脳と発達
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44 巻 , 4 号
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巻頭言
総説
  • 山本 俊至
    2012 年 44 巻 4 号 p. 277-283
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     この30年来の分子生物学のめざましい進歩により, 多くの疾患責任遺伝子が明らかにされてきた. この間, 責任遺伝子の同定方法も時代に伴って変遷してきた. かつては壮大な研究計画を必要としたが, 最近ではたった1例の貴重な症例のデータが疾患責任遺伝子の単離につながることがある. 近年登場した次世代シーケンサーにより本格的なパーソナルゲノムの時代に突入したが, ベッドサイドで出会う, たった1例の貴重な症例の解析が, 原因が明らかでない疾患の責任遺伝子発見に繋がる可能性があることを知っておきたい.
原著論文
  • 松井 秀司, 中川 元, 武井 理子, 松田 光展, 武智 信幸, 和田 恵子, 赤星 恵子, 椎木 俊秀, 舟橋 満寿子, 鈴木 康之
    2012 年 44 巻 4 号 p. 284-288
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     重症心身障害児 (者) (以下, 重症児) の呼吸不全に対する非侵襲的陽圧換気療法 (noninvasive positive pressure ventilation, 以下NPPV) 20例を検討した. 有効例は, 急性期導入11例中10例, 慢性期導入9例中7例であった. 1年以上使用例は12例であった. 全例で合併症はなかった. 急性期NPPV症例では, 1例を除き, 導入早期に気道確保の工夫と適切なマスク選択によって換気効果が得られ, 挿管を回避できた. 開口例や上気道狭窄例では, チンストラップの併用が有効であった. 急性期回復後, 5例は早期に呼吸器を離脱した. 5例は長期使用へ移行し, 急性呼吸不全の再発を予防できた. NPPVは重症児の呼吸不全に対し有用な治療法と考えた.
  • 本山 和徳, 松坂 哲應, 長岡 珠緒, 松尾 光弘
    2012 年 44 巻 4 号 p. 289-294
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     注意欠陥/多動性障害 (以下AD/HD) 児12名, 広汎性発達障害 (以下PDD) 児12名 (7名はAD/HD症状を伴う) の計24名の母親に対してペアレントトレーニング (以下PT) を行った. PT後には, BDI-IIによる母親の抑うつ度は低下し, 養育自信度は22名で上昇が得られた. 小児行動チェックリストによる児の行動評価では全ての行動尺度において改善が得られたが, 中でも, 「ひきこもり」, 「身体的訴え」, 「攻撃的行動」, 「外向尺度」においては有意な改善が得られた. 対応に苦慮された児の行動は, 19名で改善, 5名で持続していた. PTは養育に困難を感じる親の抑うつ度を軽減すると共に, 養育自信を高め, さらに児の行動改善に有効であった.
  • 本澤 志方, 須貝 研司, 赤池 洋人, 中山 東城, 富士川 善直, 小牧 宏文, 中川 栄二, 佐々木 征行
    2012 年 44 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     授業中に落ち着かない, 勉強についてゆけない等の学習困難で初発し, 神経変性代謝疾患と診断された19例 (副腎白質ジストロフィー ; ALD 4例, 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 ; DRPLA 5例, Sanfilippo症候群3例, 亜急性硬化性全脳炎 ; SSPE 3例, 若年型Gaucher病・若年型Huntington病・若年型異染性白質ジストロフィー・Leigh脳症各1例) を検討した. これらの症例においては経過中, 著しい成績低下や行動異常がみられ, まもなくけいれん, 性格異常, 退行が起こり, 頭部CT, MRI, 顔貌異常, 家族歴などが手がかりとなって確定診断に至った.
     学業不振や学校不適応を指摘された症例においては, 学習困難や行動異常が進行する場合には速やかに小児神経科受診をすすめるよう, 教育現場および医療現場に周知させることが重要である.
  • 松尾 光弘, 松坂 哲應
    2012 年 44 巻 4 号 p. 300-304
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     難治性てんかん51症例にtopiramate (TPM) を投与し, 効果を判定した. 全体 (脳梁離断施行例16例, 半球離断術施行例1例を含む) での有効性 (50% responder rate, 以下50%RR) は39%にみられ, 症候性局在関連てんかん (SLE) の50%RRは58%であった. 特に前頭葉てんかん (FLE) の50%RRは88%と高い値を示した. 発作型では二次性全般化発作 (75%), 複雑部分発作 (67%) に高く, 次いで強直間代発作 (44%), 転倒発作 (29%) であった. 一方, 非定型欠神発作は71%に増悪例があった. 手術例の50%RRは22%で, 29%に悪化がみられたが, 今までの治療で効果がなかった症例にも有効例があった. TPMは難治性てんかんの幅広い発作に有用であったが, 個々の症例の特徴に応じた投与法を考慮すべきである.
