脳と発達
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45 巻 , 1 号
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巻頭言
総説
  • 佐々木 征行
    2013 年 45 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     たとえ原疾患の治癒が見込めなくとも, 重い障害を持つ人の能力を最大限引き出し, 身体と生活の両面を支えることが重症心身障害医療である. 特に超重症児に対しては快適な生命維持を目標とする緩和医療的側面ももつ. 家族も医療者も子ども達の現状を正確に受け止め, 現実を受け容れるしかない. 医師以外にも多職種がチームとして関わり, 本人および家族の苦痛をとりながら, 彼らが充実した毎日を送れることを目指している. 重要なことは, 重症心身障害児本人にとっても家族にとっても悔いのない人生を送ってもらうことであり, 単なる時間的長さの延長ではない. 超重症児と脳死は混同されるべき概念ではない. 元気な人も障害をもつ人も安心して暮らしていける社会を作ることが理想である.
原著論文
  • 藤野 陽生, 齊藤 利雄, 井村 修, 松村 剛, 神野 進
    2013 年 45 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     【目的】Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) 児への病気説明には, さまざまな困難があり, 専門医がどのように説明を行っているかを検討する.
     【方法】日本小児神経学会認定小児神経専門医1,022名にDMD児の仮想事例を用いた質問紙調査を行った.
     【結果】311名から回答を得た. 患児への説明をカテゴリー化した結果, 症状説明など医学的な視点だけでなく, 生きがいを伝えるなど人間的な支えの視点もみられた. 説明時には両親の理解や受容が重要であり, 病名を伝える際には心理職などの必要性や一定年齢以上なら病名を伝える考えに同意した医師が多かった.
     【結論】患児への病気説明時に重要な要因および医師の考えの現状が明らかとなった.
  • 加藤 聰
    2013 年 45 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     【目的】経腸栄養剤にカルニチンが添加してあるものは少なく, valproate sodium (VPA) 投与患者において, 普通食摂取 (児) 者より経腸栄養 (児) 者の方がより血中カルニチン値が低下することが考えられ, これらを測定し, 検討した.
     【方法】当施設にて加療中のてんかん患者45例を, 栄養形態で分け, 血中遊離カルニチン濃度を測定し, 検討した.
     【結果】血中遊離カルニチン値は, 経腸栄養 (児) 者の方が有意に低下していた.
     【結論】経腸栄養剤にはカルニチンが添加されていないものが多く, VPA内服時に経腸栄養剤のみを摂取すると, カルニチンがより低値となる. VPA内服において, 特に経腸栄養 (児) 者には, 栄養剤にカルニチン添加が必要であると考えられた.
  • 鈴木 俊彦, 城所 博之, 久保田 哲夫, 夏目 淳, 根来 民子
    2013 年 45 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     【目的】拡散テンソル画像 (DTI) を施行した脳室周囲白質軟化症 (PVL) 児を対象に, PVLの重症度とDTIのfractional anisotropy (FA値) との関係を検討する.
     【方法】対象はPVL児のうちDTIを施行した16例である. PVLの重症度として, MRI画像上白質障害が側脳室三角部に限局した軽症群と前方まで及ぶ重症群に分類し, 運動機能上, 立位可群と立位不可群に分類した. その上で各々FA値との関係を検討した.
     【結果】MRI画像上, 軽症群より重症群の方が頭頂葉・後頭葉白質を中心にFA値の低下を認め, 運動機能上, 立位可群より立位不可群でFA値の低下を認めた.
     【結論】PVLの重症度を評価する方法としてDTIの有用性が示された.
  • 奥野 裕子, 永井 利三郎, 毛利 育子, 吉崎 亜里香, 山本 知加, 酒井 佐枝子, 岩坂 英巳, 谷池 雅子
    2013 年 45 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     【目的】広汎性発達障害児 (PDD) を対象に, ペアレントトレーニング (PTSS) の有用性について検討したので報告する.
     【方法】対象は就学前から学童期のPDD児の親30名 (既報の14例を含む). 家族の自信度評価票 (CDQ) および子どもの行動チェックリスト (CBCL) の記載をPTSSの前後で依頼するとともに, 養育者の発言記録を川喜田二郎 (KJ) 法で分析した.
