脳と発達
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50 巻 , 5 号
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巻頭言
総説
  • 福田 光成
    2018 年 50 巻 5 号 p. 327-335
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

     熱性けいれんの病態や熱性けいれん重積後の内側側頭葉てんかんの発症機序については未だ多くの議論があり, 神経免疫学的機序もその候補である. 熱性けいれんの動物モデルでの検討では, interleukin (IL)-1βは発作を促進し, 逆にIL-1 receptor antagonistやIL-6, IL-10は発作を抑制することが明らかとなった. また熱性けいれん重積の動物モデルを用いた検討では, 重積発作の誘発後にIL-1βを投与すると成熟期の後天性てんかんの発症が促進された. また, high mobility group box 1 (HMGB1) についても検討し, HMGB1は前述の実験的熱性けいれんや熱性けいれん重積誘発後の後天性てんかんの発症を促進させた. ヒトの熱性けいれん患者や熱性けいれん重積の既往を持つ内側側頭葉てんかん患者の一部ではIL-1βやHMGB1を過剰に産生してしまう素因があり, これら炎症性メディエーターの過剰産生が病因として関与している可能性が示唆された.

原著論文
  • 山本 洋史, 齊藤 利雄, 永山 ひろみ, 岡本 慶子, 松村 剛, 井上 貴美子
    2018 年 50 巻 5 号 p. 337-341
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

     【目的】脊髄性筋萎縮症 (spinal muscular atrophy ; SMA) は呼吸ケア・マネージメントが必要であり, われわれはSMA患者と介護者に呼吸理学療法指導を行っている. 研究目的は, SMAⅡ型患者の呼吸状態を経時的に評価し, 呼吸理学療法の意義を検討することである. 【方法】SMAⅡ型13例の肺活量 (vital capacity ; VC), 咳のピークフロー (cough peak flow ; CPF), 最大強制吸気量 (maximum insufflation capacity ; MIC), 8例のMICからのCPFの経年変化と, 脊柱固定術実施5例の術前後の各々の変化率を評価した. 【結果】初回測定時年齢中央値は6歳 (3~17歳), 観察期間は4年 (2~9年) だった. VCは全例2,000ml未満で, 1例でMICが2,000mlを超えた. CPFとMICからのCPFは, 排痰に必要な270L/minを超えず, 160L/minを超えたのはCPFで2例, MICからのCPFで4例だった. 脊柱固定術後変化率は, VCで−10.9%, MICで−0.25%, CPFで−7.3% (以上5例), MICからのCPFで14.4% (4例) だった. 【結論】SMAⅡ型は, 呼吸機能低下に起因する気道クリアランス障害を呈す. 肺合併症予防には, 病初期からの呼吸理学療法の継続的実施が重要である.

  • 鈴木 理恵, 齊藤 利雄, 丸山 幸一, 服部 文子, 藤井 達哉, 熊谷 俊幸, 脇坂 晃子, 向田 壮一, 糸見 世子, 白石 一浩
    2018 年 50 巻 5 号 p. 342-349
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

     【目的】Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) 患者の教育への支援に向けて, 実際の学校生活についての現状と課題を明らかにすることを目的とした. 【方法】小学生から20歳以下の在宅で生活するDMD患者の保護者を対象として, 5府県の7施設でアンケート調査を行った. 【結果】DMD患者115名の保護者から回答を得た. 小学校入学時の所属は一般小学校の通常学級が60%を占め, 特別支援学校は5%であった. 特別支援学級への転級や特別支援学校への転校をする患者が存在し, その時期は小学5年生が最多であった. 小学4年生から体育の授業での見学が増加し, 保護者から見て学校生活が楽しそうだったという回答が減少した. 中学生以上の患者70名では, 中学校入学時の所属は特別支援学校が60%を占め, 一般中学校の通常学級は13%であった. 保護者の77%が医師と学校の関わりを希望していたが, 希望した保護者の52%が実際には関わりがないと回答した. 【結論】一般小学校の通常学級へ就学するDMD患者は多いが, 歩行が困難になる小学4年生頃から一般の学校での生活が困難になってくる現状があり, 患者・保護者と医療, 教育が情報を共有し, 病状に応じて教育環境を調整していく必要がある. 保護者の希望に見合うほどの十分な医師の学校教育への関わりはなされておらず, 医療と教育の連携体制の構築が望まれる.

症例報告
  • 佐藤 睦美, 武下 草生子, 市川 和志, 岩間 一浩, 中島 光子, 才津 浩智, 松本 直通
    2018 年 50 巻 5 号 p. 350-354
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

     Ras/mitogen activated protein kinase (Ras/MAPK) 症候群はRas/MAPKシグナル伝達系に変異を認める疾患群の総称でNoonan症候群, Costello症候群, cardio-facio-cutaneous (CFC) 症候群などを含む. CFC症候群は, 心奇形・骨格異常・特異的顔貌・重度精神遅滞などをもつ先天奇形症候群で, Kirsten-RAS (KRAS), BRAF, MAP2K1, MAP2K2遺伝子の異常を持つ例があることが知られている. CFC症候群の表現型で血液白血球の解析の結果, 7/46アレルでRas/MAPKの構成成分であるneuroblastoma RAS viral oncogene homolog遺伝子 (NRAS) のp. G12S変異が同定された症例を報告する. 爪や毛根では変異は同定しなかった. 心合併症を認めなかったが, 頭部MRIで前頭葉および脳梁の低形成を認め身体所見と併せCFC症候群の類縁疾患と考えた. てんかんは難治で思春期にけいれん重積を頻発した. 難治てんかんと重度精神運動発達遅滞を来しCFC症候群の表現型をもつ例で, これまでNRAS変異を認めた報告はない. Ras/MAPK症候群の表現型は多彩であると考えられる.

