脳と発達
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44 巻 , 5 号
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巻頭言
総説
  • 新宅 治夫
    2012 年 44 巻 5 号 p. 361-367
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     小児神経伝達物質病は幼少期より発症するまれな遺伝性疾患としてその原因により個別に研究されてきたが, いずれも中枢神経系に症状があり代謝異常に起因する小児神経疾患として早期に適切な診断と治療が必要である. しかしながら, 臨床症状による診断は困難であり適切に診断されず有効な治療を受けられていない可能性がある. これらの疾患について, 小児神経伝達物質病として総合的に検討し, 病態生理のさらなる理解, 診断基準の確立, 我が国における患者数, 分布の把握が行われている. 新生児マススクリーニングで発見できない希少疾患の早期診断と効果的な新しい治療法の確立は急務であるが, 超希少疾患の場合に医療関係者への疾患概念の周知が重要である.
原著論文
  • 鈴木 浩太, 北 洋輔, 井上 祐紀, 加我 牧子, 三砂 ちづる, 竹原 健二, 稲垣 真澄
    2012 年 44 巻 5 号 p. 368-373
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     出産から産後約7年6カ月までの縦断的データを用いて, 母親が得た豊かな出産体験が学童期の子どもの行動に与える影響について検討した. 構造方程式モデリングの結果, ①助産所における出産は, 出産体験の豊かさを高める, ②出産体験の豊かさは, 乳幼児期における養育の暖かさを増加させる, ③幼児期での養育が暖かいと, 学童期の子どもの向社会性を増加させ, かつ困難さを減少させる, ④幼児期の子どもの扱いにくさは, 学童期の子どもの困難さを予測することが明らかとなった. すなわち, 学童期の子どもの行動を改善させる要因として, 母親の出産体験の豊かさと養育の暖かさが影響することが示された.
  • 大瀧 潮, 小沢 浩, 石塚 丈広, 上石 晶子, 佐々木 匡子, 中島 末美, 片山 綾子, 有本 潔, 柳橋 達彦, 木実谷 哲史
    2012 年 44 巻 5 号 p. 374-377
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】経管栄養を行っている低アルブミン血症の重症心身障害児 (者) (以下, 重障児 (者) ) において, 血清カルニチン値を検討する.
     【方法】対象は島田療育センター入所中で経管栄養のみ行っている重障児 (者) のうち血清アルブミン値が3.4g/dl以下であった21名である. 身体計測, 血液検査, 血清カルニチンを測定した.
     【結果】19名において総カルニチン値が基準値未満 (基準値45~91μmol/l) で, valproate sodium (VPA) 内服群では非内服群に比べ有意に総カルニチン値が低下していた.
     【結論】経管栄養のみの重障児 (者) で特にVPA内服時は2次性のカルニチン欠乏に陥りやすいため, カルニチンを日常的に補充し, Fanconi症候群などの欠乏症状の早期発見のため定期的な検尿の必要がある.
  • 岡 牧郎, 竹内 章人, 諸岡 輝子, 花房 香, 荻野 竜也, 大塚 頌子
    2012 年 44 巻 5 号 p. 378-386
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】広汎性発達障害 (PDD) と注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) に合併する読字障害の頻度と特徴を明らかにする.
     【方法】4つの音読課題からなる読字検査の音読時間と誤読数を評価した. 対象はPDD 31例 (男22, 女9), AD/HD 39例 (男33, 女6). 定型発達児と比較して, 音読時間が+2.0SD以上の課題が2つ以上の場合を読字困難 (poor reader ; PR) と判定した.
     【結果】PRはPDD 8例 (25.8%), AD/HD 17例 (43.6%) であった. AD/HD 39例には主訴が読み書き困難である13例が含まれていたが, 残りの26例ではPRは5例 (19.2%) であった. また, 読み書き症状チェック表によると, PR群全例が日常生活において読みの拙劣さを有していた.
     【結論】PR群は読字障害である可能性が高く, PDDやAD/HDでは, 主訴にかかわらず読字障害の合併の有無について検討すべきである.
症例報告
  • 岡本 健太郎, 斎藤 加代子, 佐藤 孝俊, 石垣 景子, 舟塚 真, 大澤 真木子
    2012 年 44 巻 5 号 p. 387-391
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     脊髄性筋萎縮症は, 発症年齢と重症度に基づきI型, II型, III型に分類される. 今回我々は0型といえる最重度の症例を経験した. 症例は2カ月, 女児. 在胎41週2日に出生, 出生直後より呼吸不全, 筋緊張低下, 哺乳不良を認めた. 当科入院時は著明な筋緊張低下, 筋力低下, 胸郭の変形, 四肢の関節拘縮, 嚥下不能, 誤嚥性肺炎を認めた. 舌の線維束性収縮を認め, 深部腱反射は消失し, 運動神経伝導速度検査ではM波の出現なく有意な筋収縮を認めなかった. 遺伝子検査よりSMN遺伝子, NAIP遺伝子の欠失を認めた. 最重度の経過であり, 胎児期発症と考えられ, 脊髄性筋萎縮症0型と診断した. 0型の報告は少なく, 若干の考察も含めて報告する.
  • 丸山 茂, 須田 昌司, 小林 武弘
    2012 年 44 巻 5 号 p. 392-396
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     左内頸動脈 (ICA) 欠損からone-and-a-half症候群を発症したと思われるDiGeorge症候群 (DGS) の1例を経験した.
     本例はMRA上で左ICA欠損を呈し, 左中大脳動脈は左後交通動脈から血流を受けていた. 左ICA欠損の病因は右総頸動脈の分岐低位と併せて, 第3大動脈弓の発生異常が推測された. 眼症状の病因は, ICA欠損に関連した胚子期の脳底動脈域の虚血, これによる橋被蓋の障害が推測された. これまでにDGSとICA欠損の合併の報告は確認されていない. 本例では染色体22q11.2の欠失やTBX1の変異はなく, DGSの発症機序は不明であった.
  • 相崎 貢一, 津留 智彦, 奥村 恵子, 近藤 典子
    2012 年 44 巻 5 号 p. 397-400
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     A群コクサッキーウイルス感染に伴う急性脳炎・脳症の3例を経験した. コクサッキーウイルスA6が検出された4歳女児は, 第4病日に上半身の発疹を生じ, けいれんを発症した. 急速に心肺停止をきたし, 頭部CTで高度の脳浮腫を呈し, 死亡した. 神経学的後遺症を残した2例は, けいれん重積の抑制にバルビタール系薬剤を必要とし, 頭部MRIの拡散強調像で信号異常を呈した. 大脳皮質下白質に高信号域を認めた5歳女児は, けいれん重積型脳症であり, 両側海馬に高信号域を認めた2歳男児は, 傍感染性辺縁系脳炎・脳症と考えた. A群コクサッキーウイルスは, 小児の急性脳炎・脳症の原因ウイルスとして, 注意する必要がある.
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