脳と発達
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50 巻 , 2 号
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巻頭言
特別寄稿
特集・第59回日本小児神経学会学術集会
<会長講演>
  • 玉井 浩
    2018 年 50 巻 2 号 p. 98-103
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/28
    ジャーナル フリー

     学術集会のテーマである『―医療・福祉・教育のはざまで―すべての子どもに輝きを』にそって, ダウン症児が医療だけにとどまらず, 福祉や教育の中でどのようにケアされているのか現状を把握し, 今後どのようにケアされることが大事か, さらに乳幼児期から学童期, 青年期, 高齢期に至るまで, だれがどのようにケアするべきかを考え, 総合診療, 総合支援のあり方を討論した. 合併症対策として, 他診療科との連携をすすめるだけでなく, 運動発達支援, 言語コミュニケーション発達支援をすすめ, 生きていくためのスキルを向上させること, 福祉や教育との連携をすすめる地域社会作りが重要であることを述べた.

<基調講演>
  • 仁志田 博司
    2018 年 50 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/28
    ジャーナル フリー

     母体血による胎児トリソミーの出生前診断 (NIPT) が2014年から臨床研究として導入され, 1年間で陽性判定を受けた142人の16名が偽陽性であったことから, この導入で1割余のトリソミーでない命が失われ得る. ダウン症を短絡的に障害児と判断するのは誤りで, 大学で学ぶレベルまでの広い臨床スペクトラムを有するので個別に評価されるべきである. さらにTurnerなどの選別に広がる 「滑りやすい坂道」 に踏み込む可能性が高く, 適切な倫理的議論を積み重ねないと優生思想による命の選別となる危険を孕んでいる. 以上に関し生命倫理的考察を加えた.

<市民公開講座1:ダウン症児療育・教育現場の取り組み>
  • 玉井 浩
    2018 年 50 巻 2 号 p. 109-110
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/28
    ジャーナル フリー
  • 小野 正恵
    2018 年 50 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/28
    ジャーナル フリー

     ダウン症児に対する家族の心配は尽きないが, とりわけ乳幼児期は歩行獲得までの運動発達が重要課題であり, 介入がない場合は脊椎の生理的彎曲が得られにくく, 反張膝, 下肢の外転, 外反扁平足など疾患特有の容姿をきたしやすい. 藤田弘子氏が発表した 「ダウン症児の赤ちゃん体操」 は, この姿勢や歩容の予防や改善と運動発達促進を目的とした早期療育法である.

     当科では2006年からダウン症児の総合診療に, この 「赤ちゃん体操」 を導入した. 定期的な総合診療を行いながら個別の運動プログラムを提供することで, よりきめ細かい対応が可能となり好評を得ている. 家族が自宅で反復実施しやすいため運動発達促進効果があり, 家族の心理支援と合併症の早期発見にもつながっている.

  • 水田 めくみ
    2018 年 50 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/28
    ジャーナル フリー

     早期のダウン症児の療育として, 言語・コミュニケーション能力へのアプローチが重要である. 当センターでは音声言語出現以前のコミュニケーションの発達に着目し, インリアル・アプローチの理論に基づいた小グループでの療育訓練を実践している. インリアルの個別実践を行った症例では, ダウン症児特有の発語の不明瞭さ, 伝達内容の曖昧さがみられたが, 子どもの行為や意図を読みとりながら支援者 (ST) が訓練の目標を意識して支援した結果, 二語文の増加や三語文出現がみられた. 小グループでも複数のSTが役割を明確にし子どもの意図に合った 「やりとり」 を実現することで, コミュニケーション意欲の維持・発語模倣の促進につながると思われた.

  • 上地 玲子, 玉井 浩, 井手 友美
    2018 年 50 巻 2 号 p. 121-124
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/28
    ジャーナル フリー

     ダウン症児は, 身体的な疾病疾患や知的および身体的な発達・発育の遅れを有する. 我々は, ダウン症児の発達の遅れの一因に, 筋の低緊張が考えられることに着目した. 多くのダウン症児は通常でも開口状態が多く, また 「食事」 「会話」 「呼吸」 「睡眠」 に深く関係する口について不安を抱えることが多い. そこでダウン症児のQOLの向上を目的としたプログラム創出を目指した第一歩として, 簡単で安全, 口の機能向上が期待できる器具を使用した口輪筋トレーニング (1回3分1日4回目標) を実施し, その安全性および発達の変化についての有効性を評価した. 口輪筋トレーニングを10名 (4.0~6.9歳) のダウン症児に実施し, 試験参加者全員が安全に実施でき, トレーニングが各家庭で可能であることが確認できた. トレーニング非実施群 (通常療育群) 6名 (6.1~9.1歳) を対象として比較したところ, 握力が高くなり, 口唇閉鎖力も高い傾向が見られた. また実施群においては, 新版K式発達検査では, トレーニング回数が平均3回/日以上の児で発達の向上が認められ, みつば式言語発達検査では, トレーニングの回数と言語発達に有意な相関があった. さらに, トレーニング実施により, 発語がクリアになる, 食事や嚥下がスムーズになった, 指示がよく通るようになった, 歩行が安定した, 表情が豊かになった, 風邪をひきにくくなった, などの感想が得られ, QOLの向上に期待できるトレーニングであることが示唆された. 一方で, トレーニング回数の確保 (1日3回以上) が課題であることが明らかとなったことからも, 一定の回数以上のトレーニングに何らかの工夫が必要と考えられ, 継続性の担保が不可欠であることが明確となった.

  • 小島 道生
    2018 年 50 巻 2 号 p. 125-127
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/28
    ジャーナル フリー

     ダウン症児の心理・行動特性に関するこれまでの研究では, 強さや課題となる特性が示されている. なかでも, 学齢期ダウン症児の行動上の課題として, 教育現場では頑固さが指摘されがちだ. 一方, 近年のダウン症児 (者) を対象とした研究や時代的なニーズからは, 当事者の想いや願いを考慮した当事者重視の支援とセルフアドボカシースキル獲得支援の必要性があげられる. 今後の教育現場におけるダウン症児への指導に関する課題として, 通常学級での支援の在り方, 効果測定と指導方法の確立, 当事者の立場を重視した “その子らしさ” を大切にした指導の必要性について論じた.

<倫理・COI委員会主催セミナー>
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