脳と発達
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46 巻 , 2 号
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巻頭言
特集・第55回日本小児神経学会学術集会
会長講演
  • 泉 達郎
    2014 年 46 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     West症候群と, その主要原因疾患である結節性硬化症の基礎的成因と点頭てんかん発症の病態, 治療法の改善を目的に臨床と研究を継続し, 啓発された関連研究論文と対比しながら以下の項目で, これまでの推移を概説した.
    1. 点頭てんかん研究の端緒となった症例と疾患 : 新生児・乳幼児期発症の膵島細胞症と高インスリン血症性低血糖発作, ミオクロニー発作の群発
    2. ACTH-Znの点頭てんかん抑制機序と副作用, 脳発達への影響 : 甲状腺ホルモンはてんかん閾値を低下させる
    3. 大脳神経成熟障害とCSFガングリオシドの発達特性 : 広汎な大脳神経細胞, 樹状突起, シナプシスの形成, 成熟障害が存在
    4. West症候群発症基礎病態の臨界期 : 胎生前期から後期, 周産期まで広い期間の障害が発症要因となりうる
    5. 結節硬化症における点頭てんかん発症機序と, その予後不良因子連鎖
    6. 治療法改善の試み ; ビタミンB6の有効性は活性型B6-PALP-濃度に相関. 結節性硬化症大脳皮質結節内血小板血栓形成とその予防
基調講演
  • 鈴木 義之
    2014 年 46 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     六単糖ガラクトースまたはグルコースを含有する複合糖質代謝異常症の研究成果をまとめた. 特にガラクトース分子の加水分解酵素の複雑な細胞内病態を解析し, 変異蛋白質の物性を詳細に検索した結果, 新しい分子治療法の開発に向けた研究に進展した. 我々がシャペロン療法と呼ぶこの治療的アプローチは化合物の経口投与により脳の遺伝病を治療するという, これまでにない新しい発想による試みである. 今後, ライソゾームという細胞内の特殊な環境に発生する病態のみならず, 変異蛋白質のミスフォールディングにかかわる多くの神経遺伝病治療に広がる可能性を持つと予想される.
シンポジウム6:筋ジストロフィーの治療戦略―国際ガイドラインをふまえて
  • 松尾 雅文, 埜中 征哉
    2014 年 46 巻 2 号 p. 87-88
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
  • 小牧 宏文
    2014 年 46 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     筋ジストロフィーは経過とともに様々な合併症を示すようになるが, 診断, 薬物治療, リハビリテーション, 整形外科, 呼吸, 循環器, 栄養, 心理社会的などの課題に対し, 多職種が連携し継続して適切な医療を提供することが生命予後, QOLの向上にも大きく貢献する. 筋ジストロフィーは遺伝子治療, 再生医療, 薬物開発などの治療研究が盛んに行われている. エクソンスキッピング療法やリードスルー療法など遺伝子変異特異的な臨床試験が開始されており, 臨床試験を効率よく行っていく体制整備が求められている. 我々は患者登録システム (Remudy) や筋ジストロフィー臨床試験ネットワークを設立し, 臨床試験の促進を目指した活動を展開している.
  • 前野 崇
    2014 年 46 巻 2 号 p. 94-97
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Duchenne型筋ジストロフィーは小児期に発症し成人前に歩行不能となりやすい筋疾患である. かつては進行する機能障害のため短命だったが近年は徐々に余命が改善している. そのため必要なリハビリテーションは, 関節拘縮予防, 側弯変形の予防など機能維持のための予防的対応, 補装具や電動車いす, 非侵襲的人工呼吸器, IT機器など喪失した機能を補う代償的対応, また患者及び家族 (介護者) のQOLを高める社会的対応, 心理的対応である. 患者のQOLを改善するためにこれらのリハビリテーションをより積極的に行うことが必要である.
  • 松村 剛
    2014 年 46 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Duchenne型筋ジストロフィーは, 呼吸管理や心筋障害治療などの集学的医療により生命予後が改善し, 療養の場も施設から在宅へと拡大した. 進行性難病では経過中に生じる問題へ予見的に対応することが重要だが, 一般医が稀少疾患の十分な経験を積むことは困難で, 標準的医療の均霑化が課題となっていた. われわれは, 本症の抱える多様な医療課題に対し, エビデンスとエキスパートの総意に基づく推奨によりガイドラインの作成を試みた. 本ガイドラインが, 本症の医療レベル向上と医療連携の推進に寄与することともに, 作成中に明らかとなった臨床課題への臨床研究や治験・臨床試験の推進にも繋がることを期待する.
