     【結論】CMSはていねいな診察と電気生理検査により診断可能で薬物治療が行える疾患である.
  • 熊田 知浩, 宮嶋 智子, 小田 望, 下村 英毅, 齊藤 景子, 日衛嶋 郁子, 野崎 章仁, 藤井 達哉
    2012 年 44 巻 6 号 p. 455-459
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】症候性West症候群の患者12人 (全例重症心身障害児) に, topiramate (TPM) の急速増量による高用量投与を行い, 有効性, 安全性, 忍容性を調べた.
     【方法】TPMを1mg/kg/日で開始, 3~4日ごとに2mg/kgの割合で急速に増量, 発作抑制時の量を維持量とし, 最大19~20mg/kg/日まで増量した. TPM開始年齢は5~22カ月, TPM開始前に使用した抗てんかん薬数は2~6剤.
     【結果】効果を認めたのは8例 (67%) で, 発作消失4例, 90%以上発作頻度減少3例, 50%以上発作頻度減が1例であった. 効果を認めた例のTPMの維持量は平均17.9±3.9mg/kg/日であった. この8例中4例 (50%) が再発した. 有効例は調査時まで (7~42カ月 : 中央値12.5カ月) 全例治療継続できた. 腎結石を含め重篤な副作用は認めなかった.
     【結論】症候性West症候群にTPMの急速増量, 高用量投与は有効かつ安全で忍容性がある.
  • 高見 勇一, 伴 紘文
    2012 年 44 巻 6 号 p. 461-464
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】2009年11月から2011年6月に当科を受診した軽症胃腸炎に伴うけいれん (CwG) に対するphenobarbital (PB) 静注投与の有効性を検討した.
     【方法】当院受診時, 単回発作の場合は原則無治療とし, 複数回発作が出現した症例にPB 10mg/kgを単回静注投与した.
     【結果】期間中, CwG 33例のうち24例にPBが静注された. 1例は単回発作後に, 残りは2~7回の発作後にPBが静注され, 発作は全例で終息した. 副作用は眠気が5例, そのうち2例にふらつきも見られたが, 一過性かつ軽度であった.
     【結論】PB静注投与はCwGに有効と考えられた. 嘔吐や下痢に関係なく投与できるため, CwGに有用な治療法と考えられた.
  • 境 信哉, 真木 誠, 境 直子, 須藤 章, 加藤 光広, 齋藤 伸治
    2012 年 44 巻 6 号 p. 465-471
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】脊髄性筋萎縮症 (spinal muscular atrophy; SMA) I型児 (者) のリハビリテーション支援に必要な情報として, スイッチ使用状況, 言語発達, 上肢機能, quality of life (QOL) を明らかにする.
     【方法】SMAI型児 (者) の親に対するアンケート調査 (郵送法) を実施した.
     【結果】48人より回答が得られた. SMAI型児 (者) の年齢は13カ月から27歳の範囲 (中央値8歳) であった. 障害者用スイッチを使用していた者は46.5%であった. 言語発達では遅れを示した. 上肢機能では比較的末【梢】部が保たれていた. QOLでは育児における労力・負担が高かった.
     【結論】専門家の支援によって障害者用スイッチの普及が促進できれば, 運動や言語発達, さらにQOLの向上が望めると考えられた.
  • 最上 友紀子, 高橋 幸利, 福山 哲広, 高山 留美子, 大谷 英之, 池田 浩子, 今井 克美, 重松 秀夫, 井上 有史
    2012 年 44 巻 6 号 p. 472-476
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】脳炎・脳症後てんかんは難治で, 抗てんかん薬を多剤使用することが多い. 抗てんかん薬の副作用の眠気について病態を検討した.
     【方法】患者66名について, 臨床的特徴, 髄液一般, 髄液・血液サイトカイン等と眠気の関連を検討した.
     【結果】眠気は26名 (39.3%) に出現し, clorazepate (75%), lamotrigine (66.7%), ethosuximide (40%) の順に高率であった. 髄液中のIgG, 蛋白, albumin, IL-8が眠気出現群で有意に高値であった.
     【結論】脳炎・脳症後てんかんでは, 脳炎・脳症発病時に生じた血液脳関門障害が遷延し, 薬剤の脳内移行が増加, 眠気が生じやすくなっている可能性がある.
