脳と発達
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49 巻 , 2 号
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巻頭言
総説
  • 石垣 景子
    2017 年 49 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/22
    ジャーナル フリー

     重症筋無力症は, 自己抗体によって神経筋の刺激伝達が障害される自己免疫疾患である. 病態解明が進み, 治療方針も変化したことから, 「重症筋無力症診療ガイドライン2014」 として改訂された. Evidence-based medicine (EBM) に則って作成されたガイドラインは, 客観的で正確な情報を提供する一方で, 希少疾病ではそもそもエビデンスレベルの高い論文が存在せず, 曖昧な推奨の記載にならざるをえない. 各施設, エキスパートの間でも方針は統一されておらず, 具体的な記載が難しい. ガイドラインは万能でなく, その利点と欠点を理解して使いこなす必要がある. ここでは, 重症筋無力症ガイドライン診療のピットフォールや不足部分に焦点をあて, 診療ポイントを述べる.

特集・第58回日本小児神経学会学術集会
<長期計画委員会主催ワークショップ>
<共同研究支援委員会主催セミナー>
<医療安全委員会主催セミナー>
<薬事小委員会主催セミナー>
<産科医療補償制度小委員会主催セミナー>
原著論文
  • 加賀 佳美, 石井 佐綾香, 黒田 格, 神谷 裕子, 中村 幸介, 金村 英秋, 杉田 完爾, 相原 正男
    2017 年 49 巻 2 号 p. 113-119
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/22
    ジャーナル フリー

     【目的】高齢発症の骨粗鬆症例に対してbisphosphonate (BP) 経口製剤は有効とされるが, 投与後に食道炎の防止のため通常30分以上の座位保持が必要とされる. 近年静注用BP製剤が発売され, 胃・食道逆流が問題となる例や座位がとりにくい例でその投与が試みられている. 本研究では骨粗鬆症を持つ重症心身障害者 (重症者) に対して静注用BP製剤 (alendronate) を継続的に投与し, その有効性について検討した. 【方法】20~60歳の入所中重症者のうち骨粗鬆症が判明した62例を二群 (BP投与群32例と対照群30例) に分け, BP投与群に対してはビタミンD3とalendronateを併用し, 対照群はビタミンD3のみ投与した. 評価項目を骨密度量, 血中骨代謝マーカーとして, 投与前および後 (6カ月, 1年, 2年後) で群間比較した. 【結果】BP投与群では投与6カ月後と1年後に投与前と比べて骨密度の変化が有意に増大し, 血中骨代謝マーカー値の低下が認められた. 1年以降に, 治療変更16例, 治療開始12例が生じたが, 2年後の骨密度変化はBP投与群 (16例) では有意に増大し, 対照群 (18例) では低下していた. 骨折は対照群の1例に認められ, BP投与による重篤な副作用はなかった. 【結論】静注用alendronateは, 重症者における骨粗鬆症治療薬として安全に投与でき, 全般的に有効性があると考えられる.

  • 岡島 純子, 加藤 典子, 吉富 裕子, 金谷 梨恵, 作田 亮一
    2017 年 49 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/22
    ジャーナル フリー

     【目的】本研究の目的は, 自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder ; ASD) を有する臨床群と健常群のソーシャル・スキルの違いを検討することである. 【方法】健常群 : 公立中学校1~3年299名, 臨床群 : ASDの診断のある中学生24名を対象とした. 【結果】自己評定にて, ソーシャル・スキル, ストレス反応, 学校不適応感を査定した結果, ASD群は, 健常群と比較して, ストレス反応, 学校不適応感が高く, ソーシャル・スキルが乏しいことが明らかとなった. ソーシャル・スキルパターンを検討するために, クラスター分析を行ったところ, 「低スキル型」, 「関係継続低スキル型」, 「良好型」, 「消極型」 が抽出され, 「低スキル」 「消極型」 はASD群が有意に多いことがわかった. 【結論】ASDを有する中学生は, 健常群と比較して, 特に関係開始が苦手であるといった消極的型のソーシャル・スキルの特徴を有している.