  • 井上 岳司, 川脇 壽, 温井 めぐみ, 九鬼 一郎, 岡崎 伸, 富和 清隆, 天羽 清子, 外川 正生, 林下 浩士, 塩見 正司
    2012 年 44 巻 4 号 p. 305-309
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     発熱に伴うけいれん, 意識障害で当センター救急外来を受診し, 来院早期にペーパレス脳波を施行した症例を対象に, 予後との関係について検討した. 対象は58例 (男児25例, 女児33例) で, 年齢は5カ月~15歳4カ月 (平均4歳10カ月) であった. 最終診断は, 発熱に伴う反応不良, 熱せん妄が5例, 熱性けいれんが26例, 急性脳炎・脳症が24例, 軽症胃腸炎関連けいれんが2例, 無菌性髄膜炎が1例であった. 入院後24時間以内の紡錘波 (spindle wave) の出現は予後良好の要素, 速波成分を伴わない全般性で高振幅δ波, 基礎波の無律動, 平坦化は, 予後不良の要素であった. ベッドサイドでのペーパレス脳波は, 脳機能や経時的な治療効果の評価に有用であると考えられた.
  • 谷口 豪, 渡辺 雅子, 渡辺 裕貴, 岡崎 光俊, 村田 佳子
    2012 年 44 巻 4 号 p. 311-314
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     小児神経専門医のてんかんキャリーオーバー診療の現状をアンケートによって調べた. 小児神経専門医が診療しているてんかんの27%が成人患者であり, 中には高齢てんかんも含まれていた. 小児神経専門医の76%が成人てんかんの診療に困難を感じており, その理由の主なものは, 精神・心理的合併症, 内科的合併症, 近くに入院施設がない, の3つである. 以上からキャリーオーバーは切実な問題であり, 成人科への転科を妨げる因子を解決することが必要である. 日本小児神経学会と日本てんかん学会が, 日本神経学会, 日本精神神経学会, 日本脳神経外科学会の3学会と連携活動を行うことが肝要であると考えられた.
  • 原田 明佳, 辻 雅弘, 吉田 健司
    2012 年 44 巻 4 号 p. 315-319
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     細菌性髄膜炎で, 科学的根拠に基づかず抗菌療法が過剰に継続されていることがあり, その一つがMRI所見に基づいた治療期間の延長である. 今回, 細菌性髄膜炎12例の頭部MRI造影効果を硬膜下腔とくも膜下腔に分けて半定量的に点数化し, 解析したところ, くも膜下腔は12例中4例のみで造影効果の経時的増強が見られたのに対し, 硬膜下腔は10例で造影効果の経時的増強を認め, うち9例は追加治療を要さず良好な経過を辿っていた. この結果, 細菌性髄膜炎のMRIで, 病初期に比べ回復期で硬膜下腔造影効果が増強していることは通常の経過であり, それを根拠とした抗菌薬投与期間延長やMRI再検は必要ないことが示唆された.
  • 佐久間 隆介, 軍司 敦子, 後藤 隆章, 北 洋輔, 小池 敏英, 加我 牧子, 稲垣 真澄
    2012 年 44 巻 4 号 p. 320-326
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     コミュニケーション行動の習得にともなう行動変化の客観的な定量評価を目指し, 従来の行動観察法に加えて, 児の頭部方向を二次元平面上に展開する行動解析を行った. 発達障害児4名に, ソーシャルスキルトレーニング (SST) を行い, 前後の行動を比較した結果, ①コミュニケーション行動の増加と, ②ペア活動の相手を中心視野に捉えようとする注目行動の増加が認められた. ヒト位置情報の二次元尺度化は, ソーシャルスキルの治療的介入がもたらす行動における空間的時間的変化の可視化に有用であり, 従来の行動観察法を補う定量評価法の一つとして, 今後の応用が期待される.
  • 渡邉 誠司, 稲員 惠美, 矢野 正幸, 遠藤 ゆかり, 奥村 良法, 平野 恵子, 愛波 秀男
    2012 年 44 巻 4 号 p. 327-332
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】肢体不自由児は粗大運動能力の低下に伴い, 不動による骨減少症などのため易骨折性がある. 私たちは肢体不自由児の骨強度を調べ, その変化要因を検討した.
     【対象・方法】特別支援学校の生徒166名 (6~20歳) を対象に測定負担の少ない踵骨超音波音響的骨評価値 (OSI) を測定し, 1) 病的骨折回数, 2) 粗大運動能力GMFCS間の比較, 3) 上腕皮下脂肪厚とカウプ指数との相関, 4) 栄養摂取法, 食事形態による比較を行った.
     【結果】OSIは, 1) 病的骨折既往者は, 低値の傾向があった. 2) GMFCSレベルIはIIよりも, また, 座位以上者が, 臥位よりも有意に高かった. 3) 経管栄養者では低い傾向にあった.
     【結論】粗大運動能力が高いほどOSIは高値となり, 経管栄養者ではOSIは低値を示した.
短報
  • 西倉 紀子, 吉岡 誠一郎, 高野 知行
    2012 年 44 巻 4 号 p. 333-335
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Panayiotopoulos症候群 (PS) は嘔吐などの自律神経症状を中核とする小児期の年齢依存性てんかんである. 今回, 徐脈・無呼吸・意識障害を伴っていたため, 脳炎・脳症との鑑別を要したPSの女児例を経験した. PSの予後は良好で, 一般的には抗てんかん薬の内服を必要としない例が多い. しかし, PSには発作による心肺停止の症例報告もある. このためてんかん患者の予期せぬ突然死 (sudden unexpected death in epilepsy) の潜在的な原因となり得るてんかん病型でもある. 重篤な発作を伴うPSでは抗てんかん薬の内服治療が望ましい症例のあることを強調した.
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