脳と発達
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48 巻 , 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
インタビュー・女性委員長に聞く
総説
  • 川村 孝
    2016 年 48 巻 3 号 p. 169-173
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     臨床現場から良質なエビデンスを発信するための重要点を概説する. 治療効果を検証するランダム化試験 (RCT) では, 診療で生まれた疑問を「PICO (誰に, 何をすると, 何に比べて, どうなるか) 」の形で定式化する. 並行デザインかクロスオーバー・デザインを決め, サンプル・サイズを算定する. そして主たる転帰指標を中心に有効性を評価する. 個別患者の予後を占う臨床予測モデルでは, 「PEMO (誰に, 何が, どのように曝露すると, どうなるか」の形で定式化する. コホート研究か症例対照研究を行い, 多変量解析を用いて用量反応関係を明らかにする. そして変数選択を行いながら予測モデルを構築し, その性能や妥当性を評価する.
特集・第57回日本小児神経学会学術集会
シンポジウム5:オートファジーと小児神経疾患
原著論文
  • 児玉 一男, 小俣 卓, 新井 ひでえ, 田邉 雄三
    2016 年 48 巻 3 号 p. 195-198
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     【目的】West症候群に対する合成ACTH療法 (以下, ACTH療法と略す) において, 少量投与法で連続2週間投与後に漸減をせず終了する方法の妥当性を検討した. 【方法】2003~2012年までACTH療法を行ったWest症候群の患者44例を後方視的に検討した. ACTHの投与量は0.0125mg/kg/dayで, 投与期間は連日14日間で漸減期間を設けずに終了した. 44例 (潜因性7例, 症候性37例) で初期治療効果・発作転帰・副作用について検討した. 【結果】治療終了までにhypsarrhythmiaが消失したのは44例中42例 (95.5%), てんかん性スパズム (以下, スパズムと略す) が消失したのは37例 (84.1%), 発作消失例の発作消失までの平均投与回数は5.8回であった. 発作消失例のうち治療後の経過が観察可能であった31例中, スパズムの再発は9例 (29.0%), その他の発作型の再発は12例 (38.7%) であり, 再発までの期間はスパズムで平均2.4カ月, その他の発作型で平均8.0カ月であった. 副作用は高血圧, 感染症, 軽度の脳退縮が13例 (29.5%) で出現したが, いずれも一過性で重篤なものは認めなかった. 【結論】ACTH療法において, 少量投与で連続2週間投与後に漸減をせず終了する方法は, 初期治療効果・発作転帰について他の報告と比較して遜色のない成績であり, 妥当な方法と考えられた.
症例報告
  • 大城 あずさ, 仲村 貞郎, 玉城 邦人, 藤原 一男
    2016 年 48 巻 3 号 p. 199-203
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     症例は10歳男児. 3週間続く弛張熱, 虫垂炎罹患の後, 両眼の高度視力低下, 歩行障害が出現し, MRIで両側視神経・視交叉・小脳・皮質下白質・脊髄にT2高信号病変を認めた. 視神経脊髄炎 (neuromyelitis optica ; NMO) あるいはNMO spectrum disorders (NMOSD) と考え, ステロイドパルス療法を2クール施行した. 歩行障害は改善したが中心視力の改善が乏しいため, 血漿交換療法を追加し, 視力は両側1.0に改善した. 血清抗aquaporin (AQP) 4抗体は陰性で, 抗myelin oligodendrocyte glycoprotein (MOG) 抗体が1,024倍であった. 急性期以後はprednisoloneおよびazathioprineの内服を行ったが, 血清抗MOG抗体は経時的に低下し, 治療漸減にて症状再燃を認めないため発症11カ月で治療を中止した. 近年, 抗AQP4抗体陰性のNMO/NMOSDの中で, 抗MOG抗体陽性例の報告がみられる. 抗AQP4抗体陽性例と異なりステロイドパルス療法のみで軽快する例が多いが, 本例のようにステロイドの効果が不十分で血漿交換が有効な症例もある. 今後さらなる症例蓄積による検討が必要である.
  • 森田 元章, 難波 栄二, 足立 香織, 大野 耕策
    2016 年 48 巻 3 号 p. 205-208
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     Enlarged parietal foramina (EPF) は稀にみられる頭蓋骨の先天的骨欠損である. 骨欠損は円形又は卵円形で, 頭頂骨の正中から約1cmのところに左右対称に起こる. 本症患者の多くは家族歴を有し, 常染色体優性遺伝の形式で遺伝する. MSX2またはALX4の変異が本症の発症に関与する.