     【結果】既報と同様にCDQに改善を認め, 今回はCBCLのT値に有意な低下を認めた.  KJ法の結果では, 母親の認識の変化が示された.
     【結論】これらの結果は, PTSSがPDD児に対して有効な支援であることを, より強く支持するものと考える.
  • 富澤 弥生, 佐藤 利憲, 横山 浩之
    2013 年 45 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     【目的】注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) の子どもの心理療法として開発されてきたペアレントトレーニング (PT) を, AD/HD併存と診断・疑診された高機能広汎性発達障害 (HFPDD) の子どもを持つ保護者 (以下HFPDD+AD/HD群) に行い, 子どもの行動への効果を検討した.
     【方法】HFPDD+AD/HD群と, HFPDDを除外されたAD/HDの子どもをもつ保護者 (以下AD/HD群) とにPTを行い, 子どもの行動観察 (家庭状況版) および保護者のSUBI (心の健康自己評価質問紙) 比較した.
     【結果】PTは, AD/HD群と比較して, HFPDD+AD/HD群の子どもの行動をあまり改善しなかった. また, PTは, AD/HD群の保護者のSUBI指標による「心の健康度」「心の疲労度」を改善したが, HFPDD+AD/HD群については改善しなかった.
     【結論】近年, PDDとAD/HDとの合併診断を許容することが増加しているが, AD/HDの子どもを対象として開発されてきたPTをAD/HDの併存診断されたHFPDDの子どもの保護者に行うことは避けたほうがよい. HFPDDの子どもをもつ保護者のために特化した, 新たな方策が期待される.
  • 福田 邦明, 中川 義信
    2013 年 45 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     【目的】重症心身障害児 (者) (重症児 (者)) の粗大運動能と死亡原因の関係について検討する.
     【方法】国立病院機構内重症児 (者) 病棟における死亡症例のアンケート調査結果を基に, A群 (寝たきり: 479名), B群 (寝返り可能: 31名), C群 (座位可能: 53名), D群 (歩行障害: 22名) に分け, 合併症, 死亡病名, 死亡時年齢を検討した.
     【結果】合併症は, A群に比べB群の嚥下障害の頻度が有意 (p<0.05) に少なく, C群の胃食道逆流症はA・B群に比べ有意 (p<0.05) に少なかった. A群の死亡病名は他群に比べ呼吸器系疾患が多く, 平均死亡時年齢が10歳以上 (p<0.01) 若かった.
     【結論】重症児 (者) の粗大運動能は呼吸・消化器系の合併症と関連し, 生命予後に影響した.
症例報告
  • 海老島 優子, 三崎 貴子, 大和 謙二, 奥野 毅彦, 和田 敬仁, 末廣 豊
    2013 年 45 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     12歳から無呼吸発作を繰り返したX連鎖αサラセミア・精神遅滞 (ATR-X) 症候群の1例を報告した. 発症時の検査では, 簡易ポリグラフおよび喉頭ファイバーによる上咽頭の狭窄と喉頭軟化症の所見から閉塞性無呼吸と診断した. 1年半後の再評価では, 閉塞性無呼吸に加え, 中枢性無呼吸や混合性低呼吸の混在が明らかになった. ATR-X患者で無呼吸発作についての検討は少ない. ATR-Xに合併する無呼吸の原因として喉頭軟化症を考慮すべきである. また, 経過中に無呼吸の原因が変化する可能性があるため, 無呼吸の原因に応じた治療法を選択することが重要である.
  • 池田 妙, 下野 九理子, 岩谷 祥子, 北井 征宏, 橘 雅弥, 富永 康仁, 沖永 剛志, 永井 利三郎, 大薗 恵一
    2013 年 45 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     幼児期発症の再発寛解型多発性硬化症 (MS) の頻回再発症例に対し, cyclophosphamide (CyP) パルス療法を施行した. 5歳時に頭痛と意識障害で発症し, ステロイド (mPSL) パルス療法, 免疫グロブリン大量療法, Interferon-β 1b, azathioprine (AZP) で治療するも12回の再発を繰り返した. 15歳時歩行障害で再発し, mPSLパルス施行1カ月後にも画像上の再発を認め, CyPパルス (600mg/m2) 1回/月を12カ月間施行した. 重篤な副作用は認めず, IFN-β 1aとAZPとの併用で3年間再発を認めていない. CyPパルス療法は頻回再発型小児期発症MS例に対して治療選択肢の一つになると考えられた.
