結節性硬化症は, 大脳に発生する皮質結節により, てんかんを発症させる. てんかんは結節性硬化症の患者の60~90%に認められ, その内50~80%は難治性てんかんとなる. 多発性に結節を有する患者の脳は, てんかんのネットワーク形成が広く, 強いてんかん原性の原因と考えられる. 発症初期には単一の焦点にみえても, 両側半球に, 複数もしくは広範にてんかん原性部位が広がる症例がある. レム睡眠時を含む長時間脳波解析はspikeの側方性を確認することができ, てんかん外科治療の手術側の決定に応用できる. 脳磁図は等価電流双極子の分布状態 (cluster, scatter) を調べることで, てんかん原性部位の決定に応用できる.
皮質結節で特徴づけられる複数の病変を有する結節性硬化症の患者においても, 頭皮上脳波モニタリングや脳磁図などで, てんかん原性領域を1カ所に同定できる症例があれば早期手術を推奨する. 複雑なてんかんネットワークが存在するため, 容易に二次性てんかん原性を獲得しうるが, そのような場合でも広範な皮質切除でてんかん発作抑制が可能である. 2剤以上の抗てんかん薬に抵抗性を示し, かつ皮質切除を行っても機能温存することが可能な結節性硬化症の患者には積極的な外科手術を薦める.
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