  • 白木 杏奈, 深沢 達也, 久保田 哲夫, 加藤 有一, 村上 良子, 松本 直通, 宮武 聡子
    2018 年 50 巻 5 号 p. 355-359
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

     症例は在胎33週, 出生体重1,070g (−3.57SD) で出生した男児. 上気道狭窄, 小顎, 肺動脈狭窄, 両眼開離など多発奇形を認めた. 日齢1の脳波でsubclinical seizureを認め, 生後2か月から抗てんかん薬に抵抗性の焦点性間代性発作が頻発した. G-band法は正常男性核型を示したが, 全エキソーム解析データを用いたコピー数解析を行ったところ, 4番染色体 (4p16.3-16.2) に5.3Mbの欠失, 19番染色体 (19q13.33-13.43) に9.5Mbの重複を認め, Wolf-Hirschhorn syndrome (WHS) と診断した. 本児は典型的なWHSの顔貌を呈しておらず, てんかんと脳波所見の経過も通常のWHSの特徴と異なっておりWHSを疑うことができなかった. 19番染色体の部分重複の合併が臨床像に影響したと考えた. 複数の遺伝子に影響を及ぼすような転座を有する場合は臨床像が典型的でない可能性があり, 診断の一助として網羅的遺伝子解析が有用と考えた.

短報
  • 米元 耕輔, 鳥尾 倫子, 酒井 康成, 酒田 あゆみ, 大賀 正一
    2018 年 50 巻 5 号 p. 360-361
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

     Pallister-Hall症候群 (PHS) は, 多指症, 視床下部過誤腫を含む多発奇形と精神運動発達遅滞を特徴とする遺伝性疾患である. 視床下部過誤腫に伴う笑い発作がてんかん発作の特徴として知られるが, 初発時の診断に苦慮する場合がある. 症例は3歳女児. 新生児期に多指症, 直腸腟前庭瘻および視床下部過誤腫が認められPHSと診断された. 生後2か月から, 表情変化のない, 咳き込み様の症状が出現し, 10か月および2歳2か月時に同症状の頻度が増加したが, 脳波上異常所見なし. 3歳時, 同様の咳き込み症状は笑い表情を伴うようになり, 症状に一致して全般性徐波が認められた. Valproateとclobazamを併用し, 笑い発作は良好にコントロールされた. 乳児期早期の笑い発作は, 必ずしも表情変化を伴わない場合がある. 笑い発作は本症例のように無治療で増減を繰り返すことがあり, 症状減少後も長期的フォローアップが必要である.

  • 小沢 浩, 雨宮 馨, 小沢 愉理, 河野 千佳, 大澤 麻記, 中村 由紀子
    2018 年 50 巻 5 号 p. 362-363
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

     喉頭気管分離術後のカニューレフリーの10例について検討した. カニューレフリー前にみられた気管内肉芽 (5例) 気管内出血 (6例), 喘鳴 (8例) いずれも全例が消失し, 吸引回数はカニューレフリー前から吸引をしていなかった1例を除く9例全例において吸引回数が減少し, 超重症児スコアは吸引回数の減少により6名が低下していた. 母親のカニューレフリーの感想は, 9例で 「とてもよかった」 との回答を得た. 自由記載では, 「反応がよくなった」 「様々な姿勢ができる」 など, 生活の質が向上したことが示されていた. 窒息は2例あったが, 2例とも自力排痰ができない例であり, 1例はカニューレ使用に変更し, 1例は窒息後カニューレフリーを継続し持続吸入を行っていた. 生活面においても, 「お風呂が大変である」 「ヘルパーと外出できない」 という意見があった. 介護職が吸引できないために生活は制限されることがわかった. 自力排痰ができない例においては, カニューレフリーは慎重にすべきであり, 今後, カニューレフリーについて, 適応・方法・医療的ケアなどの整備が必要である.

  • 渡邊 肇子, 福水 道郎, 林 雅晴
    2018 年 50 巻 5 号 p. 364-366
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

     メラトニンは種々の睡眠障害の治療に使われるが, 本邦では製造販売承認されていないため, 海外のサプリメントを輸入し使われることが多い. 今回, 海外で販売されているメラトニンサプリメントの品質評価を行い, メラトニンサプリメントは含量や溶出性が様々で品質が一定でないことを確認した. サプリメントは健康維持や増進目的で使われるため品質が一定でないこともあり, 治療目的で使う場合は, 品質や有効性, 安全性が確認された医薬品としてのメラトニン製剤の開発が望まれる.

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