  • 石川 悠加
    2014 年 46 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Duchenne型筋ジストロフィー (Duchenne muscular dystrophy ; DMD) において, 非侵襲的陽圧換気療法 (non-invasive positive pressure ventilation ; NPPV) により終日までの換気を維持し, 徒手や機械による咳介助を行い, 窒息と気管切開を回避して, QOLと予後を改善する. 認知障害を合併しやすいDMDにおいて, 睡眠呼吸障害に伴う睡眠の質の低下が, 認知障害の悪化に関係する可能性がある. NPPVにより睡眠の質を改善することにより, 認知障害にも変化をもたらすことができるのかの検討が期待されている. 本邦において, NPPVと咳介助と心保護治療により, DMDの50%生存年齢は39.6歳と報告されたが, 全米の筋ジス専門クリニックにおけるDMDの生命予後の差を是正することが課題とされている. 国際ガイドラインに基づくNPPVや咳介助の医療環境整備が早急に求められる.
  • 竹島 泰弘
    2014 年 46 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Duchenne型筋ジストロフィーではジストロフィンの発現を誘導することが根本治療となる. 現在, 変異ジストロフィン遺伝子からの遺伝情報を修飾することによる分子治療が注目されている. 「アンチセンスオリゴヌクレオチドによるエクソンスキッピング誘導治療」はスプライシングの過程で欠失領域に隣接するエクソンスキッピングを誘導しアミノ酸読み取り枠のずれを修正するものであり, 「ナンセンス変異リードスルー誘導治療」は翻訳の過程でナンセンス変異を読みとばすものである. その一部は, すでに治験が開始されており, これらの治療が一日も早く多くの患者さんのもとへ届けられることが期待される.
シンポジウム11:ゲノムの構造・機能から見た発達障害疾患の病態理解
  • 呉 繁夫, 山本 俊至
    2014 年 46 巻 2 号 p. 115-116
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
  • 髙橋 悟
    2014 年 46 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     Rett症候群は, 主に女児に発症する神経発達障害である. その診断は, 臨床症状に基づいて行われ, 回復期や安定期が後続する神経症状の退行があることを必要要件とする. 病因遺伝子は, メチル化DNAに結合して遺伝子の転写を制御するmethyl-CpG-binding protein 2 (MECP2) をコードする. Rett症候群に類似するが異なった臨床経過を示すものを非典型的Rett症候群とよび, “早期発症てんかん型” や “先天型” が知られている. 前者の病因遺伝子は, 樹状突起棘に局在するリン酸化酵素cyclin-dependent kinase-like 5 (CDKL5) をコードしている. 後者の病因遺伝子は, 終脳の発生に重要な転写因子forkhead box G1 (FOXG1) をコードしている. このように非典型的Rett症候群の病態は, 典型的Rett症候群とは異なることを理解する必要がある.
  • 坂爪 悟
    2014 年 46 巻 2 号 p. 121-124
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     46, XY, der (X), t (X ; 15) (p21.1 ; q11.2), -15の核型を有する重い発達障害を持った男児について検討する. 患児の染色体不均衡は15q-と遺伝情報に乏しい15qの微細領域のみである. 15pの欠失は病的意義を持たないことは, この患児派生染色体の15qの一部が高メチル化・不活化したことで発達障害をもたらしたと推測する.
  • 山形 崇倫, 松本 歩, 永田 浩一
    2014 年 46 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorder ; ASD) では, 染色体微細構造異常が患者の10~20%で検出され, 候補遺伝子解析や全エクソーム解析で病因遺伝子が多数同定されている. 病因遺伝子には, シナプス結合, シナプスでの翻訳や神経伝達物質の調整に関連する遺伝子等があり, 主要病態はシナプス結合・機能異常である. 我々は, 知的障害患者でLIN7Aを含む欠失, ASD患者でLIN7B重複, スプライス部位変異を検出し, マウス子宮内遺伝子導入技術等でLIN7が神経系に重要な作用を持つことを示した. LIN7は, SHANK3同様, シナプス結合や機能に関与する分子の安定化や機能を調節する足場蛋白で, ASDの病態解明に足場蛋白は重要な分子である.
  • 山本 俊至
    2014 年 46 巻 2 号 p. 131-135
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     近年のDNA解析技術の著しい進歩により, これまでまったく原因がわからなかった疾患の原因遺伝子や染色体異常などが明らかになってきた. 特にマイクロアレイ染色体検査の普及により新たに明らかになったゲノムコピー数異常, あるいは染色体微細構造異常においては, 自閉症スペクトラム障害を示すものが多い. 患者レベルで見つかる変異は様々であり, 1つの原因では説明ができない. しかし, 神経細胞のシナプス機能に関連している遺伝子のコピー数変化が関与していることが多いということがわかってきた. 今後研究が加速し, さらに多くのことが明らかになると思われる.
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