脳と発達
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47 巻, 3 号
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巻頭言
インタビュー・理事長に聞く
総説
  • 犬童 康弘
    2015 年47 巻3 号 p. 173-180
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     神経成長因子 (nerve growth factor ; NGF) は, ニューロンの生存・維持にはたらく神経栄養因子のひとつである. 先天性無痛無汗症 (congenital insensitivity to pain with anhidrosis ; CIPA) の原因は, チロシンキナーゼ型神経成長因子受容体遺伝子NTRK1の機能喪失性変異である. この結果, 患者ではNGF依存性一次求心性ニューロンと交感神経節後ニューロンが欠損する. NGF依存性一次求心性ニューロンは, 温覚・痛覚だけでなく種々の刺激に反応するポリモーダル受容器で, 身体の内部で起こる変化をモニターする内感覚 (interoception) に必要不可欠な役割をはたす. また, アレルギー性炎症を含む種々の炎症にも関与する. さらに, 交感神経節後ニューロンとともに, 脳・免疫・内分泌系との相互作用を介して, 恒常性維持や情動反応にも関与する. 痛みは情動と密接に関連し, 情動は交感神経の活動による身体反応を伴うことが特徴である. 私たちが日常的に抱いているネガティブな印象に反して, 情動はヒトの意思決定や理性的な判断に大きな役割をはたすという「ソマティック・マーカー仮説」が, Damasioにより提唱されている. この仮説によると情動が起こるためには, まず脳と身体の相互作用が起こることが必要である. 本論文では, CIPAの病態をもとにNGF依存性ニューロンが恒常性維持と情動反応の神経ネットワークを形成すること, またこの神経ネットワークが脳と身体の相互作用に必須な役割をはたしていることを紹介する.
特集・第56回日本小児神経学会学術集会
シンポジウム2:発達性読み書き障害(dyslexia)診断と治療の進歩:医療からのアプローチ
  • 稲垣 真澄, 小枝 達也
    2015 年47 巻3 号 p. 181-182
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
  • 加我 牧子
    2015 年47 巻3 号 p. 183-186
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     1896年, 世界初のdyslexiaの症例報告がなされて以来, 今日までの130年近くの間に, 医学, 教育学, 言語学, 心理学などひろい立場からの関心が寄せられてきた. dyslexiaは使用される言語により発現頻度は異なるものの, 日本語話者においても決して稀ではない. 先人のたゆまぬ努力によりdyslexiaは, 正確な診断と治療, 適切な支援が必要な神経学的疾患・病態であることがようやく共通の認識となってきた. 第56回小児神経学会においてdyslexiaの診断・治療の進歩, 医療からのアプローチというシンポジウムが企画される時代となった機会に, dyslexiaの初期の歴史とエピソードを紹介した.
  • 稲垣 真澄
    2015 年47 巻3 号 p. 187-193
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     発達性読み書き障害 (developmental dyslexia ; DD) は全般的知能が正常で学習意欲があるにもかかわらず, 読み書きの発達が特異的に障害される. 単語認識における正確性かつ/または流暢性の客観的な把握が重要で, ひらがな音読, 数字と線画呼称の定型発達を小学生で確認し, 読み書きにつまずきを持つ小中学生の臨床症状と音読特徴を検討した. その結果, 読字・書字各15項目からなる臨床症状のうち7つが該当し, ひらがな音読課題2つに異常がみられる場合に, DD群は感度と特異度がバランス良く, 非DD群と弁別できることが判明した. DD診断手順として, 詳細な問診と小児神経学的診察ののち, 知能の把握を行い, 読み書き能力評価, 認知機能評価, 他の発達障害の併存有無の確認を行い, 総合的に行うべきと考えた.
  • 北 洋輔
    2015 年47 巻3 号 p. 194-197
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     発達性ディスレクシア (developmental dyslexia ; DD) に関する脳機能研究について概観した. 脳機能研究は, 文字の読みそのものに関わる脳機能の検討と, 読みを支える認知的要因の検討の二つに大別され, 後者はDDの病態解明を目指すアプローチとされる. 我々は後者に着目し, 日本語話者のDDの病態解明に取り組んでいる. 音韻処理に関わる脳機能研究からは, 大脳基底核など日本語独自の病態が示唆される一方, 大細胞系視知覚に関わる研究からは, アルファベット語圏と共通する病態の存在も見出された. これらから, 日本語話者のDDの病態にいくつかのサブタイプが存在することが示唆されるとともに, 今後はサブタイプに応じた適切な治療や教育の選択が期待される.