     症例1は生後2カ月の男児. 大泉門と小泉門の開大と矢状縫合の開大を認めた. 発育とともに大泉門と矢状縫合は縮小し3歳の時に閉鎖した. その後小泉門には正中部の前後から骨形成が起こり, 4歳の時に正中に橋がかかるようにつながって左右に2つの孔が形成された. 8歳の現在, 孔の大きさは直径2.5×2.5cmである. 症例2は34歳女性, 症例1の母である. 症例1のフォローアップ中, 実母から知らされて母にも同様の骨欠損が存在することがわかった. 骨欠損の大きさは直径2.5×2.5cmである. 両症例とも神経学的症状は認めない. 遺伝子検査で両者にALX4の変異があることがわかった. また, MR venographyにおいて両症例とも直静脈洞の低形成と鎌静脈洞の遺残の所見が得られた. さらに, 症例2の実母にはEPFがないにもかかわらず同一の遺伝子変異が存在することがわかった. 本症の遺伝子変異は高い浸透率を示すと報告されてきたが, 本家系からは不完全浸透を示す場合もあることが示された.
  • 森貞 直哉, 常石 秀市, 田口 和裕, 八木 隆三郎, 西山 将広, 豊嶋 大作, 中川 卓, 竹島 泰弘, 高田 哲, 飯島 一誠
    2016 年 48 巻 3 号 p. 209-212
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     Beta-propeller protein-associated neurodegeneration (BPAN) は, 脳内に鉄沈着をともなう神経変性疾患 (neurodegeneration with brain iron accumulation ; NBIA) の一つで, ヒトでは唯一報告されているオートファジーの異常による疾患である. 小児期に発症するが, 非特異的な発達遅滞を呈するなど自然歴に不明な点が多いため早期診断が難しく, 成人期に診断されることがほとんどである. 今回遺伝子解析によりBPANと診断された42歳女性例を経験した. 本症例は生後6カ月時の有熱性けいれんで発症してその後発達遅滞を指摘されたが, 特に言語発達の遅れが著明で, また常同運動と考えられる手しゃぶりが頻回に認められていた. てんかんは認めなかった. 運動面は比較的保たれ, 排泄や着替えなどの日常生活は自立し, 歩行や走ることも可能であったが, 20歳を過ぎて急速に神経症状が増悪して歩行不能となり, 42歳現在寝たきりの状態である. 本症例は21歳時のMRI検査では異常を指摘されなかったが, 39歳時に施行されたMRI検査で初めて鉄沈着症を疑われ, BPANの責任遺伝子WDR45のスプライス部位の変異 (NM_007075.3 : c.830+2T>C) を認めたためBPANと診断確定した. BPANは今後治療法の開発が期待できる疾患であり, 遺伝子診断を含めたBPANの早期診断法の確立が必要である.
  • 平野 恵子, 福田 冬季子
    2016 年 48 巻 3 号 p. 213-217
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/11
    ジャーナル フリー
     有熱時けいれん重積発作後にarterial spin labeling (ASL) 画像で脳血流分布の異常を認めた幼児3例を経験した. 3例は全て左右差のある発作型を呈し, 重積発作消失直後の急性期と回復期の2回, 頭部ASL画像を撮影した. 急性期は血流増加部位に設置した関心領域の局所脳血流量 (regional cerebral blood flow ; rCBF) が対側同部位に比べ増加していたが, 回復期は血流分布の左右差が改善していた. 急性期のASL画像の血流増加域内に受診時の発作焦点があると考えたが, 重積発作後の血流分布であるため, 発作起始部を同定することはできなかった. また, 急性期のrCBF定量値は, 症例によって差が大きく, 使用した抗けいれん薬や発作消失からASL撮影までの時間の差が影響していると考えた. 回復期のrCBF平均値は54.6±6.1ml/100g/分で, 過去の文献と比べ同等もしくはやや低値であった. ASL法は, 脳の形態と血流分布を1回の検査で同時に評価でき, 造影剤や被爆を伴わずにくりかえして行うことができるという点で, 非常に利便性が大きい有用な検査法であると思われた.
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