症例報告
  • 斎藤 義朗, 福村 忍, 齋藤 貴志, 小牧 宏文, 中川 栄二, 須貝 研司, 佐々木 征行
    2012 年 44 巻 6 号 p. 477-481
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     ノイロトロピン® (Neurotropin, ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液) は頸肩腕症候群や帯状疱疹後疼痛に有効であり, 成人の一次性頭痛に対する効果も報告されている. 今回, 他の各種薬剤に効果が乏しかった慢性頭痛の小児2例で本剤が有効であった. いずれも中学生女子, 片頭痛を発症して2~3年後に増悪をきたし, 不登校にいたった経過で, 起立性調節障害の併存, 間欠的な四肢・背部の疼痛, MRI上の大脳白質散在性病変も共通していた. Neurotropinには他の鎮痛薬にはない下降性疼痛抑制系の増強効果があり, 小児の難治な慢性頭痛にも有効と示唆された.
  • 永春 幸子, 稲葉 雄二, 本林 光雄, 三澤 由佳, 福山 哲広, 樋口 司, 原田 真知子
    2012 年 44 巻 6 号 p. 482-486
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     けいれん重積型急性脳症 (acute encephalopathy with febrile convulsive status epilepticus) を発症し, 一過性の失語症と, 回復期に後天性読字障害を残した6歳女児について検討した. 失語症は流暢性で失名詞と考えられ, 後天性読字障害には音韻処理過程の障害の関与が示唆された. MRI, 脳血流シンチグラム等で経時的変化を観察し, 臨床症状の改善とともに左頭頂側頭葉中心に病変が残存した. 急性脳症におけるこれら合併症の病態と治療を検討する上で, 重要な症例であると考えられた.
  • 吉冨 晋作, 奥野 慈雨, 平野 悟, 笛木 昇, 平林 伸一
    2012 年 44 巻 6 号 p. 487-491
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     「急性壊死性脳症 (acute necrotizing encephalopathy, 以下ANE) 」は両側視床の対称性病変という特徴的な画像所見を呈する. 一方「二相性けいれんと遅発性拡散能低下を呈する急性脳症 (acute encephalopathy with biphasic seizures and late reduced diffusion, 以下AESD) 」は二相性の経過と二度目の発作時の頭部MRI拡散強調画像での皮質下白質の高信号が特徴とされる. 症例は8カ月の女児で, ヒトヘルペスウイルス6型 (HHV-6) 感染症による発熱とけいれん重積で発症した. 発症時にはANE様の画像所見を呈したが, 数日後にけいれんを群発した時にはAESDの画像所見を呈した. 本症例はANEとAESDのオーバーラップ症例と考えられた. 病態に応じた治療選択が急性脳症治療における課題のひとつであり, 診断マーカーや遺伝子解析なども用いた病態解明が必要と考えられる.
  • 佐々木 香織
    2012 年 44 巻 6 号 p. 492-495
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Rett症候群では覚醒時に呼吸異常がみられることがあるが, その病態はまだ不明な点が多い. 今回, Rett症候群の女児で, 覚醒時に異常呼吸から無呼吸, チアノーゼを呈し, 心肺停止に至る発作を経験した. Diazepam, クエン酸マグネシウム, 三環系抗うつ薬などを投与するも全く効果は認めなかったが, 三環系抗うつ薬の内服下に気管切開を施行後, この発作は消失した. 発作は呼気が出現しない過吸気の様相で, その病態は, セロトニン分泌異常による持続性吸気が考えられた.
短報
  • 阪上 智俊, 千代延 友裕, 諸戸 雅治, 森田 高史, 吉田 路子, 森岡 茂己, 徳田 幸子, 西村 陽, 森本 昌史, 細井 創
    2012 年 44 巻 6 号 p. 496-498
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     心静止を伴う息止め発作 (BHS) に対して, 新規抗てんかん薬levetiracetam (LEV) が著効した1例を経験した. 発作症候, 発作時脳波から蒼白型の重症BHSと診断し, 発作に一致して短時間の心静止を認めた. LEV開始後, 速やかに発作は消失し, 心拍数の安定が得られた. BHSは非てんかん性のanoxic seizureであり, 蒼白型BHSでは迷走神経の過緊張による心抑制が病態の中心である. 本症例でLEVが著効したメカニズムは不明であるが, 迷走神経を介した心抑制を改善したと考えられ, LEVは自律神経系への作用を有する可能性がある.
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