症例報告
  • 坂口 友理, 後藤 知英, 三山 佐保子
    2017 年 49 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/22
    ジャーナル フリー

     9歳時に発症した有熱時けいれん重積後に運動機能が悪化し, 頭部MRIで左側頭葉から後頭葉の皮質および白質に虚血性変化と考えられる不可逆性の萎縮をきたしたSturge-Weber症候群 (SWS) typeⅢの女児を報告する. SWS typeⅢは, 顔面血管腫を伴わない先天性脳軟膜血管腫を特徴とするまれな疾患で, 本症例では左側頭葉・後頭葉・頭頂葉に脳軟膜血管腫が存在していた. SWSにおける病側大脳では皮質静脈還流の阻害により慢性虚血が進行しており, さらにてんかん発作により段階的に虚血が進行するとされる. 本症例では, 慢性虚血が存在していた大脳領域において, 有熱時けいれん重積時に急性虚血が進行したと考えた. 有熱時けいれん予防としてvalproic acidを, また, 脳虚血予防としてaspirinを開始した. 乳児期に複雑部分発作を初発した後, 2歳時以降, 同発作は抗てんかん薬により良好にコントロールされていたが, 1回の有熱時けいれん重積により不可逆的な脳障害を後遺した. SWSでは, 機能予後向上のために生涯にわたってけいれんのコントロールが重要である.

  • 服部 有香, 川脇 壽, 堀野 朝子, 辻 ひとみ, 温井 めぐみ, 九鬼 一郎, 岡崎 伸, 富和 清隆
    2017 年 49 巻 2 号 p. 131-135
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/22
    ジャーナル フリー

     生後4カ月時に部分発作を認めるも, 一旦消失し, 8カ月時にWest症候群を発症した男児を経験した. West症候群にはACTH療法が有効であったが, 12カ月より部分発作が再発した. 特徴的な顔貌, 母趾の異常, 発達遅滞を有し, 染色体G分染法で2番染色体長腕の中間部欠失を認め, array comparative genomic hybridization (アレイCGH) 解析でarr 2q24.3q31.3 (166,303,447-180,982.972) ×1 (build19) であった. 本児の欠失領域には, 2q24.3領域に存在するDravet症候群の原因遺伝子であるsodium channel, voltage gated, type Ⅰ alpha subunit (SCN1A) 遺伝子に加え, 近年確立された2q31.1欠失症候群の遺伝子が含まれており, 双方の臨床所見を呈していた. 2q24-q31領域における欠失範囲の違いにより, てんかん発症の頻度が異なり, SCN1Aの欠失かつ2q31.1領域がWest症候群の発症に関連する可能性が示唆される.

  • 渡邊 嘉章, 北島 翼, 西口 奈菜子, 渡邊 聖子, 里 龍晴, 伊達木 澄人, 井手口 怜子, 森内 浩幸
    2017 年 49 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/22
    ジャーナル フリー

     Arterial spin labeling (ASL) 法は造影剤を使用せず脳血流をみることのできるMRIの撮影方法であり, 近年海外では片頭痛発作時のASLに関する報告が散見される. 今回acute confusional migraine (ACM) の小児2例を経験した. 錯乱状態出現時にASLを撮影し, 1例は両側後頭葉から頭頂葉, 側頭葉にかけての血流低下を認め, もう1例は左大脳半球の血流低下を認めた. T1強調画像, T2強調画像, 拡散強調画像, fluid attenuation inversion recovery (FLAIR) 画像は正常であった. 後日再検したASLでは2例ともに血流低下は改善していた. 後頭葉だけでなく, 大脳半球に広範囲の血流低下を来すことがACMの特徴と考えられた. ASLは, single photon emission CT (SPECT) による被ばくや造影MRIによる造影剤の使用といったリスクを伴わず繰り返し検査が可能であり, 鑑別に苦慮するACMでは診断の一助となる可能性がある.

  • 井上 賢治, 木村 暢佑, 樋口 嘉久, 中本 牧子, 今井 剛, 西尾 久英
    2017 年 49 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/22
    ジャーナル フリー

     脊髄性筋萎縮症Ⅰ型 (SMA Ⅰ型) の中で3カ月未満に症状が顕在化する症例は, 重症型と分類され生命予後も不良である. 我々は生後1カ月の重症型SMA Ⅰ型女児に対して非侵襲的陽圧換気療法 (NPPV) の使用を試み, 有用性について検討した. 児は出生時より低緊張と哺乳不良を示し, SMN1遺伝子異常 (エクソン7・8の欠失) を認めた. 生後1カ月時に感冒様症状に伴い呼吸状態が悪化したため, 人工呼吸管理を必要としたが, 両親は気管切開術を希望せず, NPPVとmechanical in-exsufflator (MI-E) を導入した. それにより四肢冷感・冷汗が改善し, 胸郭の動きが改善するとともに心拍数が低下し, 睡眠も改善した. 11カ月頃より誤嚥性肺炎や喀痰による気道閉塞を繰り返したため, 1歳から終日NPPV装着を要し, 1歳4カ月で家族の看取りの中死亡した. NPPVにより気管切開術を避けることができ, ある程度quality of lifeを改善することができたが導入には課題も多い. 有用性と課題について考察した.

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