  • 三谷 忠宏, 大塚 佳満, 山元 佳, 渡辺 好宏, 辻 恵, 鮫島 希代子, 相田 典子, 佐藤 武志, 和田 敬仁, 小坂 仁
    2013 年 45 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     けいれんで発症し, 精神症状や不随意運動を呈し, 血液および髄液から抗NMDA受容体抗体が検出され, 非腫瘍性抗NMDA受容体抗体脳炎と診断した8歳男児の症例を報告した. 急性期のステロイドパルス療法やガンマグロブリン療法は効果がなかったが, 月1回合計3クールのcyclophosphamide (CPA) のパルス療法 (500mg/m2) 後から髄液NMDA抗体価と平行して, 症状が急速に改善し始め, 発症6カ月後に明らかな神経学的合併症なく治癒した. CPA療法は, 本症の小児における免疫抑制療法として, ステロイド療法やガンマグロブリン療法とともに考慮されるべき治療である.
  • 石井 雅宏, 下野 昌幸, 千手 絢子, 福田 智文, 塩田 直樹, 楠原 浩一
    2013 年 45 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     ACTH療法が奏功したepileptic spasms without hypsarrhythmia (以下ESWoH) の2例を経験した. 1例目は1歳6カ月男児. 1歳4カ月までの発達はほぼ正常で, この頃から点頭発作が出現した. 睡眠時脳波ではヒプスアリスミアを認めず, 1秒程度の全般性多棘波がバースト状に頻回に出現し, ESWoHと診断した. ACTH療法で発作は消失した. 2例目は7歳男児. 1例目同様に1歳6カ月頃までの発達はほぼ正常で, この頃から点頭発作が出現した. 他院で抗てんかん薬の単剤または2∼3剤の組み合わせで加療を受けたがコントロールは不良であった. 睡眠時脳波は, 1例目と同様でありESWoHと診断した. 7歳時にACTH療法を施行し, 発作は消失した. ESWoHは抗てんかん薬のみではコントロールが困難であり, 予後改善には早期のACTH療法が必要と考えられた.
短報
  • 長嶋 雅子, 森 雅人, 門田 行史, 山形 崇倫, 野崎 靖之, 福田 冬季子, 杉江 秀夫, 桃井 真里子
    2013 年 45 巻 1 号 p. 62-63
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     軽症胃腸炎に伴うけいれん (benign convulsions with mild gastroenteritis;CwG) と診断され入院した18例の臨床像と治療効果を検討した. 発症年齢は6カ月から2歳5カ月, 胃腸炎の症状からけいれんの発症までの期間は, 平均2.2日, 便中ロタウイルス抗原が検査した半数で陽性であるなど臨床像はこれまでの報告と同様であったが, 後に3例がてんかんと診断された. 治療効果に関しては, 12例と少数であるが, phenytoinが全使用例で有効であり, 従来報告されているcarbamazepine, lidocaine同様に発作抑制に有効であると推察された.
  • 山下 哲史, 千代延 友裕, 吉田 路子, 諸戸 雅治, 森田 高史, 森岡 茂己, 加藤 光広, 才津 浩智, 森本 昌史, 細井 創
    2013 年 45 巻 1 号 p. 64-66
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
    STXBP1変異による大田原症候群の1例を経験した. 新生児期に部分発作で発症し, 生後1カ月よりepileptic spasmsが出現した. その後, 種々の抗てんかん薬およびACTH療法に対して難治に経過したにもかかわらず, 生後8カ月より開始したlevetiracetam (LEV) が著効した. STXBP1変異がもたらすてんかんの病態とLEVの作用機序を考察する上で示唆に富む症例と考えられたため報告する. 一方で, 発作が抑制されたにもかかわらず痙性を伴う重度の発達遅滞を呈しており, STXBP1のハプロ不全はてんかんのみならず, 神経機能に重大な障害を引き起こすことが示唆される.
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