症例は2歳男児. 胎児期より脳室拡大を指摘され, 出生後の脳MRIで前頭優位の厚脳回を伴った皮質下帯状異所性灰白質 (subcortical band heterotopia;SBH) と診断された. 生後5カ月時に点頭てんかんを発症したが, 治療に対する反応は良好で, 発達遅滞は軽度であった. 患児と両親の
doublecortin (
DCX) 遺伝子解析で患児のみミスセンス変異と正常塩基配列の混在を認め, 新規変異による体細胞モザイクが原因であると推測した.
DCX遺伝子変異のある男児は, 古典型滑脳症を呈し, 重度の発達遅滞や難治てんかんを合併することが多いが,
DCX体細胞モザイクのある男児の場合は, SBHという表現型をとり得る. 本報告はその事実の蓋然性を高めた.
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