  • 関 あゆみ
    2015 年47 巻3 号 p. 198-202
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     学習障害の治療的介入の中心は障害特性を踏まえた個別の学習指導である. 教育と医療の連携においては, 医療側は医療にしかできない対応や医師の視点からの助言をきちんと行うことが重要である. 介入に対する反応 (response to intervention : RTI) モデルによる介入の実践を通して明らかとなった医療の役割を中心に, 発達性ディスレクシア (developmental dyslexia ; DD) の治療介入における医療の役割を述べた. ①医学的診断, ②鑑別疾患と併存疾患の診断と治療, ③長期的な見通しをもった説明と告知, ④遺伝疾患としての理解と対応, ⑤リハビリテーションの視点に基づく指導・支援方針への助言, を挙げた. 必要に応じた薬物治療やリハビリテーションの利用も含め, 教育と連携しながら継続的に関わっていくことが求められる.
  • 林 隆
    2015 年47 巻3 号 p. 203-206
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     学習の障害に起因する行動特徴は学校現場で支援の対象というよりも否定的な評価を受ける対象となっている可能性がある. 一般集団では, 読みに障害があっても, そのことが直接的に情緒の発達に強く影響を及ぼすことがないことが示唆された. 読み障害の中でも不登校を主訴とする児は読み障害の程度は軽いが, 抑うつ度が高く特有の支援ニーズをもつ可能性が示唆された. 不登校を示す読み障害児のWISCの特徴は他の指数に比べて, 処理速度が高いことで, 言えばできるが, 自分では行動できないことが状況から, 教員からは怠け・やる気がないと捉えられ, 支援ではなく強い指導を受ける可能性が高く, これが不登校の引き金になっている可能性がある.
  • 小枝 達也
    2015 年47 巻3 号 p. 207-211
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     Dyslexiaのおもな病態は, 音韻処理障害という脳機能の障害であると考えられるようになった. DyslexiaはDSM-5では神経発達障害に分類されていて, 読字障害という限局性学習障害の代替的な用語であると記載されている. つまりdyslexiaは一つの臨床的な単位であるとみなされるようになった.
     本邦においても診断や治療にかかわる臨床的な研究が進んできている. 我々が開発した音読検査は, dyslexiaの診断に向けた検査として, 診療報酬点数の算定ができるし, 音読困難という症状を緩和する指導法の開発も進んできている. Dyslexiaは教育の問題として考えるだけでなく, 医療の対象とすべき時が来ている.
シンポジウム4:発達障害はいつ形成されるか? 先天性? 後天性? あるいは両方か~発症および病態修飾のメカニズムについて~
  • 久保田 健夫, 福岡 秀興
    2015 年47 巻3 号 p. 212-214
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
  • 神保 恵理子, 桃井 真里子
    2015 年47 巻3 号 p. 215-219
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorders ; ASD) は遺伝性要因が強い疾患である. 発症には, 多数の遺伝子の関与と共に, 遺伝子×環境性要因によるエピゲノム形成が示唆される. 罹患者の約40%にゲノム異常や遺伝子変異が検出されていることから, 今後の分子遺伝学的研究の進展は, 発症機序などの解明に不可欠である. これまでの解析から, ASD候補遺伝子はシナプス恒常性に関与するものが多い. 筆者らは, ASD特異的変異が惹起するシナプス機能性蛋白のloss-of-functionに加え, gain-of-functionの存在を示してきた. ASD, さらに合併疾患にも関与する共通分子機構の解明, 治療へと繋がることを期待したい.
  • 鷲見 聡
    2015 年47 巻3 号 p. 220-224
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     自閉症心因論などの間違った環境要因説の影響により, 発達障害 (神経発達症群) と環境要因に関する議論が停滞してきた. しかし, 発達障害児を含むすべての小児にとって環境要因は重要であり, 科学的視点からの検討が必要である. 10年程前に「メディア視聴による言葉遅れ」が議論され, 日本小児神経学会などが提言を発表した. その後, 夜更かし型の生活, 外遊びの減少など様々な生活習慣が変化してきた. それらの変化が発達障害児により深刻な影響を与えている可能性もあるが, それに関する科学的データは得られていない. 現時点では発達障害児に限定して考えるのではなく, すべての小児を対象に適切な生活環境作りに努めるべきと思われる.
  • 杉江 陽子
    2015 年47 巻3 号 p. 225-229
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     発達障害は, 自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorder ; ASD), 注意欠陥/多動性障害 (attention deficit/hyperactivity disorder ; AD/HD), 学習障害 (learning disabilities ; LD) のいずれも単一の疾患というより症候群的要素の強い疾患群である. その原因は単一ではなく, 発症には遺伝が関連していることは多くの研究からも明らかであるが, 同時に環境要因も発症に影響を与える重要な要素である. 遺伝と環境が相互に作用することにより, 発達障害の発症あるいは症状の修飾に影響しているとの観点から, 以下の項目について紹介した. ①一般的な遺伝率と環境率, ②養育環境と遺伝子の影響, ③特定の遺伝子と特定の環境の相互作用, ④出生前および出生後の環境因子と遺伝子との相互作用, ⑤生化学・組織化学のレベルでの環境と遺伝子の影響についてである.
  • 福岡 秀興
    2015 年47 巻3 号 p. 230-232
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
モーニング教育セミナー1:共同研究支援委員会主催
モーニング教育セミナー2:共同研究支援委員会主催
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